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鏡花水月22 詩:波打ち際
2018年12月28日 金曜日
▽仏を仏と気付くと仏は逃げて行く
狗子仏性 気付かねば 仏の道に行けたものを
▽悟りから遠い
お前には何もないね それこそ悟り あり得ぬ伽藍堂
~ 波打ち際 ~
波打ち際に空の小瓶があって 娘とお父さんが拾った
空だと思った小瓶には何か書いてある紙切れが一枚 娘の小さく少し丸い指でほじくり出されて
読んで と託されたお父さん 困った顔をひとつだけ
それは分からない外国の文字で 一本の線でずっと繋がっている
読めないの と娘が 分からないんだ とお父さんが
あ、そうだ これでお母さんにお手紙だそう
娘が小瓶を嬉しそうに持って お父さんにニコリと笑顔
お父さんは 小瓶に紙切れを戻して
お母さんに手紙だそう と小瓶を海に静かに流した