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- スライムの蛇弄り -

割り込み投稿なお話

後に矛盾等が湧いて出てきたらその都度修正します

「魔人様、おはようございます!」

「魔人様、私達は感謝しております!」

「魔人様、今日はどちらに?」

「魔人様、闘技場ならば、ご案内致します!」

「魔人様、またアレやってください!」

「魔人様!魔人様!魔人様ぁ~!」


 取り巻きの人間達がウザったく感じて、対処に困っている人間社会体験の二日目。

 とりあえず、闘技場までの案内だけは欲しいので一つだけ連れていく事にして残りは放置として、

 こんな状況になってしまったのも、穏便に事を済ませる為に、自らの分体を寄生させてから、

 ヨルン様直伝の催眠術にて争い事を回避した結果の一つが今のこの状況。

 その他には何の問題も起こらなかったので、現状は受け入れておきましょう。

 それに伴い都合良く、現地で調達が出来た拠点は多分、目立つ事は無く、尚且つ目的地に近い場所にあるので役立ちそうです。


 世間知らずで人間世界の事等、覚える気の無かった私ですが、今回の件で少しぐらいは覚えても良いかもしれないと思い始めた。

 そんな私の名前はサプ。一部界隈からはスライム娘等とも呼ばれてしまう、プニプニボディを持つ魔族です。

 今は魔人と呼ばれてますけど、区分としては魔族らしく、その二つは良く混同されますが、違いはあるとかなんとか。

 でもまあ、そんな事は気にしてないので彼等の間違いは別にどうでも良く、邪魔にならなければ干渉不要。

 一応彼等には、私の分体を各所に散りばめるお仕事でも任せておきましょう。


 そうそうお仕事と言えば、昨日の内に報告をしておいたヨルン様関連の返事が届きました。

 その返事ですが、蜂の魔物を使用してのやり取りを終えてから、次の日の朝にはこの通り。

 拠点に居座る蜂の魔物が増えに増えて、バックアップが強化されたのは何故でしょうか。

 リム様側からの返答によれば、ヨルン確定と言われましたしその所為ですね。

 後は貴族が絡んだらしく、何とか子爵とやらが妨害工作を行ったので、ちょっと始末してくるとの事。

 そしてこの私、サプへの指示も追加されていて、例の闘技施設に入り込み、ヨルンの監視は行い続けろ。

 暇ならその蛇の戦う所を観戦していても良いし、目立たないようにちょっかいをかけても良い。

 ヨルンを買い取れるなら買い取っても良いし、出来ないのであればそれ以上今は何もするな。

 私自身は貴族絡みの件が終わるまでは変に手を出すなよって事らしいですね。

 その貴族がらみの件については、3日以内に終わらせるとかな返事が来てますし、そのぐらいなら何とかなるでしょう。


 それで自分はどうするのかと言えば、暇してるのも何ですし、ペストマスクからはまた後日とも言われてます。


 という訳でやってきました、闘技施設の裏口へ。

 覚えのあるペストマスクが2人、待ち構えていたので、手を振ってご挨拶。

 連れて来ていた一人の案内役はその辺に放逐しつつに私だけが向かいます。

 重役を迎え入れられるかのような、はたまた慎重に取り扱う必要のある劇物のような、

 目立たぬように人目を避ける扱いを受けて、建物内へ招かれる私は案内されるがままにソレ等の後を付いていく。

 移動の遅めな私の足に合わせて彼等は振り向き歩を遅く、他には特に何かをされる訳でも無く、

 人間以上に大きな魔物も入室出来そうな部屋の中で、今後の行動を考えながらに待つ事、どのぐらいの時間がかかったか?


 時間にして人を呼びに行き、大急ぎで走ってやってきた。

 その後に扉が見えてきた頃に歩き初めて、軽く休みながらに息を整え扉をノックする。

 そのぐらいの時間が経ったのだろう。

 姿を現した大ボスの、若干豪華になっているペストマスク姿の相手に簡単な挨拶を済ませ、いざ要件を伝えよう。

 そう思った所で、先に進められた話は先日の出来事。

 そういえばそうだった。先ずは其方の話から進めてしまおうか。


「先日はお世話になりました。あの時は何やら問題が起きていたようですが、今日は大丈夫ですか?」


「ええ、その件ですが一先ずは片付きました。

 これ以上、問題が起きる事はありません。心配なさらず。

 それよりも、全く興味の無いお話よりは、貴方の事を聞いてみたいと思うのですが、宜しいかな?」


 ペストマスク組の親玉は話が早かった。

 人間側の事情等は知った事ではないと思ってはいましたが、話の一切を飛ばされるとは。

 ほんのり好感度を上昇したのを感じた所で、切り出すべき話は何が良いか。


「はい、私の名前は、ネフロムと呼ばれています。以後お見知りおきを。

 この場にはあの、のじゃのじゃ喧しいアリスからの紹介で、探し物のついでに見物しに来た筈だったのですが」


 練習通りに、かつて呼ばれていた名前での自己紹介をしつつ、

 探し人の一人、この国で暗躍していたという魔人のアリスの名前を、、

 リム様に言われた通りに使ってみれば、相手側の反応は顔を合わせて頷くだけで、特に言及も無く話は続く。


「ふむ、やはりこの場にやって来る魔人と言えばあの方絡みと、

 随分と親しいような口ぶりですが、深く聞くのもなんですね。

 それで、探し物についてですが?」


「ええ、その探し物は丁度良く、見つけました。昨日、この場所で」


 探し物についての詳細を答えるタイミングは此処で良かったか?

 何となく早すぎるような気がしてしまい、はっきりとせずに含みを持たせる発言になってしまいましたね。

 その後に特に何かを考えている訳でもなく、軽く笑みを浮かべながらに場を凌ぎながらに反応を待てば、

 ペストマスク故に表情は分からず、ちょっとした焦りが籠った話し方になっている事が感じられた。


「それは良かった。そしてつまりは、その探し物を得る為に、アナタはこの場にやってきた訳ですね」


 話を聞きながらに感じた、ほんのり匂う、何かの薬品か?

 ペストマスクの者より漂う、香料の香りがスライムのプニ肌で感じながら、

 ソレは単なる残り香程度だったが、気分を落ち着かせる類の物を使っていたんだなと理解しつつ、

 それならば、多少は驚かせても良いのではないか?


「その通りです。加える事の、私達にとっては盗まれたとなっているモノですね」


 イタズラ心で伝える気の無かった話を付け加えつつ、演技を加えてみれば、相手の反応はどうなるか?

 マスク越しでも分かってしまう表情の変化。

 目配せ代わりか部下の方を向きながら、鳥のような嘴を擦り擦りに一息をついた後に、

 意を決したのか、マスクを外して此方に向き直ると、一段階と声を大きく話し始めた。


「成程、大体察しましたが、その探し物の詳細を答えて貰いましょうか」


 人間の素顔等、特に気にした事は無いので私にとっては意味の無い行動ではあるが、

 こういう場合、誠意を見せるだとか、気持ちの切り替えだとか、単純に暑苦しかったのかとか。

 特に分からないので考える事は止めにして、聞かれた事は返答しておきましょう。


「はい。その盗まれた蛇を、私は連れ戻しにやってきた訳です」


 ようやく言えた。この後はどうなる?

 ちょっぴりスッキリとした気分になった自分とは裏腹に、相手側の表情は曇るばかり。


「やはり、そうなると、少々難しい事に…」


 目を伏せて、今にも考え込みそうな相手側を前に、私が出来る事と言えばなんだったかな?


「なるのは理解しているので、これでどうでしょう?」


 買うならば先ずこの金額を提示せよとの指示通りに白金貨を4枚提示した。


「このような大金を即座に出せるという事は、相当な理由があるのでしょう。

 ですが、今の蛇の持ち主に問題がありまして、金銭での購入が難しいのですよ」


「であるならば、その他で良い方法はありませんか?

 協力して貰えるのであれば、報酬は先程提示した額の倍は出せます。

 ああそうそう、蛇に関わる者達には、私の事は内密にお願いしますね。

 なるべく穏便に済ませたい…というか、ぶっちゃけ今は蛇が戻らなくても良い訳で、

 理由は、運良くというべきか、あの蛇はまだ大人しいみたいですし。

 そのうち飼い主の手に負えなくなるのが分かっているので、買い取れなくても気長に待ちますよ。

 それに此処では面白い事をしているみたいですし、暫くは人間界で遊ばせてあげるのも良いかなと思っている訳です」


 交渉時の金額に対しては特に執着は無いので倍は出して良い。

 急ぐ必要も無ければ、余裕だけを見せ続けよ。

 練習通りな発現とは違い、若干のアドリブが入りましたが目立った失態は無い筈。

 見れば相手側の反応も、どこかホッとしたような部下の様子と、

 私の方に、顔が近くなった上司を見れば先ず先ずの結果のようだ。


「此方もぶっちゃけると、ここまでのお金を出されて、さらに倍となれば協力の一択ですが、

 そうなると協力の内容は貴方の元に蛇が戻る事。それが適わぬ間の安全を保障する事で宜しいかな?

 そして暫く遊ばせておくという、その期間についてですが、猶予は如何程で?」


「猶予については、そうですね。後から考えますが参考にしたい情報としては、

 蛇の飼い主について。国外に連れていかれる等の長距離移動が無ければ、気の向くままに。

 他にはヨルン、いえ、あの蛇の次の試合は何時頃に組まれるので?」


「それについては決まっておらず、早ければ3日後。

 私の力で1週間以上先延ばしにする事も可能です」


 3日は安心、さらに1週間以上の余裕が出来ると聞けば、リム様のとりあえず3日で問題排除の期間は問題無し。

 そして今の発言を聞く限りに、ちょっとした疑問も沸き上がって来た。


「となると相手は決まっておらず、相手についてはある程度の融通も利くという事もあります?」


「試合の調整をしているのは主に私なので、その通りです」


 どうやら思った以上に暇潰しに幅が出来そうな予感に身を震わせつつ、例えばこんなのはどうだろうと持ち掛けてみた。


「であるならば、私の方から魔物を持ち込んでも良いでしょうか?」


「勿論構いませんが、持ち込む魔物は闘技場の規定により、ランクがD以下のモノに限られます。

 そこだけは譲られないルールであり、歪めるとなると、私の力では及ばない所になってしまいます。

 ご理解を願いますが、逆を言えば、まあそれ以外ならば大抵の事は何とかなりますね」


 ランクがD以下、それだけ守ればルールの中で楽しめる。

 それならば、あと1回ぐらいは楽しんでも良いだろう。

 何を持ってこようか、報告ついでにリム様に聞いてみましょう。

 とりあえず、魔物を持ってくるのは確定しつつに、蛇の行動範囲について確認をしておきましょう。


「では都合の良い日に、蛇の遊び相手を持ってきますよ。

 後は蛇をお金で買い取れるなら、それで良し。

 それが出来なくとも、この施設か国内に留めて置ければそれでも良いです」


「分かりました。飼い主の情報については問題の無い範囲でお伝えします。

 国外に出る恐れは無く、飼い主の住居も目立つものですし、良ければ案内役もお付けしましょう。

 それと、直接会っての対話を希望するのであれば、場を用意する事も可能ですが?」


 となれば何も問題は無し。

 今の飼い主と直接会えるようにしてくれたりもするようだが。


「いいえ、まだ会うのは止めておきましょう。

 先に貴族絡みの件が片付いてしまうのを待ちますよ。

 3日もすれば落ち着くと、虫の知らせが来ていますし」


「え?」


 という訳で3日が経ちました。

 虫の知らせ通り、無事に貴族の頭が入れ替わり、

 数名のペストマスクにテカテカとしたツヤが表れている様子を眺めるサプです。


「では此方の魔物を寄与します。まあ何かあれば私が何とかするんで、聞きたい事があればどうぞ。

 食事の方は、見た目よりは食べる事も無く、気性の方も大人しめなので扱いやすい部類ですよ。

 闘技場の中で檻からの出入りをさせて、実際の戦闘は慣れさせてからという事で。

 後は対戦の日程についてですが、私も観戦したいのでその辺は教えて下さいね」


 そこそこに見栄を張ったらしい、金の装飾交じりの檻。

 その中に潜む、大人しめの魔物を彼等に紹介しながら、数名のペストマスクを観察すれば、

 仮面の下の人間は、大ボスの他、数名が入れ替わり付き添っているらしい。

 私が主に相手をしているのは、その大ボスであり、その他はメモを取ったり接待したり等。

 そしてそんな彼等は例外なく驚き、戸惑っている訳でして、

 原因はといえば、やっぱりこの檻に入れて連れてきた魔物なのでしょうか?


「これは…確かにランクがDまでとは言いましたが、海の方から持ってこられるとは…いやはや。

 頂けるのはありがたいのですが、正直にどう扱って良いのやら。勉強のしがいがありますよ」


 ペストマスク達のざわめく様子もほんの少しの間だけ。

 魔物についての知識はそこそこにあるようですし、

 驚きからの気持ちの切り替えも早く何やらやる気も出てきた様子。


「手に余るようであれば、用が済めば持ち帰りますし、

 欲しければこのままどうぞ。ある程度は手助けしますよ」


 そんな様子を感じつつ、彼等には予め用意されていたテンプレ回答をして、

 後はリム様に報告をした後に、拠点の人間達の処遇をどうするか。

 今目の前にいるペストマスク達に、ソレ等の情報を提供しても良いのだが。


「必要があれば助けを乞う事もあるでしょうが、先ずは」


 厳重な警戒と武装で準備する人間達と檻から解き放たれた魔物を横目に、

 今更関係の無い話をするのもなんである。

 響き渡る叫び声に、悲鳴交じりの懇願やら何やらが耳に入るが、

 落ち着き払った観察の声も入り、命令のある程度は通じる魔物を渡したのだから、

 これ以上ここに居続けても暇になるだけのようだし、挨拶だけをして拠点に戻る事にした。


 例の件に進展があれば、その拠点に報告が行くという事にしておいたので、後は彼等の働きに期待すれば良い。

 近況の報告も程よく行い、私のするべき事は他には何かあったか?

 急がず目立たず、ヨルン様を楽しませる。私は上手に行動出来ているのでしょうか。

 気になりますが、許可が下りたら直接聞いてみれば良いだけの話。

 それが何時になるのかは、次の機会を見てから決めるとしますかね。


 今、私が出来る事としては、こうして拠点に集めた人材にちょっとした実験をする程度。

 呪術の力を込めた、スライムの体を混ぜた、ほんのりピンク色な液体に人材を浸せばあら不思議。


「魔人様!もっと…、もっと下さい…。。。」

「魔人様!今日は何をお話すれば良いですか!?」

「魔人様!この身は魔人様の為に!」

「魔人様!ご要望通り、いっぱい仲間をつれてきましたー」

「魔人様!魔人様!魔人様ぁ~!」


 今日も今日とで増える人材は等しくウザったい。

 でもまあ、役に立ってはいるので我慢はしつつに思い返す。

 こいつ等が仕えていたとかいう、貴族の名前ってなんだったかなと。

 でもまあ、思い出した所で人間界の事情等知った事ではない。


 今までの流れを蜂に報告をして、何かがあるまでの私がやるべき事はヨルン様の監視のみ。

 分体は既に取り付けてあるので、監視は容易で有害になりそうな物の大半は弾く事が可能。

 つまりはもう監視をするだけならば、直接出向く必要も無く、見てるだけで良い訳だ。

 とはいえ、直接見て楽しむイベントを逃す気は無く、

 許可が下りればヨルン様の前に直接現れてみたりして楽しんでみたいとも思っている。

 そう、私はヨルン様の事だけを考えて、その他の事には興味は無い。

 ヨルン様が関わって面白くなりそうならと、頑張るのはそれだけで良いのだ。


 となればもうひと頑張り。

 一日でも早くヨルン様が復活するように、私は新たなるフェチの開発をするのだった。



   *   *   *

怪しげなピンク色の液体の正体とは一体

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