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蛇と魔物はパーティーを結成

 さて、蛇の魔物ですが頭を悩ませる事態に直面しております。

 自身の知らぬ所でセーブ&ロードによる綻びが目に見える結果となって現れ始めているのですから。


 とはいえ、世界が問題無く動くという点に置いては全くと言っていいほどに影響は無いようです。

 数億単位の生物の中から数匹のモノが消えてなくなる。

 森の中の木々や山が整地され、真っ平になっていた。

 ついでに天を貫く程の大樹が世界に突如現れた等。


 例に上がる程度の事例は世界にとって些細な問題と認識されている模様。


 しかし、ヨルンとしては大問題である。

 綺麗さっぱり過去の世界へ元通り。タイムスリップ的なイメージが崩れてしまうのだから。


 スキルによって消えてしまったであろう名も知らぬ生き物を考える。

 【セーブ&ロード】を発動した際には、その世界の間で生まれ出た命も無かった事に。


 これは所謂、悪と呼ばれる類の行為なのだろうか。

 そもそもに悪と認定する者は誰もいない。

 このヨルンを叱りつける者などもいない。

 もしセーブとロードを介した時、はっきりとした記憶に残る者がいるとしたら…

 ある日突然全ての行為がリセットされたら?

 ある日突然全ての行為が戻ったら?繰り返されたら?


 前々から考えていた事ではあったが、そういった事例は対処せねばならん。

 迎え入れるか、排除するか。知らぬ存ぜぬを通すか。

 そもそもそういった事例を知る事もなく時が過ぎる可能性の方が高い。


 少なくとも今までのように考えなしにスキルを使い続ける事は難しい。

 そう考えたのだけれども周囲の意見を聞けばこんなもん。



 別に良いんじゃない?

 流石ですヨルン殿!

 ヨルン様がいれば我々は安泰ですな。ぷりんっ!



 と言った具合に賛同の声が上がる。

 そう、今はこのヨルン。他3匹の魔物にて行動中なのです。

 PTプレイ中ですぞ。ぼっちではありません。

 今までも他者との交流は続けていましたが、

 対等に意思の疎通が出来る面々とこうして冒険するのは初めてなのであります。


 今回の世界の目的は癒される事。可愛いは癒されるが故の面子が綺麗に揃いました。

 人間と比べればちんまい4匹で行動中ですが、

 宿駅である【蛇の通り道】を活用すればさらなる癒しの子も待っている。


 その他の面々とは別行動ですが、全員が全員で行動する訳にもいきません。

 癒しとは程遠そうなデカイ蛇のアスピクとは別行動。あとで近況を聞きに伺う事は視野には入れてます。

 始祖竜であるユミルとの行動は次回に回しましたよ。

 次に会う時を楽しみにしてるとお互いにスキンシップをしながら別れました。

 外見と大きさは重要だったが故に彼等の優先順位は下がってしまったのだ。

 そんなデカイ面子も係わり方次第では癒される事もありますが、

 やっぱり怖いと素直に思ってしまうのが難でした。



 では改めて周りを見渡しましょう。

 ぽてぽてと擬音を付ければそんな音で歩いていそうな可愛い魔物達。

 所謂ロリショタ魔物っ子と例えて差し支えないでしょう。


 性別はどれもこれもないっぽいのですが、そんな魔物は全員が全員、魔物を産み出せます。

 つまり、ふた○り。でもないか。アレやソレやと無いんですもの。

 無ければ触手で代用…するのは考えてはおりません。


 魔物を生み出す例をあげればタマゴで産み落としたり、自分の肉体を切り落としたり。

 体内である程度作る事もあれば、繭のような物を作りそれで育てる事もあります。

 それだけではなく、【眷属化】というスキルを自分達の種族の特権で4匹揃って持っております。

 簡単に説明すれば対象を仲間にしてしまうという、凄い能力です。


 抵抗する術はあるにはあるようですが未対策ですと人間の国が丸々一つ無くなるようです。

 人口で言えば10万人程度を無力化した実績があるのですよ。

 【眷属化】は人間でさえも魔物の姿と変化させ。魔物ですらも種族を自身と似た種族へ変貌させる事も可能。

 失敗しても精神に甚大な被害を与えるのが【眷属化】というスキル。


 つまり、平然とこんなスキルを使ってのける自分等は、

 相手の立場になって考えると、相当に凶悪な魔物なんですよ。

 目立って行動すれば討伐対象となるでしょう。

 とはいえ、自分達は正面から戦わずとも前述のスキルやらがありますし。

 変身能力も備わっていますし簡単にはやられません。


 戦力としての魔物の生産力も半端ないですし、

 魔物の中でもレアな最上位種といった感じで自分等が生き延びていれば魔物世界は安泰である。

 それを理解してしまえば、そんな魔物が4匹集まるという事。

 これは愚策なのだろうか? といっても敵なんていませんし。

 自分等を4匹纏めて討伐出来る存在なんて想像できません。


 お隣には魔王と呼ばれるぐらいに恐ろしい方が一名おわしますし。

 相変わらずに容姿だけは可愛いですけども。

 可愛いお陰で、唯一人間側で恐れるべきであろう女神さんは友好的です。

 魔物を生産しない。目立って行動しないとの約束を守る限りは敵対はないという事になってますよ。

 そんな女神さんは行方不明。各地を回って情報収集だとかなんとかするとは言っていた。

 思えば未来予知する為、情報を得た後に自殺するって常軌を逸した行動ですな。  


 方法はどうあれ、女神さんも何度も世界をやり直しているという事は。 


 ふむ、つまり自分も正義である。

 女神さんの自殺行為を無くしてロードが出来るのですし。


 というよりも、正義に対する悪が存在しないのだから

 自分が正しいと思えばそれで良い。 


 考えていても仕方のない事。目に見えぬ事を考えていても分からない。

 今この場に集まる仲間だけを考える事こそがヨルンの選んだ道。

 身近な存在も賛同してくれるのだ。問題が湧き出てくるまでは気にする必要はない。

 なのでサクっと思考を切り替え現状の問題を考える。



「実はあの花火ね。いつだかの世界で自分が作ったものなんだけど」


「どういう事ですか?」


「ヨルンちゃん続けて」



 ヨルンは記憶を遡る。

 過去に魔法使い風のおっちゃんと出会い錬金術を学んだ時を。

 その際に爆発する材料を見つけたので魔法の力を込めた結果。

 記憶に残る花火とも似た綺麗な色をした爆発を繰り返す道具を作れたことを思い出した。


 少し考えるも自身の錬金術のレベルの低さ。

 それを考えるに、この程度の花火のような物を作り出すのは容易な事ではないか?

 世情に疎いヨルンは周囲の意見を求める。



「ん~とね。とりあえず今まで生きて、さっきの花火見た事あるお方はいるかい?」


「無いわ。似たような物でも質は相当低いし。というか攻撃用のアイテムでだけど」


「私も見た事ありません。少なくてもああいう類の物では」プルリン…


「熟練した魔法使いなら…可能な範疇であると思いますが」



 ヨルンに付きそう魔物は3匹。それ等より様々な意見を貰いました。

 似たような物は所謂、爆弾のような物の事らしいです。

 自分も冒険者が扱う姿を見た事があるので懐かしい記憶がよみがえります。

 話を聞けば色々と存在するようですな。炎だけではなく凍らせたり電撃ビリビリさせたり。

 でも質は低いらしいです。しかし飛び道具として使うには十分な性能とかなんとか。

 高価なものでDランクの魔物を撃退したりできる程度まではあるらしいのですが。

 しかしネーサンの記憶には戦闘において実用性のなさそうな花火のような道具は記憶に無いとの事。

 モブ達二人も意見を出し合うものの、特にネーサン以上の答えは出ずに終わる。



「となるとまた一つ、確認事項が増えたね。

 あの花火、教えたのは一人だけ。魔法使いのおっちゃん。

 元魔法ギルドの長だったとか聞いてるから、もしかすると…」


「有り得ない話じゃないけれど。

 どう確認する? 誘拐でもする?」


「であるのならば私めが参りますぞ」プルプル。


「無力化ならばサプの右に出る者はいないかと思われます」


 一つ湧き出ればまた一つ。

 セーブとロードに関する綻びは留まるところを知らない。

 けれども、心当たりが存在するだけまだマシである。

 対処の方法として誘拐やら無力化が出てくる辺り、

 やはり魔物の集まりなのだなと思うも癒しを求めるヨルンとしては平和的に事を運びたい。

 自身が先陣を切って話さねば物騒な方向へ話を持っていかれるようですな。



「ん、良いよ。直接聞いてくるから」


「ちょっと待ちなさい。アレよね。ヨルンちゃん…一度世界滅ぼしかけてるのよね?」


「ほい。その後にロードしましたけど」


「それなら。もしその人間が記憶を持っていたとして恨み抱いてたらどうすんの?」


 ネーサンは心配性であった。

 何を心配しているかは言葉通りの意味だけではなく、

 ヨルンが心的ショックを受けないかどうかの心配であろう。

 ネーサンのヨルンに対する態度はあの戦闘行為の一件以来、

 事あるごとに心配する素振りを見せてくれます。

 ヨルン的には一つの意見として受け取り、安心させましょう。

 とはいえ、考えとして何か思いついた訳ではない。

 いつものように行き当たりばったり。いずれこの考えも改めねばなるまいが。


「えーと。なるようになる!」


「まあ、アンタの能力ならどうとでもなりそうよね」


 以上。お馴染みとなっているやりとりの一つの受け答え。

 大抵の物事はこれで解決します。

 しかし今回に限ってはどうだろう?


 少しばかり気が重い。

 重さレベルで言う所のアダマンタイト級である。

 ネーサンよりアダマンタイトとやらの鉱石をお遊びで上に載せられた時のあの重量。

 ネーサンは軽々しく持ち上げていたがヨルンが持った途端に地面が陥没した覚えがある。

 今になって思えばあの現象はイタズラにしても不思議である。

 ちなみに対象が対象であれば普通に死んでいると思われる重量でしょう。

 物理的な重さで例えてしまい、話が逸れましたが…

 言いたい事は、とにかくおもいとだけ言いたかった。



「という訳で、話を変えて。村娘の子だけど」


「情報はこれ以上引き出せないわ。村のお店で買った。それだけよ」


「その村人からも情報を引き出しました」プルルッ…


「魔法都市からやってきた冒険者が売りつけてきたと言ってましたので、

 話だけでは、それ以上無理でしたけれども」


 話を聞けば、どうやら花火はお店で購入可能?

 そう話が単純であればネーサンが知らない筈がないとい。

 どうやらモブ達が追加で情報を調べてきた模様。

 絡み所が増えたかもしれないという期待が膨らみヨルンさんテンションをあげちゃいますよ。



「けれども? という事は?」


 何故だかこの集まりのリーダー的ポジションに収まっている今の立場は成り行きである。

 モブ達2匹は自分を慕い付いてくる。

 敵意も悪意も感じず、多少恐れる素振りを見せるものの反逆する様子は見当たらない。

 アスピクと絡んでいた所為か、ネーサンが目を光らせている所為か。

 はたまた純粋にこのヨルンが怖いのかは分かりませんが…

 悪い関係ではないので信頼する事にしております。

 そして目の前のモブ達は二匹で少し顔を合わせコソコソするも直にヨルンへ向き直る。



「私のスキルで追跡してみた結果」


「作成者がその元魔法なんとかギルド長の人間である可能性が濃厚です」


 モブ達の発言にヨルンの耳がピクピク反応。

 もしやこのモブ同然に扱っていた者達…かなり役立つのではないか?

 これは交流を深めねばなるまい。

 目を輝かせ目の前の2匹を見据えると、何かを間違えて察知したのか怯える2匹が発生した。

 ふむ、彼等の中で自分がどういう存在であるのか理解を深める必要がありそうです。

 

「ほほぅー。そんな所まで分かるのかい?

 思えば全然知らないんだよね。サプにリフの能力も全然だし?」


「サプのそういう所と状態異常の扱いに関しては…まあ認めるわ」


「お褒めに預かり光栄です」ぷるっ。


「調子に乗るな…サプ」


 各々の関係が見え始める中。

 どうやらサプは状態異常で攻め立てる系であるようだ。

 ネーサンが太鼓判を押したという事は調査結果も信用して良いのだろう。


「となれば、ヨルンは確認に向かいます!」


「その前に事後処理しておかないとね。

 ヨルンちゃんの呪術振りまいてるお陰でする必要も無さそうだけど」


 こうして抜け目のないネーサンは事後処理という言葉を使う。

 姿を見られたので記憶を改ざんするという事です。

 某映画のように、この瞬間の事を全て忘れるフラッシュ的な何か。

 眷属化でも可能ですし、呪術でも可能です。

 確実性であるならば前者がMP消費多めの上位スキルであるが、上位互換という訳でもない。

 効果があり過ぎるが故に加減が効かないのですよね。

 それはそうと、自分の呪術は使うつもりではありましたが既に振りまいてるですと?


「んあ? 別になんもしてないけど?」


「………ヨルンちゃん?」


 全く身に覚えのない言葉に頭に思わず【視覚的呪術】によりクエスチョンマークを浮かべ首を傾げます。

 対するネーサンはジト目でヨルンを睨み付け、モブ達は距離を置いて身を寄せ合っておりました。


「はい。なんでしょ?」


「まさかとは思ってたけど。やっぱり自覚なかったの?」


「むむむ…?」


「その反応で理解したわ。自覚無しで呪術振りまいてたのね」


 イマイチ状況が理解できませんでしたが、どうやら自身の呪術が垂れ流し状態にあった模様。

 こうして意識しても感知…出来るような気がします。

 むしろこの状態がデフォルトであったが故に何の違和感も感じなかったという事?

 所謂パッシブスキル。常時発動状態となった呪術をこのヨルンは見に纏っていた?

 ネーサンの機嫌は別段悪いという訳ではない。

 むしろ何か納得したという表情をしながら頷いている。

 となれば理解していないのはヨルンだけという可能性がある訳で、

 モブ達を見れば頭の上のクエスチョンマークを凝視していた。

 どうやら珍しい物の類だったようで、互いに顔を合わせコソコソやりとりをしていますよ。


「確かに呪術は得意技というかなんというか」


 という訳で困った時の守護者頼り。

 以上のやり取りでしたが守護者の情報を願います。


―――確認

 呪術を常時発動していた事を確認

 共感により敵意の軽減。耐性の無い者は好意を抱きます

 その他。癒されるようです。物理的にも精神的にも



「成程。良い事づくめではないか。癒しをふりまくヨルン!

 これからも、呪術により世界に愛と平和な空間を作り出すのだ!」


「…まあ、悪い事ではないし。別に気にする必要もないわ」


 こうしてヨルンに関する謎が一つ解けた。

 常に呪術を解放状態であったヨルンに近寄る者は全てが影響化にあったという事。

 効果の程は、村の様子を見れば一目瞭然。

 成すがままされるがままにお酒に、おつまみに、

 全ての食料がヨルンの胃袋の中へ収められていきます。

 うむ、そろそろ遠慮しよう。村にも生活がかかっている事ですしな。

 ああ、でも出された分は全部頂いておかねばなりませぬ。

 こうも楽に、敵意を向けられずにもてなされるなんて、

 普通に考えたら、何かがおかしいと思ってたのですよ。

 可愛いはお得だねーなんて思っていた時期が終わりを告げた瞬間である。



 そういえばモブ達を見れば何やら上機嫌。

 ヨルンに何かを報告したくてウズウズしているようです。


「お陰ですんなりと材料が手に入りました」


「見事な魔物が出来上がりましたぞ。ヨルン様もご覧あれ」プルルルルッ


 そうして目の前に出されたモノは見覚えのある獣のような魔物。 

 それに加え一回り大きくなり、背中より生える一対の大鎌。

 これが改造という行為の一つの答えなのだろう。

 自慢げにリフが見せびらかすそれは無邪気な子供が親を前に

 砂で作った城やおもちゃ箱一杯の積み木を全て重ね終えた後に見せにくるそれと似ていた。

 よしよしと触手で頭を撫でつつ魔物の様子を観察すればランクにしてD+程度と推測する出来だった。


「おお…よしよし。これは強そうな獣で。さっきの魔物を使ったのかい?」


「はい、そして人間も望んでいましたので一つに組み合わせました」


 こうしてリフを褒めていた触手は時が止まったかのように硬直する。

 無邪気な顔から繰り出される人間と一つに組み合わせましたという言葉。

 さらに魔物を観察すれば人間の面影など何一つとして残っていない。

 加わっているとすれば人間一人分取り込んだらこのぐらい大きくなるかな?

 程度の変化が感じられた程度だ。

 調べる内にスキルを通して感じられる情報として出てくる答えは確かに人間が混じっている。

 加えて言うのであれば、初めに出会った人間はもう姿形も存在しておらず。


「へ? ちょいまち。人間って。アレ? さっきの村娘?」


「そうです。ヨルン様の為になるのならば、その身を魔物にとの事で」


 そしてヨルンは考える。

 このモブ達が2匹揃ってコソコソしていた理由は、

 人間と魔物をかけ合わせて作り直していた故にの事だったのだと。

 しかも…純粋なる好意からの行動であった事もヨルンは理解してしまった。


「ああ。うん。そのー、なんだろう。

 確かに村で農作物を育てる人手は欲しかったけれども。

 別に人間のままでも良かったのに」


「ですが魔物になれば効率は上がりますぞ?」プルンぷるん。


「農作業程度なら疲れ知らずに働き続ける事が可能です!」


 目を輝かせ迫るモブ達2匹。

 その心情は、自分に取り入られる為に自身に何が出来るかを必死にアピールするソレだった。

 確かに、こうまでされればヨルンにとっては分かりやすい。

 好意であるが故に。しかも村娘も望んでしまったという事も合わさり否定し辛い状況だ。

 否定するにも特に材料は見つからず。呪術による影響を考えれば自身にも非がある。


「そうそう、あの村娘の番いと思われる者も改造しておきました」


「放って置いたら死んでしまいそうだったのでサービスですぞ!」


 迷う間も無く続く言葉に追加されるもう一匹の魔物。

 そうか…あの村娘とデカイ男はリア充だったのか。それが今やリア獣。

 言葉を失うヨルンに見かねたネーサンが肩を叩く。

 蛇の肩はどこぞや? 多分叩かれたその部位が肩なのだ。


「アレよ。ヨルンちゃん。私達魔物なのよ。

 人間に対する感情なんてこんなもん。

 人間のまま飼いならしたいんなら先に言っておくべきだったわね」


「うん。失念してたね。まあいっか。

 …念の為にネーサンや。監視お願い。

 一応、村のみんなの記憶は消しておくよ」


 どうやら魔物として生きるに割り切る部分はまだ残されているようです。

 ネーサンも人間飼いならすだの処理するだの突っ込み切れません。

 ヨルン的思考もネーサン寄りとなっているので、

 今更あれこれ言うつもりもないですがなんともモヤモヤした気持ちは残りますな。  


 ともあれ仕上げです。

 呪術を意識し集まる村人達へ残らず催眠術で記憶を刷り込む作業を終え何事も無き日常へ。

 守護者にも確認を取り作業の完遂を確認。

 ネーサンも抜け目なく小さめな眷属を召喚してました。


「元からそのつもり。念の為に眷属を数匹置いとくわ」


 ネーサン曰く。監視カメラの役割をするらしい眷属の魔物達。

 リアルタイムで視覚で監視が出来るようなので重宝するだとか。

 音声も聞けるらしいのでなんとも便利な能力です。後でヨルンも学びましょう。


「それじゃ準備が出来たら出発ね。目的地は魔法使いの住処。

 今度の行動はヨルンに許可を貰い行う事!

 それが出来なければネーサンから指示を仰ぐこと!」


「分かりました」

「了解です!」プルルンッ。


 こうしてリーダーとなっているヨルンに続き、

 プニプニプヨプヨした魔物達が敬礼をビシッと決めた。

 改めて仲間が出来たという実感を得つつ号令をかける。



「では移動開始!」



 ポテポテと進み始めるモブ達。

 自分が先頭にてネーサンが最後尾。

 モブ達は隣同士で、やはりというかスローペースだ。

 ポテポテポテポテ可愛い動きではあるのだが、なんというか遅い。

 特に急いでいる訳でもないのだが、

 なんとも速度が合わずにネーサンに突っつかれる2匹が不憫である。

 ヨルンとしては解決せねばならん事態だと判断し声をかけました。



「んで。足が遅い2名について」



「申し訳ありません…少し辺りが騒がしくなっても良いのなら早くなれますが」

「お二方が早すぎるのですよ」プルルプ…


 本当に申し訳なさそうに答える2匹。

 頭に針が刺さっていますが、ソレは気にした素振りも見せないモブ達。

 どうにもならない力が働くので諦めているのでしょう。

 助け舟を考え、ネーサンの様子を伺えばネーサン自身も考えがある様子。



「いっそのことヨルンちゃんのお腹の中に収めて運んでみる?」


「おお、それはナイスアイディアー?」



 そんなネーサンの言葉はヨルンとしても良い解決方法であると触手を鳴らす。

 そうしてモブ達に向き直り自前の牙を光らせて…


 必死の形相でそれだけはお止めくださいと叫ぶリフ。

 そして高速で飛沫を飛ばすサプ。


 そうですよねー。分かってました。

 脅し効果でスピードアップする事もなく平常運転を開始する。



 まあ、この調子なら仲良くやっていけてますし心配する必要もないでしょう。

 今も先程のやりとりがあったとはいえモブ達はヨルンに密着状態となり癒しを与えてくれるのですから。


 とはいえ、移動の遅さは課題であるな。

 一人でいる時とはまた違うという事か。


 そんな事を考えるヨルンの頭には先程の村での出来事は既に頭には無く、

 モブ達との親睦を深める方法を考えるのであった。



   *   *   *

ヨルン「ご飯おいしかった」

ネーサン「村の蓄え何割か無くなったんじゃない?」

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