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- 蛇のサバイバルの参 -

割り込み投稿失敗して、暫く削除出来ずにいた

 蛇の体は宙を舞う。

 活動範囲を広げる為に、崖を超える必要があったからだ。

 ちなみに別の道探そうとすれば、普通に降り口はある。

 こんな方法を取った理由は単純な所で、高所よりの落下で死ぬか死なないかの実験である。

 ある意味で自殺とも取れるこの行動も、不死身な体であるのだし、何の問題も無い。

 守護者もそう言っていたが、この場でお願いしますと言われたので試してみているだけだ。


 大地が近くなり、紐無しバンジーだもの、この後に起こる展開は、どうなるか?

 地面に叩きつけられた蛇はのたうち回るが、命に別条が無い事を確認してしまう。

 どうやら高所より落下した程度では、死ぬ事はないらしい。


 蛇である自分の身は、風に浮く程に軽いのか?

 単純に耐久力が高いだけなのか?


 疑問に思ったので試してみよう。

 蛇の耐久テストだ。


 ほら、ゴブリン共よ、蛇を殺して見せよ。

 都合良く現れたゴブリンの前へ、無防備に攻め寄れば、襲われるのは必然である。


 殴る、蹴る、棒で叩かれる。

 一通り受けてみたが、まだまだ余裕。

 瀕死にすらならずに、暫く耐えきれる。

 逃げる演技をしながら身を守りつつ、引き離さぬよう注意を払い、

 しつこく追って来るゴブリンの数が増えている事を確認した。


 その内の、一匹の一回り大きめなゴブリンの手には、金属製の剣が握られている。

 アレを受ければ死ぬのかねえ?

 という訳で、ソレが飛び掛かってきましたし、蛇の頭部で受けてみた。


 名前を付ければ、ゴブリン流、からたけ割り~って所でしょう。

 蛇の体は真っ二つ。金属な剣を受けて弾ける程の体では無かったらしい。


 冷静に自身の耐久力を図りながら、復活を果たした蛇の身は新品になり、

 後に残されるは何も無い。骨も残らず、血溜まり少しが残っている程度である。

 ゴブリンが纏っていたボロボロの衣服も、金属製の剣も、何もかもが消え去っている。

 一瞬、あのゴブリン達は幻だったのではないかとも思ったが、


 ふと、喉に違和感を感じたので吐き出してみれば、

 覚えのある金属製の剣が、ヌルリと顔を出す。

 錆びついてはおらず、刃こぼれ少々といった所か。


 ふぅむ、成程と思うだけ思っておきながら、確認作業だけ済ませてしまいましょう。

 切れ味が悪いようで、体を擦っても、切れる様子の無いこの剣はなまくらですね。

 噛みしめてみれば、バキバキに崩れて、これはまた妙な、鉄っぽいがお口の中に広がりました。

 少なくても美味しいとは感じないが、食べられない事はない。もきゅもきゅ。


 完食した所で行動を開始しよう。


 どうにもこの辺はゴブリン達のなわばりらしく、ちょっとした集落のような感じで洞穴が並んでいますね。

 ならば実験だと、ソレ等の前に姿を現しつつ挑発行為を繰り返し、

 隙あらばと噛みついて、ソレ等の怒りを買いつつ、蛇は縦横無尽に動き回る。


 友好的な関係など、ゴブリン相手に抱く事は無い。

 知識を得る為の、実験材料としてしまうのだ。


 それにしても、意外とイケるものだ。

 ゴブリン程度であるならば、複数相手にも大立ち回りが可能な能力を自分は持っている。

 逃走から反転、ゴブリンの群れに突っ込んで、尻尾を叩きつければ、面白い程に相手さんは吹っ飛ばされた。

 これは普通に殲滅可能なのではないか?

 そう調子に乗り始めた頃に、何かがあるのはお約束。


 そんなお約束の一つには、ゴブリンの中にはパワーアップした上位種が…、というのも予測済み。

 だからと言って今の現状、何が出来る訳でも無く、予測可能で回避不可能という奴でして。

 探索する内に、遭遇してしまいましたが、アレは他者に比べて一回り大きい奴が上位種なのですな。


 剣と盾を持った、その上位種のゴブリン。

 暫定的にホブゴブリンとでも呼びますが、そのホブゴブリンの前に立ってしまったのが運の尽き。


 迫り来る盾に、蛇の頭がぶつかって、ひるんだ隙に、剣による一撃必殺。

 やられるときは、意外とあっさり貫かれてしまうものだ。

 蛇を貫いた剣を掲げて、そのまま勝鬨を上げるホブゴブリン。


 冷静に状況を分析しながら蛇は考える。

 次の瞬間に、全てが食らい尽くされ、何もいなくなった世界で考える。

 とりあえず、食べてしまった剣を吐き出して、自らを貫いたであろう剣を観察する。


 手も無く足も無い、蛇の体で道具を使うのは困難だ。

 しかしそれでも、剣を地面に固定する事の、実験を開始する時が来た。


 コレで貫かれたのだから、ゴブリンが持たずとも、こうすれば剣をこの身に受けられる!


 セルフ→ゴブリン産の剣。

 全力で蛇の身を叩きつける事の、結果として、無事に貫かれ。

 無事に復活も果たす事が出来た蛇は、さらなる死を求め、周囲の散策を始める。

 そうして発見したのが、ゴブリン達が仕掛けた罠であろう、落石の仕掛けだ。

 留め木を外すだけの、実に単純な仕掛けで転がり落ちるであろう巨石の罠は、

 直撃すれば、分かり易く死ぬであろう罠だ。


 実際にこういう罠って当たるのか、不思議に思った蛇は、その身に受けてみようと画策する。

 仕掛けを起動したとしても、落下地点に自分が居なければ意味がない。

 起動して、全力で落下地点に向かったとしても間に合わない可能性が高い。


 何か方法は無いものか?


 さらに周囲を探索すれば、幾つかの物を見つける事が出来た。

 頑丈そうなロープ。未だに火の付いていた焚き木。

 そして中身の入ったお鍋に、調理器具。


 布を噛みつつ鍋掴み代わりに使用して、熱々の鍋を動かし、中身を観察。

 どうやらゴブリン達は、料理中だった模様。

 中身は肉やら野菜やらを適当にぶちこんだだけの物。

 簡易な寝床に、虫の詰まった瓶も見つけた。

 ふぅむ、ゴブリン達にはゴブリン達なりの生活があったという事か。


 まあ、運が無かったという事にしておこう。


 そんな事よりも、火があるのだから、やる事は決まった。

 燃やすモノとして、丁度良いものは?

 乾燥した木材を並べればそれで良いだろう。


 そうして往復しながら、十分な距離を稼ぎつつ、これ以上に何も考えずに点火する。

 これから毎日、家を焼こうぜ。

 冗談交じりに、派手に火を付けたが、火の回り具合は想定の範囲内。


 あとは巨石の留め具が壊れるのを待つだけだ。


 蛇が感じられる熱による情報が巨石を包み込んで暫くが経過した。

 ガコンっという音が響き、ゆっくりと巨石が転がり、そして落ちて来る。


 やっぱり、コレは死ぬ奴だ。

 このままこの場に留まれば死ぬ。

 本能でソレを理解してしまい、逃げられるのだから逃げても良い。

 そう感じながらも、コレは一つの実験なのだ。


 歯を食いしばり、自身を一喝しつつ、あえて巨石へ立ち向かう。

 やれる事と言えば、タイミングを見計らい、頭突きをする程度だが。

 それでどうにかなるなんて微塵にだが、少しだけ思ったりもしている。


 結果として、ぐちゃぐちゃに潰れてしまったであろう。


 復活を果たした蛇は思う。

 自分って、岩も食えるんだなと。

 でも食べるんなら、やっぱり料理されたこのお鍋の中身の方が良いな。


 もしゃもしゃと、何の肉だか分からない。

 何の野菜だか分からない、お鍋の中身を食みつつ、幸せに身を震わせる。

 自分で自身の体を傷つける実験は終わりにしようと心に決めて、蛇は行く。


 何度死んでも良いならば、見知らぬ強敵を相手にし、ソレ等を知る事に時間を使おう。


 とはいえ、ただ死ぬのも何だから、少しは隠れる事も覚えなくてはならんな。

 となれば効率良くやる事は、強敵を相手に気付かれぬよう、尾行を続けてみる訓練を!


 でもまあ、そんな都合よくそんなのが現れる訳でも無し。

 気長にゆったりと、構えて地を這い、ゆるりと動き続ければ、

 尾行されていたのは自分であり、学ぶ事は多いな~と。


 まさかコボルト達に襲われるとは思わなかったぞー。

 前に遭遇した事のある個体は、蛇が苦手だったらしく、追い払われた覚えがあるのに。

 後を付けつつ、隙を見せれば蛇さん丸ごと齧りますタイプも居るとは、個体差は激しいようだ。


 反省しつつ、膨れたお腹を尻尾で擦り、気合を入れ直す。

 何としてでも隠密を成功させ、死亡率を下げねばならぬ。

 蛇であるからにはスニークだ。目立たぬようにする術はある筈だ。


 泥に塗れる。日の光に当たらない。

 そもそもに他の生物の視界に入らない。その為には先に相手を見つける。

 勿論音は立てずに、周囲の状況には常に意識してと、覚える事は山ほどにある。


 いっその事、他の生物に擬態してしまおうか?

 植物のフリをしてしまうのも良いかもしれない。

 ともあれ、現状で出来る事は少ない。

 ソレ用のスキルでもあれば助けになるかもしれないが?


 無い物ねだりをしていても仕方がない。

 訓練すればスキルを得られる。

 きっとそうだ。ゲームでは良くある事だ。


 隠密行動を繰り返し、レベルを上げれ見つかり辛くなるのがこの世の理。

 そう信じる事にし、数日の時が過ぎればあら不思議。


 目の前に転がるコボルトの死体を、ご本人が持っていた剣を用いて解体しつつ感じていた。

 蛇の隠密レベルは着実に上がっている。

 犬顔の腹を裂き、内臓を食みながら内部を探る事の発見はそこそこに。

 やっぱりと言うべきか、どの個体にも魔石っぽいのが備わっている事を確認。


 勿論魔石は蛇さんが美味しく頂き、お犬様のお肉は食後のデザートとしていただきます。

 自分も蛇の魔物なのだから、それなりに大きくはなりたいし、食べられる物はガンガン食べましょう。

 しかし、どう頑張っても食事の度に血塗れになるのは避けられんのが難である。

 いずれは解体せずとも、一匹分を丸ごと呑み込みたいものだ。


 でもまあ、今は今で蛇としてのサバイバルを楽しむべきか。

 のんびりと気長に、効率を高めていく、この序盤の感覚を心置きなくね。



   *   *   *

100話以上投稿した後に追加部分なので、何か変な所があればその都度修正します


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