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水月41 詩:かかしと黄金狐
~ かかしと黄金狐 ~
小屋の中で藁を打つ音を聞きながら かかしは黄金狐の夢を見た
二頭の子狐が駆け回っている 辺りは黄金の稲穂が揺らいでいる 山の端に日が沈んでいく はるか昔にみた光景のようだった
穏やかな風に起こされ 稲波の中でかかしは目が覚めた
山の端に日が沈んでいく 雲は低く空に微睡んでいる 黄金の稲穂の中に一頭の狐がいた はるか昔 どこかの光景のようだった
狐は 夕焼けのにじんだ瞳で かかしをじっと見上げている かかしはその時 見ていた夢を思い出した
母狐が子供らを迎えに来る 二頭はじゃれ合いながら駆けていく お互いの影を追いかけながら まるで風が駆け抜けていくように