表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/196

蛇王の謎は深まるばかり

 目を開けばそこは、自分がこの世界に生れ落ちた地。

 見覚えのある石畳に拠点としていた朽木。

 脳の処理が追いつかない状態なので守護者を呼ぶ。状況説明を。




―――確認

 ユニークスキル『セーブ&ロード』により

 世界を復元し今に至ります




 ではステータスの確認を。



――――――――――――――――――――――――



ランクF 種族名『リトルスネーク』 Lv:1 HP18/18 MP30/30


攻撃:3

防御:2

魔法:8

速度:5



特性

『不死の肉体』

『蛇王の呪い』

『ユニーク守護者 - Lv1』


通常スキル

『ユニーク セーブ&ロード - Lv1』

『危険感知 - Lv1』『追跡能力 - Lv1』

『スニーク - Lv1』『解析 - Lv1』『鑑定 - Lv1』『受身 - Lv1』


攻撃スキル

『ユニーク 星食い』

『まきつき - Lv1』『かみつき - Lv1』

『テールスピア - Lv1』『捕食 - Lv1』

『蛇眼 - Lv1』『威圧 - Lv1』


耐性スキル

『冷気耐性 - Lv1』

『毒耐性 - Lv1』

『麻痺耐性 - Lv1』


称号

『フェティシズム:被食者 - Lv3』

『決意を得た者』

『森の主』

『悪食』


――――――――――――――――――――――――



 さて、分かる事を整理しよう。

 思いつくものを最初に。




 セーブして無かったのにーーー!!!




 と心の中で叫ぶも、スキル欄に注目すればレベルが下がっている。

 冷静に考えれば、ほぼ全ての取得したスキルが残っている。

 さらには、ちゃんとユニークスキルとして覚えた『星食い』が残ってるのには心からの感謝を。

 レアっぽいスキルだったし失っていたら精神的なダメージがとんでもない事になっていた…




―――確認 心の底からの喜びを感じました




 ああ、どうもどうも、ご親切にありがとうございます。

 ついでにですが、なんでロードが発動したのでしょう?



―――確認 逃れられない消滅の危機を回避する為の必要な措置でした



 ………『不死の肉体』でも?と聞き返したかったのだが。

 そもそも、自動で発動するロードとはこれもまた驚きである。

 自動設定は確かに行った記憶はあるけども。

 その行動は守護者が行ったものなので?



―――確認 その認識で間違いありません



 あっさりと言い切る守護者は凄いと思うが。

 消滅の危機との言葉、心当たりといえば。最後に見たあの人影。

 顔の判別も付かず、シルエットのような者達であったが。

 自分にも理解できるような言葉で話していた印象がある。


 守護者よ、この世界の言語とは自分は理解できているのか?



―――確認 アナタの知識での理解は不可能



 馬鹿にされているような言葉にも聞こえるが、それはまあそうだろう。

 予想の範疇であるが、意味はなんとなく理解できたような気がする。


 どうやら、あの爆風は魔法の類によるもの。

 直撃を受けていればそのまま爆裂四散、時世の句も読めずにこの世を去っていたであろう。

 『守護者』と『危険感知』が告げるのだ、生命の危機であったと。

 言葉ではなく感覚で理解できた部分が大きいのが魔物なのであろう。

 それは、このひと月の生き抜いたというか、死に抜いたというか。

 まあその、何と言うか、蛇の魔物として生活していた間に学べた経験があるから分かるのだ。


 例える所で、現状のスキルとして『危険感知』が告げるのは、

 本当に生命の危機が訪れた時しか発動しない。

 今後レベルを上げたり使い方を覚えたりで変わる様子はあるのだけどね。



 試行錯誤していた時のコトだけど、

 どれだけ体を痛めつけても、どれだけの敵に囲まれても。

 『危険感知』が反応する事は無かったのだ。

 レベルが関係しているのかとは思うし、使えないスキルだなと思うには早計。


 もしかすると本当に生命の危機に瀕した場合にしか警告が無いのではと思い。

 過去に発動した一度きりのあの状況を思い返す。


 確か鳥のような魔物に食べられ。空中運送された時だった。

 その後に呪いの力で消し飛ばした後にはるか上空に投げ出され、

 その時に危険感知が反応したっぽく、全身の感覚が鋭くなったような気がしたのだ。


 結果として、別にそのまま受け身はとれたものの、特にこれといった危険があったようにも思えない。

 あれは、落下の衝撃に備えよの警告に感じていたが、実は違うのではないか?

 そんな思いが強かったのだが、理由は特に無く、蛇の直感である。


 であるならばなんだ?

 そう考えた末の結論を出してみた。



 人間のような存在が居るとしたら。

 格上だろうが何だろうが、あっさりと対象を倒してしまう系の魔物を放置するだろうか?

 やがて、災害クラスの事象を起こすかもしれない可能性のある存在を無視できるのだろうか?

 そして対処できるうちにその芽を、摘みとれるだけの技術を持っていたら?



 良くある展開な妄想を膨らませていた所。

 対策を守護者と自問自答しながら考えていた。

 帰って来る答えが、若干テンプレ気味なのは相変わらず。

 多分それしか話せないんだろうなと思っても、要所要所で返答は考えているように思えるのが守護者の面白い所だ。


 でもまあ、そんな守護者との会話が有っても無くても、

 思いついていた対策の一つが『セーブ&ロード』の使用である。

 そして会話をした結果に追加で付与された効果が半自動化という、ちょっと便利な機能。


 『危険感知』が反応した場合、原因が特定出来ず生命の危機が訪れた時。

 即座にロードを発動できないだろうかと提案した時に守護者の返事が大きく変わった。



―――確認 守護者の権限により 可能です



 との答えが返ってきたのだ。

 これは嬉しい保険だと、意気揚々と設定したのだが。


 まさかこんなに早く本当に使う時が来るとは思わなかった。

 セーブも日課にするべきだったかと反省するも。


 心のどこかで決めていたのだ。

 セーブとロードを使用するその時は、進化の前後であると。

 それまでの、何と言うか、初回のサバイバルは存分に楽しもうと。


 ヤバめで危険な何かがあった事だし、データは3つあるんだ、折角だし、今この状態で。

 どれをどのタイミングで使うかと決めておいた方が良さそうだ。

 という訳で早速決めてみた。




 データ1.自由セーブ

 データ2.進化の前

 データ3.生れ落ちた日で固定




 どうだ、これで完璧だ。

 多少使い方を変えるかもしれないが、データ3だけは確定である。

 これは譲れない。何が何でも死守せねば。誤セーブなんてもってのほかである。

 故に、守護者よ。データ3にプロテクトを求む!



 ―――確認 データ3に上書きセーブを不可能とします より強固に守られます




 良し、完璧だ。

 なんとなく、強固に守られるという言葉も足され。

 不穏な音楽と共にセーブが壊れていますなんて心配も薄れた気がする。



 ―――確認 デケデケデケデケ デンッデンッ データ3を消しました



 音付きはやめい、しかも消しましたかい。



 ―――確認 嘘です



 知ってた。自分でも確認出来るし。

 一通りのセーブ状況を確認しての、問題なさそうね。

 このまま再び生れ落ちた日にデータが戻ったとしても、

 一部のスキルのレベルが1に戻るだけで、取得したスキルはほぼ残っている事が確認された。

 これはいわゆる、ちょっと強くてニューゲーム。

 むしろ、そこそこ強くニューゲーム。みたいな感覚だ。フシャー!



 今度の生は…



 『蛇王の呪い』『不死の肉体』縛りだな。



 多分であるが、この二つのスキルが目立ちすぎたんだ。

 別に『不死の肉体』については問題無いとは思う。


 問題は『蛇王の呪い』が派手すぎる事にあった。

 事はロードにて戻される前の検証結果なのだが。



・スキル『蛇王の呪い』



 音も無く金色の蛇の波動が対象が呑み込んだ。

 時間にして数秒。波動が完全に消え去るまでに数十秒。


 幻想的であり、無慈悲に対象へ逃れられない死を与える『蛇王の呪い』

 暫く唖然とし、思わず美しいとフシャーフシャー言葉に出してしまう程に派手だった。

 釣られて自分まで眠りにつきそうな程に瀕死だったのもぼーっとする要因だったのだが。

 それでもこの『蛇王の呪い』とは、とても目立つスキルであると理解した。




―――HP(2/108)




 そしてこの検証はまだ続いてしまっていた。

 こんな感じで、この『蛇王の呪い』の恐ろしい特性を遺憾なく発揮するという事になろうとは、

 全くの予想外な出来事でしたよ。


 フッシャー!ピッシャー!クッシャー!


 初めにこの目で確認出来た状況は、目の前の突如として現れた金色の蛇達だ。

 それぞれが鳴き声を上げ、その金色の蛇が自分の身を守護するように円陣を組んでいた。

 一瞬自分まで食らわれるのだろうかとヒヤヒヤしたものの。


 それがすぐに杞憂であると、その様子と本能による何かで理解がすぐに出来たのだ。

 その本能によればであるが、蛇の直感を信じ。


 自分は検証用に良く使う、開けた草原へとやってきた。

 無論、自分が瀕死のままに金色の蛇を連れてだ。




 ………おまわりさんこちらです。




 現場はどこかの森の中で、魔物達が一方的に惨殺されています。

 主犯格は、どこぞのちょっと大きめの蛇のようで森の主のようにふんぞり返っています。



 実際問題、ふんぞり返るというよりは、寝そべってますが。

 瀕死でシャーシャー声を漏らしながら自らのスキルに恐れをなしている状態であった。

 そうして、そんな光景が収まる頃合。

 つまりは視界に収まる生ける者全てを食らい尽くした黄金の蛇は、

 体力が回復しきった蛇さんを見つめると、元々自分達は一つのモノであったのだから当然と、

 スキルの発動者の体内へ吸い込まれるように消えていった。


 そんなこんなで、レベルが99に至るまで、大して時間は掛からなかった。

 何せ格上だろうが何だろうが、コレ一つであっさり倒せちゃうんですもの。


 心に余裕が出来れば検証あるのみな精神で、ユニークスキルな『星食い』と『蛇王の呪い』。

 さらにはレアな特性『不死の肉体』のお陰で自分の体の扱い方を効率良く覚え。

 追加である程度のスキルを会得。スキルの活用方法にもある程度の理解が出来た。


 そして様々な検証結果を経た蛇は成長を続けている。

 呪いの力だけでなく、他のスキルを使い戦い方を覚えた自分はもう、立派な一匹の魔物である。

 普通なら死ぬような目にあっても何も問題はない不死身の魔物。

 だけどそれに甘えず、今度の目標は死なぬ事。


 決意を新たに、今ここにレベル1の前世の記憶を持つ『リトルスネーク』が最誕生した。


 一人。むしろ一匹が太陽を背に、いずれ太陽をも食らってくれようぞ、なんてどこか神話か、

 もしくは児童向け絵本に出てきそうな一枚絵をイメージしたポーズをするが勿論誰一人として見ていない。



―――称号『魔物の探究心』を得ました。



 いや、守護者だけが見ていた。ちょっと恥ずかしくなった。

 ところで『魔物の探究心』とはこれいかに。



―――確認

『魔物の探究心』

 魔物として生まれ持ったスキルを理解し

 さらなる向上を目指す魔物へ付与される称号

 進化の過程に大きな影響を与える



 これはまた嬉しい称号だ。

 進化先をどんどん増やし、その前にてセーブをし、全ての進化先を網羅してくれるわー!

 そうさらなる目標が出来たところで、今後の方針である。



 先に述べたとおり。

 『蛇王の呪い』は使ってはならない。

 『不死の肉体』については、もれなく『蛇王の呪い』がついてくるので使えない。

 むしろ瀕死になるだけでも『蛇王の呪い』が発動してしまうのが厄介な所でもある。

 つまりは、大きなダメージを受ける事すら許されない縛りが追加された。



 そうして、候補にあがる有効活用可能なスキルだが。

 ユニークスキルである『星食い』である。


 MPを消費しての攻撃となれば自分が持つ唯一のスキル。

 このスキルも派手と言えば派手なのだが。

 あっさりとし、尚且つ相手次第では瞬間にエフェクトも控えめで済むので多分問題はないだろう。


 そうと決まればさあさあ、食って食って食いまくるぞー。




 といった所で、獲物が来たぜ?




 格好良い戦闘BGMは流れず、共に戦う仲間。もとい仲魔は誰も居ないが、ともかく戦闘だ。

 かといって面と向かっての戦いなど、こちとら一撃必殺ワンパン必死。

 レベル1vsレベル20とガチンコ勝負で敵う筈もないのだ。


 という訳でステータスを見比べてみよう

 守護者と話し合い、戦闘に必要な情報のみを纏めた簡易窓だ。



――――――――――――――――――――――――

ランクF 種族名『リトルスネーク』


Lv:1 HP18/18 MP30/30

攻撃:3 防御:2 魔法:8 速度:5

――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

ランクE 種族名『はぐれオーク』

Lv:20 HP100/100 MP3/3

攻撃:45 防御:29 魔法:5 速度:26

『組み付き - Lv3』『インファイト - Lv3』

『熱耐性 - Lv1』『再生力』

――――――――――――――――――――――――



 その日、蛇は思い出した。

 生まれたての自分の周りは巨大な魔物だらけだったという事を。


 なんという清清しい程の脳筋。

 人型の豚のような頭な、その姿でのインファイトに組み付きスキルは分かりやすく強そうである。

 武器も持たず、己の肉体だけで生き延びたであろう、そのステータスは格が違った。


 とはいうものの、その能力ではこの森で生き延びる為にはまだまだ努力が必要である。

 その無駄に多い体力と再生能力で苦しみを味わいながら貪り食われる運命が高確率で待っている。

 ならば慈悲の心をを持った蛇が、今この場で、貴様を楽に一呑みにして~

 我が身の一部にしてくれようぞー!



 フッシャー!



 そんなこんなで戦闘開始である。

 生まれてまもなくの初めての戦闘。

 戦闘ナレーションを頼む守護者よ。




―――『リトルスネーク』の不意打ち

―――『リトルスネーク』は『星食い』を発動

―――『はぐれオーク』は抵抗に失敗

―――『はぐれオーク』は捕食された

―――『リトルスネーク』の勝利を確認




 シャーッシャッシャッシャー!



 高らかな笑い声を上げ勝利の余韻に浸る。


 うーむ、やはりチートだ。

 なるべくなら魔法のステータスが低い相手を選びたいと思ってはいたが、

 丁度良く現れてくれるとは思わなんだぞ。


 しかしモンスターとはいえ、人型に近い相手を捕食するのには抵抗が無いとは言えなかったが。

 醜悪な顔をした豚顔のオッサンみたいな相手だったし。

 股の辺りがギンギンに硬くなっていた気もするし。


 なんて考えるのは無駄である、一蹴する。

 ただ、生き延びるために捕食する必要があったが為にそうしたのだ。

 そもそも、自分より遥かに大きな物を何故捕食できたかと疑問の余地は大きいが。


 ユニークスキル『星食い』の効果であるとの認識である。

 明らかに自分の身の丈では収まらないようなものも自らの胃袋の中に納めてしまう素晴らしいスキル。

 ユニークと付くだけはあり、『星食い』の名に恥じぬ性能である。



 そもそも原理も分からず、どの程度までの効能が期待できるか等は後々に検証するとしてだ。

 使えるようになった瞬間の驚きもまた頭を悩ませる事になってたんだよね。



    *   *   *

ステータス比較部分の構成が無視できないぐらいに投稿したら歪だった。

守護者の―――確認 の複数行にわたる部分もズレてるので後に修正な課題が出来てしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ユニークスキルの不死の肉体でも復活できない攻撃とは?相手もユニークスキル持ちかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ