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水月36 詩:河童の影踏み
機会があり、河童の絵を見る事があったのですが、その絵というのが子供たちを遠くから眺めている、というか覗いている或いは羨ましそうにしているものだったのです。
河童というものをよくは知りませんが、どうにもあれは子供そのものでしかないような気がして、ともすれば何かしらのアウトサイダー故のその描写になったのではないか、と邪推してしまう訳です。
今回はその思考を詩で表してみました。
~ 河童の影踏み ~
河童はひとりで影ふみをする
子供たちが帰った後で そこにあった影を 鮮やかな夕焼けの中 ひたすら踏んで遊ぶ
人間の約束ごとを知らぬ河童は 無い影をひたすら踏む
じりじりと日は沈み 河童の影は 木石の影に溶け込み始める
今日も夕暮れ時に 影がひとつ 消えてゆくのだ