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鏡花水月16
2018年12月22日 土曜日
▽山深く或いは賑わう人里のいずこかで月を愛でながら
幽かなる柏の木のささめきと鬼どもの古き代より舞う鬼が神楽
▽夢から覚めて
夢うつつ抜けたる布団に一人と一匹
~過去・現在・未来にわたって~
この世の何処かにあるという地蔵尊
春は夜明けの影に隠れて 夏は闇夜の蛍の描く軌跡に紛れて 秋は夕暮れの虫の音に消えた赤子の寝息に合わせて 冬は捨てられる炭火の灰になって
その地蔵尊は何処かにあるという
初めは小さな祠の中にあって やがて道すがらの旅人に拝まれて 苔むす頃にはそこいらの石として
きっとその地蔵尊はこの世の何処かにあるという