1・ある日私はゾンビに噛まれた
仕事からの帰り道、
私はゾンビに噛まれた。
そして私はゾンビになった。
都内にゾンビが増えていることはニュースで報道されているので、それなりには気をつけていたつもりなのだが。
雨の日、傘を差して歩いていたために視界が狭くなりゾンビの接近に気がつくのが遅れた。
傘を押し退けて襲ってきたゾンビの青年に肩を噛まれてしまった。
暇があれば病院で予防接種を受けようと考えてはいたが、仕事が忙しくなかなか時間も取れずに、予防接種は受けていなかった。
私に噛みついたゾンビの青年はすぐに警察が取り押さえ、私は救急車で病院に運ばれた。
病院ですぐにワクチンが射たれたのだが、運が悪かったのだろうか。
医師の見立てでA型ゾンビワクチンを注射されたのだが、私を噛んだゾンビ青年はC型ゾンビであり。
私は夜半より熱を出して三日寝込んだ。
目が覚めたときには、私はゾンビになっていた。
これは私がゾンビになってから経験したことを綴ったものである。
世界中にゾンビが少しずつ増えていく現代、突然の感染によりゾンビになってしまう人もいるだろう。
しかし、ゾンビになったからといって人生に悲観することは無い。
ある日いきなりゾンビになり、職を失い、家族や友人から冷たく扱われ、嘆き悲しみ自殺する人たちが増える現代。
そんな人たちに私の体験が少しでも役に立てればと、私がゾンビになってからのことを公開しようと思う。
ゾンビになったからといって、あなたの人生はまだ終わった訳では無い。
これまでの人生が大きく変わる事態に戸惑うこともあることだろう。
不安に襲われ、未来に絶望することもあるだろう。
だからと言って安易に自殺など選ばないで欲しい。
人であろうとゾンビであろうと命を無駄にしてはいけない。人生を簡単に投げ出してはいけない。
ゾンビというのもこれはこれでなかなか良いものなのだ。
これからのあなたの快適なゾンビライフのお役に立てるように、私の経験談を語っていこう。
たとえゾンビとなっても私たちはまだ生きているのだから。
今を生きている者は軽々しく生を諦めてはいけない。