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【蛇の通り道】-3-

元々エルフでしたが蛇の魔物となってしまったようです。

 夢を見ていました。

 蛇になったような夢を見ていたんです。


 ほら。起きてみれば

 手もなければ。足もありません!



 ………

 ………

 ………



 あれ?

 動いてみましょう。


 うねうねしてます。

 すっごく曲がります。

 肌が白くて綺麗です…


 わあ。美肌!



 そうではありません!

 夢じゃ無かった?



 現実は非情です…

 どうやら私は本当に蛇の姿となってしまったようです。


 訳が分かりません。

 理解が出来ません。

 猫耳さんも…もう居ないんですね。



 …私どうしたら良いの?



 蛇の姿のようですが。涙を流す事は出来るようです。

 ほろりと一筋。顔を伝っていくのを感じました。



 綺麗な泉です。

 いつのまにかやってきていたようです。

 覚えがある場所でした。


 森を出るつもりが、結構奥深くまでやってきてしまっていたようです。

 途方にくれてます。一体何をすれば…




(へびさんおきたー)

(スネークリングおきたー)



 あれ? 何か聞こえました?



(へびさん だいじょうぶ?)

(こっちこっち。こっちみて?)


 

 あ、はいはい。今向きます。



(どろまみれー?)

(きったなーい!)



 え?え?あ。ああ。そうですね。

 顔洗わないと…ですね!



(えいっ!)

(とりゃー!)



 わぶっ!

 私、水かけられてます?



(よっし、これできれい!)

(かんしゃするのだ!)



 らんぼうですね…

 でも助かりました。

 だけど、そうそう。今の自分の姿は。



 なるほど。泉に映ってます。

 今の自分の姿のようですね。

 本当に…本当に。スネークリングになってます!



(ねーねー、キミはだーれ?)

(スネークリングっぽいけど。なんかちがーう?)



 んん…、そういえばこの声って。

 どちらさまでしょう?



(わからない?)

(わこえないかな?)



「きこえてまーす!」



(おー。へんじきたー)

(へびさんねぼけてるー?)



「ちゃーんと、起きてますけど。夢かもしれません?」



(もっかいおみずかぶる?)

(サービスするよー?)



「いえ、大丈夫です!でも大丈夫じゃないかもしれません…」



(やっぱりおなかすいてる?)

(ボクたちたべられちゃう?)



「いえいえ、食べません! まだちょっとぼーっとしちゃって。です」



(でもやっぱりしんじゃいそう?)

(せっかくのスネークリングなのにかわいそう…)



「え…?しんじゃう?…私が?あ。。。あら?」



(ふらふらだー)

(ほんとに、しんじゃうの?)



「…そうみたいです。もう動けそうもないです」



(………)

(………)



「ごめんなさい…私ここで死んじゃうみたいです」



(じゃあやっぱり)

(こうするしかないね?)



「えーと。なにを?」



(ぼくたちのこと…)

(たべてー♪)



「え…?そんな事…」



(べつにー)

(すぐにまた生まれるし)



「うう…実は私。エルフだったんですよ?今更こんな姿で…」



(なるほど~)

(どうりでへんだとおもった!)



「いっそこのまま…眠らせてくれれば」



(んーだめだよー)

(おねがいすることできちゃった)



「おねがい…ですか?」



(もりのそとまでいってくれる?)

(なにか、すっごいまもの。あらわれちゃったみたいなの)



「多分その魔物に私。こんな姿にされちゃったんだと思います。」



(それなら。やっぱりおねがいするよ)

(そのまもの。みてきてくれない?)



「えっと…本気でいってます?」



(ほんきだよー)

(だってそうしないとキミしんじゃうじゃない?)



「でも。。。私なんかが行ったところ。」



(それじゃ、おくちあーけて?)

(あけなくても、かってにはいってくから)



「はい。もうどうにでもなってください。やるだけやりますよ」



(すなおでよろしい!)

(げんきになったら ちゃんともりのそとだよ?)



「分かりました。頑張ります!」



 ………

 ………

 ………



 …やっぱり。夢ではなかったようです。

 元気になりました。

 あの声も…聞こえなくなりました。


 今は…動けます。動けるどころか。

 体が軽くて、しかも空まで飛べました。

 お陰で特に苦労もせずに森の外に出る事も出来ました。

 『元素魔法』を応用すればさらに素早く飛べるようです。

 体を思うように動かせないのが困りものですが。

 魔法に関してはエルフの時よりも凄い力が湧き出ていると感じます。


 これが…魔物の体?

 未だに夢心地ですが。

 夢なら夢で…楽しみたいと思います。

 見てください。私…飛んでるんですよ?


 凄い速さです。

 1日以上はかかるだろう道のりを。休憩を挟みつつに1時間以内です。

 やはり夢です。これは夢ですので。

 あの恐ろしい魔物が向かったであろう【グラニール城】を目指しましょう。


 確か方向はあってますし。

 視界に映るアレが多分そうだろうと思ってます。

 辺りは既に夜中でしたが私には暗視があるのでこの程度は問題ありません。


 見れば眼下で魔物が大移動を開始中。

 え?魔物の群れ?すっごい数です。

 やっぱり夢です。でも夢ならば私も混じって仲良くできるとか、ないですか?



 ものは試しです。

 さり気なくに端っこからお邪魔してみましょう。



「もしも~し。こんばんは?

 本日はお日柄も良く。良い天気ですね?」



 言ってて気づきましたが、今は夜です。満月が綺麗です。

 そんな心配をよそに。狼さんが飛び跳ねてます。

 蜘蛛さん怖いですけど。じーっと見つめてきます。

 同じような蛇の魔物も取り囲んできました。



「えーと。みなさん何してるんですか?」



 みんな揃って城の方角を見ています。

 なるほど、あそこに行くって事ですね。

 ちゃんと話が通じてます?

 これは…コミュニケーションが取れそうです!?



「じゃあ私も行きましょう!」



 なんかノリノリでみんな進軍開始しました。

 これ…全部城に向かったら危ないですよね?

 方向修正…無理ですね。

 一角を崩した所で全体がどうこうなる気がしないです。



 せめて全体図を把握するべく私は飛び立ちました。

 城も見えてますらか辿りつくのも時間は残ってませんけど。

 上から見ればどうなってるか。


 そう思い、観察した所。

 何かおかしいです。


 城下町が凄い状態でした。

 木の根っこのようなモノで覆いつくされています。

 やっぱり夢。見てるんですね。

 あんなの数日前までありませんでしたし。



 もうちょっと近くで。

 せめて魔物の大群がやってくる前に様子を…

 上手く行けば兵士さん達にも伝えて?

 今の私の姿で?



 なんとかなるでしょう。

 意思は疎通できる筈です。



 そう思いましたが。

 兵士さんどころか、人っ子一人見当たりません。

 無人の都市。


 やっぱり夢で良くある光景ですよね。

 見知った街を散策するんですけど。結局誰もいなくて不思議な気分になる、そんな感じの夢。



 と思ったら馬車です。

 誰かいます?



 ちょっぴりふくよかなおじさんが馬車を走らせてました。

 子供の泣き声が聞こえます。


 気になったので後を付けてみましたが。

 町の外へ出るみたいでした。


 勿論、そのまま進めば魔物大群と鉢合わせです。

 私は考える事なく止めに入りました。

 というか他の方角からはもう侵入されちゃってるみたいで

 そこそこな数が実は入り込んでたみたいですから。

 ソレ等から逃げていたのかもしれませんけど。



「外は危ないですよ!こっちから出ちゃいけません!」



 そう言ったつもりでした。

 出てくるのは綺麗な笛の音色のような音だけです。

 でも大音量でしたので、驚かせてしまったようで。

 そのおじさん、馬車を捨てて逃げて行ってしまいました。


 …私。もしかして怖いんです?


 ショックを隠し切れませんでしたが。落ち込んでもいられません。

 馬車の中が気になったので覗いてみると。


 やっぱり子供達ですね。

 ひいふうみい。6人です。


 多分ですが…スラム街の子供達のようでした。

 服装がちょっぴり裕福とは言えませんね。


 私の姿をみるなり逃げていきました。

 追おうと思ったのですが。この姿です。

 さっきのおじさんみたいに怖がらせてしまうだけ…

 夢とはいえ子供達に逃げられるなんてショックです!


 と思ったのですが。

 一人だけ、身綺麗な少女がじーっと見つめていました。



「どうしたの?」



 言葉に出してみるもののやっぱりヒューヒュー落ち着いた音を出すだけです。

 そうそう私にはまだ『呪術』による念話が残っています。再チャレンジ!



(大丈夫だった?怪我はない?)



 うん、呪術は使えるみたい。だけど通じるかどうかは…相手の適正もあるからなんとも言えませんけど。

 特に子供は…負担をかけてしまう事があるとか。控えめにしないといけません。

 単純に、一言だけで済ませないと。



「…ママ?」



 ………え?



「…ママなの?」



 困惑しました。私がママ?

 辺りを見渡せば。住民の代わりにみんな蛇が住みついていました。

 もしかして…この子のママも。あの魔物に?


 この子…まさか…?

 もしかして。この国のみんな。私のように蛇にされた?

 悪い予感が脳裏に過ぎりました。

 私はとんでもない悪夢を見ているようです。

 2度と覚めない悪夢かもしれません。



「ママ………ママぁ!」



 少女が抱きついてきました。

 …私はどうすれば?

 …私に何ができるの?



 今はただ、この少女を慰めてあげる事ぐらいしか思いつきません。

 もう…この町に人間の生きる場所は無い。そう感じています。

 なのであれば…私のするべきことは。



 この少女を連れて他の町へ逃げる事。

 この子の傍を離れるなんて、考える事は出来ませんでした。




 結果、この選択は間違ってはいなかったと思います。

 あの後、直にでも逃げ出していなければ私達もあの魔物に食べられていたんですから。

 それを知る事になったのはもっと後の事でしたけど。


 逃げてしまったおじさんや他の子供達には申し訳なく思います。

 ですが…今の私に救える子は。この子しか。

 ママと言って慕ってくれるこの子しか…



 馬車はありがたく使わせて貰っています。

 水も食料も十分な量がありました。


 ですが馬も逃げてしまったのがなんとも…

 この魔物の体で馬の代わりをする事が出来たのが救いでした。



「ママ…どこいくの?」



(ピュートンティア)



「ママの故郷の魔法都市?」



(そこに行って…助けてもらうの)



「おじいちゃんにも会える?」



(大丈夫 会えるよ 心配しないで)



「うん。分かった!」



 ゆっくりだけど。そこまで絶望的な距離でもない。

 このペースなら1週間もあれば辿りつける。

 あとはこの子の体力が持つか。

 それまで…何事もなければ。


 今の私の魔法力があれば大抵の事は何とかなると思います。

 なんとかさせます…生き抜いてみます。

 お願いします…夢であっても。この子は助けてあげないと。





二日目…



「ママ~お外。変な感じするー?」



(あれはね 魔物が近くにいるの ちゃーんと隠れててね?)



「はーい。ママは?」



(私は大丈夫 強いのよ?)



「うん。知ってるー。お父さんより強いんだもん」



(変な事いわないの おとなしくする!)



「だってー。暇なんだもーん」



(それじゃあ歌ってあげるから ちゃーんと聞いててね)



 ヒューヒュヒュヒュールン。ヒュ~...


 声は出ませんでしたが気に入ってはくれたようでした。

 まだまだ先が長く感じますが楽しんでいるようで何よりです。

 暗雲立ち込める空とは違い。平和な旅路が出来ています。





三日目…四日目…



 何事もなく進んでいます。

 強いていうなれば、ちょっぴり疲れてきたかな。っていうぐらいです。

 中々纏まった眠りに就けないのが一番の理由です。


 何かあったら起こしてね?

 そういって眠りにつくも。やはり気になって殆ど眠れない。

 気を張りすぎて疲れも溜まり。

 ペースが落ちてしまっているのです。


 そして少女にも心配されてしまい。

 結局5日目はずーっと休む事になりました。


 意外と…しっかりした子です。

 かなり…出来る子でした。

 将来有望…この子の両親は良い両親だったのでしょう。

 私の事をママと勘違いしている理由は分かりませんが…


 今こうして私が、がんばれる理由はこの子が居るからですね。

 感謝します…夢だとしても。そうじゃなかったとしても。感謝しましょう。





そして六日目



 他の馬車が追い付いてきました。

 もしかして…同じく町から逃げてきた馬車なのかもしれません。


 挨拶…出来るでしょうか?

 しかし…今の姿では。


 それに相手は盗賊かもしれません。

 少なからずそういう輩も沸いて出るのが今のご時世。

 その場合。この子だけは…守らなくては。

 


 一体相手は?



 様子を見てみれば。

 見覚えのあるおじさんでした。

 私を見るなり逃げ帰ったあのおじさんです。



 そのおじさんの馬車を使っているのが今の私ですので。

 もしかしたら。揉め事になる可能性があります。

 どうしましょう。でもお話しはきっちりするべきですね。


 意を決して、姿をみせました。

 結果で言えば好意的です。


 しかも、何をどうしてそうなったのか。

 蛇の魔物を引き連れ私と同じくピュートンティアへ向かっているというではないですか?


 なんともまあ。

 事は上手く運びました。


 少女も、このおじさんに助けられたと言っていました。

 印象は悪くないようです。本当。助かりました。


 このおじさん。何者なのでしょう?

 良く分かりませんが。今は…助け合えるこの状態が何よりうれしく思います。


 その後…話を聞けば蛇の呪いを解いて貰うため魔法都市に行くとか。

 見れば確かに呪術のような魔法の枷を付けられているのが感じ取れました。

 傍から感じてこの強さなので。当人はもっと感じているでしょう。

 でも、この程度であれば解除はできるかもしれません。

 しかし…失敗した時の事を考えると今は実行に移せず

 様子をみて精度を高めるよう準備しておきます。


 失敗すればどうなるか。詳しくは分かりませんが。

 悲惨な目にあうのは容易に想像がつきます。



 その後は何事もなく、二日間が過ぎ。

 私たちは無事に魔法都市へたどり着く事が出来たのです。



 いよいよ町の中といった所でやはり…

 私が魔物という事で問題もおきました。


 おじさんもでしたが、武器を構えられ敵意を剥き出しにされ危ない所を…。

 少女のお陰でなんとか事なきをえました。

 ママを虐めるな!の一声で少しだけ話をする機会が得られたのがきっかけです。

 

 その後はおじさんの話術と、私と他の魔物達がおとなしくしていたので場はきりぬけられました。

 おじさんも早速ですが魔物に掛けられた呪いを解くための交渉にかかっています。

 事情はおいおい、まずは危ないモノを取っ払いたいとの事。


 見るからに危ない呪いを埋め込まれているらしく周囲の人たちも引き気味でした。

 おじさんの情報もあって【グラニール城】が陥落した。

 もう人間全部食われるなり蛇の魔物にされちまった!


 この子の母親も可愛そうなもんだ。

 見てみろ、蛇の魔物にされちまったんだ。

 この蛇達も…



 なんて言ってますけど。

 私はこの子の母親なんかじゃないんです。


 多分ですけど、この少女の目の前で母親は…魔物に変えられてしまったのでしょう。

 突拍子もない話でしたが。

 既に国が滅ぼされたという情報だけは入っているらしく。

 おじさんの情報を特に聞きたいという町の責任者まで現れて大騒ぎになって参りました。


 私とこの子も、一緒についていきました。

 他の蛇さん達は馬車の中で荷物を守っていてもらいます。

 どうやら、おじさんが死ぬまで言う事を聞いてやれと命令されているらしく。

 その事についてだけ信頼は出来るそうです。

 おじさんなりに調べたそうで、大丈夫だと思う…とかなんとか。


 試しに話しかけてみたところ。

 ちょっとだけ反応がありました。

 妙にくねくねしつつ、すり寄られたりしましたが。

 もしかして…蛇の中では美人さん。もとい美蛇さんなのかもしれません。


 魔物として生きていくのなら。

 物凄いアドバンテージを持てたのかもしれませんね。

 …なんて考える辺り。私の適応力は意外と凄いのかもしれません。



 そうこうしているうちに。

 おじさんが信用されたようです。

 直にでも解呪の準備を。


 危険な呪いである。

 もしかすると周囲にも影響を及ぼすかもしれない。

 専門の術師以外は離れているようにと促されました。



 とある一室の中で、緊張に包まれながら作業が行われています。

 私も胸騒ぎがして目が離せませんでした。

 私なら、どうやって解呪する?

 何度も何度も頭の中でシミュレートしています。



 不意に悲鳴があがります。

 おじさんと…その周りの人達でした。


 見るからに、失敗です。

 金色の蛇が現れ…おじさん以外の一人の術師の腕から先が残っていませんでした。

 あれが…呪いの力?

 教会が伝えているアスピクの呪いの力と特徴が合致します。

 となると…やっぱり。死に直結する危険な呪い…というのを思い出します。

 対処法は、発動する前に倒さねばならん…としか伝えられてなく。

 危険度は最高レベルに位置付けられている…呪いの力。


 もしも発見し、発動してしまった後に対処する事に成功したのであれば。

 教会から莫大な報酬を約束されている…呪い。

 もしその呪いが今目の前で発現しているのであれば。

 この場にいる人間全てが殺されるでしょう。

 一人…また一人。私が考えいる内に死んでいきました。

 おじさんはまだ無事ですが、時間の問題です。

 

 他の術死達が死に物狂いで魔力を送っていますが。

 多少の抵抗を受けて動きが鈍くなるだけで、抑え込める気配はありません。


 私の背後には少女がいました。

 こんな事になるならもっと…この子を連れて遠くへ逃げていれば良かった。

 でも、優しくしてくれたおじさんの事も見捨てる訳にはいきません。

 そうと決まれば…守る為には抵抗する以外。道はありません。



 意を決して突っ込みます。

 自分が何を考えていたのかなんてその時は分かりませんでした。

 ただ何も考えず。自分の知る限りの知識で。

 おじさんにかけられた呪術の元を打ち壊す。


 額を押し付け魔力の流れを断ち切り。

 抑え込んで、枷が壊れるまでおじさんの体を守り抜く!

 それだけの行為でした。



 要は、ごり押しです。

 綺麗な方法で失敗したのですから。

 専門の魔術師達である彼等よりも技量に劣る私が出来る行動といえば。


 魔物の体になってから、溢れる魔力の使い道に困っている程度の私なら。

 もしかして出来るかもしれない。なんて思っていたから出来た行動でした。



 失敗したらみんな死んじゃいます。

 成功したらもう死にません。

 ならばやるしかないでしょう。



 結果で言えば成功しました。

 ですが、魔術師の方が3人ほどお亡くなりになってしまいました。

 その体に肉片一つ残さず。骨だけの存在となっています。


 やっぱり…この子を連れてこんな場所まで来るんじゃなかったと後悔しています。

 人が死ぬ所を見せてしまったんですから。


 振り向けませんでしたが。

 そのお陰でおじさんの、顔面蒼白で。

 お股を濡らしながら涙目な姿をじーっと見てしまい。

 思わず身を捩って離れてしまいました。


 一先ずは安心です、安心だと思います。

 既に呪いの枷の効果は無くなってしまったようですし。

 あとは…この少女の。



「ママ…大丈夫?」



(うん もう心配いらないよ)



「良かった…やっぱりママは強いや」



(だから 安心しなさい? 私が 守ってあげるから)



「ママ…ずーっと…傍にいてね?」



 ………

 ………

 ………



 その後は落ち着いた後に。

 呪いの凄さと、私達の行動のお陰からか。

 おじさんが話す情報の全てが信用されました。


 そのおじさんも。

 キミは命の恩人だ、お前たちの事は絶対守ってやる。

 少し大げさな気がしましたが。

 私が魔物の姿であり今後の生活に困るであろうという事から。

 全力で手を貸して匿ってやる!

 …なんて言われました。


 係わった魔術師達の方も私の事が気になる様子で。

 念話も通じましたし、尚且つ事情も把握したうえで民間には私の存在を隠し。

 ちょっぴり引きこもった生活だけど安全を約束してくれて。

 少女の今後、育てていくうえのでの環境も用意してくれるそうです。


 勘潜るのであれば。

 魔術師ギルドの方達は私の能力が欲しいんだと思います。

 あの呪い…なんとかしちゃいましたし。


 でも逆に考えれば、私たちは彼らからは大事にされるという事です。

 あの子も悪いようにはされないでしょう。



 私があの子のママではない。

 というのは他の方達には伝えておきました。

 もう会う事は…



「ママー。遊びにきたよ?」



 どうやら逃がしてはくれないようです。

 しょうがありませんね…


 暫くはお世話になる事にしましょう。

 いずれ、理解してくれる時がくるまで。



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