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自宅待機な蛇

 最終確認は大事だよという事で、やる事の確認はそれなりに終えたヨルン達。

 箱の頭上より投影されている近未来的な印象を受ける3次元ディスプレイにて、

 ダンジョンの外観を眺めつつ、ヨルン側も似たような魔法で自身の持つダンジョンの絵を描き、

 改めて思う、SFとはなんぞやと。いつもと変わらんではないか。

 そんな思いは心の中に留めておきつつ、両者の持つダンジョンの外観が表示された事により、

 雑談モードとなっているヨルン達の話はダンジョンの見た目となっていた。


「アドラのはダンジョンって言うより、やっぱり宇宙戦艦じゃん」

「そりゃそうだ。中は単なるダンジョンだが、外見だけは気分的にそうしたかったんでナー」

「外見がどうこう言うだけなら突っ込まないけど、アレでどんな事出来んのよ?」


 そのダンジョンは今や二つ。ヨルン達の物とアドラの物で二つ同時に運用中なのである。

 アドラが自分の所のダンジョンコアを取るついでに湧き出てきたので二つあるのです。

 文字通りに湧き出してきたのでヨルンとしては軽く流していたのだが、

 湧き出てきた物が物だけにソレを見た他の皆は反応様々に驚いてましたっけ。

 その皆も今更何が来ようが受け入れようスタイルなのでさして混乱も怒らず、

 武装した巨大な船を持ってく都度を説明するだけで、あっハイで済んだのは面倒臭く無くて良かった。

 ついでにアドラは、ソレを単なるダンジョンと言い張っていたりする。

 外見は戦艦と認定してますし、中も配管やら光が浮いていたりドローンが徘徊している光景を見せられば、

 SFな宇宙戦艦で通しても良いと思うのですよ。

 魔法の力ありですが、見た目相応の役割は果たしている設備で埋め尽くされていますし、

 だけどアドラが言うには、原理が何となくな魔法的な技術が殆どだからダンジョンだと押し通られるのだ。

 ヨルン的には宇宙戦艦にしか見えないんだけどなあと、納得はしていないが特に突っ込む気は無し。

 そもそもダンジョンの定義とはなんぞやとなると、これまたややこしく繋がりそうなので止めておくのです。

 続けていても時間が潰れるだけで仕方がないし、外見についての話は切り上げます。

 そうして話題を切り替える事の、その宇宙戦艦のスペックを聞いていくうちにヨルンの目は点になっていく。


「戦闘中はほぼ不可能だけど、長距離ワープ移動が可能。

 移動距離は大体800光年~1000光年だとかそんな単位。

 だけどワープに関しちゃ、お前さんトコのダンジョンと合わさってデカくなったから~

 んー、距離は半減ってとこか。目的地に向かう分には問題ねーな。

 戦闘関連は、ソッチのと同じで基本的にビーム出すぐらいダ。

 威力の程は、惑星破壊ぐらいだったら出来るかもナー。

 むしろ小さめなのは幾つか破壊して資源にしちゃったゾ。

 資源で思い出したが、ソイツで自由度高めのドローンの生成も出来たりもするな。

 小型ですばしっこい奴等にゃ向かねーが、デカイ奴等にゃ効果は抜群、爆弾ドローン。

 ミサイルやビーム放ったりシールド張ったり出来る奴もあるし超便利。

 後は出来る事って言ったらセルフでダンジョン全域を覆えるシールドは勿論完備してあるし。

 防御力については、同じダンジョンで撃ち合ったら数ヵ月は膠着状態的な、そんぐらい続けられる。

 つーか、お前さんトコのダンジョンはホントに丸っこくて四角いのを飛ばしてるだけだよナァ。

 ダンジョンコアで色々操作出来んだから、もうちょい外見どうにかならんかったのか?

 お蔭でオレ様のダンジョンが蠢く触手生物的なヤバイ荷物運んでる感じになっちまってるんだガ」


 話を聞けば聞くほどに、もうダンジョンじゃあないなと突っ込みたくなるヨルンだったが、

 自分等のダンジョンも同じようなもんだったなと我慢をしつつ、

 質問に答える事で気を紛らわそうと視線をあちこちに泳がせながら答えを考えるが、

 蠢く触手生物的な荷物と言われると良い得て妙だと納得し、

 アドラの言う表現通りの生物的な外観なのかもしれないと思考は都合良く逸れていく。

 宇宙船が触手な荷物を乗せて運んでる外観は、他者からはどう見られるのだろう。

 考える限りには良い方向に進むイメージが涌かない外見ではある。

 単純にヨルン側のダンジョンが、巨大な兵器に見える可能性も高い。

 尤も自分達のダンジョンはその辺の考慮なんて一切していないのだから。


「別に誰かに見せる訳でもないし、それよか単純構造にして修理しやすくするのを重視。

 ある程度急いでいたし、外見についてはなーにも考えて無かったね。

 宇宙に出たら知的生物との交流があるかもしれない、っていう可能性も考えておくべきだった?

 もし宇宙人に会ったとしたらヤバイ奴だと思わせて、

 戦闘拒否出来るかもしれないというプラス効果があると思っておこう。

 そもそもに今更ダンジョンの外見は変えられんし。んで、ワープまで後どんぐらい?」


 とりあえずな返答をしつつ、外見についてはどうにもならんと断りを入れて聞いてみるのはワープのお時間。 


「って言われてもなぁ、何も知らなけりゃオレ様お近づきになりたかねぇぞ、この見た目は。

 まぁ今言ってもどーにもならねえのは分かってるケドヨ。

 とりあえずワープまでは残り10分ってとこダ。艦内放送しとけ。

 立ったままだと危ねーぞーってナ。若干の衝撃あるのは、どーにもならんかっター。

 オレ様全然大丈夫だから人間乗ってる時の考慮とか全然してなかったんヨ~」


 結局艦内放送とか言ってんじゃんという突っ込みは別にいいか。

 準備万端で何時でも出発可能な所を引き延ばしすぎても仕方がない。

 じゃあそっちも準備してと促せば、エモーション機能っぽい単純な顔文字を表示するアドラはカウントダウンを開始した。

 いよいよヨルン達の、宇宙で大暴れミッションが始まるようだ。

 しかしアドラの発言には気になる単語がほんの少しあったので一応聞いてみる。


「若干の衝撃ってどんぐらい?」

 つまりは巨体が動いた時の衝撃って事でしょう?

 首を?の字に傾げながらアドラの反応を待てば、ぴょんぴょん跳ねる箱が発生。


「ンー、その辺の子供がジャンプして跳ねる程度」

 子供ではなく箱が跳ねているけれど、それだけ見れば、まあまあ大丈夫そうな気はするが。


「へ~って、騙されないわよ?

 ダンジョンが子供のジャンプして跳ねる衝撃って事でしょ?」

 背後に控えていたネーサンが突っ込み。いえ、容赦なく針をぶち込ちこんだ。

 位置的には脳天だろうか? 液晶割れてなけりゃ良いんだけど。

 割れると暫くブルースクリーンだから心臓に悪いのだよ。

 そうヨルンが心配するも、アドラの反応は即座にやってくる。

 なんだ無事じゃん、そろそろ慣れた?


「ンアッー!!! 痛くねえけどエグイ真似すんなや…。なんで貫通すんだコレ。

 っていうか、アレ。バッテン絆創膏…、なんじゃこりゃ。んな事より揺れについて話せって?

 まぁー、中の奴等は大丈夫な計算サァ。内装も全部揺れに強くしてあるんだろ?」


 針を刺されて尚、無事だったアドラは不思議そうな顔をしつつ、追加で驚き顔のエモーションを繰り出した。

 痛みもなく貫通した挙句に、刺された場所にはバッテン印の絆創膏が現れたのだから、そりゃ驚くか。

 何あれと聞いてみればネーサンのお遊び針にて、ダメージを与えず印を作るだけのテクニックだそうな。

 ヨルンはされた事ないぞと頭を振れば、次の瞬間額から顎にかけて貫通する遊び針。

 バッテン絆創膏を付与されたヨルンは舌をペロリと出して死んだふり。

 そんなじゃれ合いも軽く流され、揺れについても大丈夫らしいとも答えを頂いた所で残り時間はあと3分。


「んへぇ~、そりゃあ戦闘もあるって事で、それなりに作っちゃいるけど」

 艦内放送というかダンジョン内放送というか、それ等は守護者に丸投げ。そしてついさっき済んだ。

 これから戦闘が起きるであろう事の最終伝達もしたから、残るはワープの時を待つだけである。


 しばし続く静寂。そんな静寂の中でスクリーンに流れる各所に点在するダンジョン内の部屋の様子。

 部屋ごとにテーマが決まっているらしく、画面が切り替わるごとに世界観が変わる印象を受ける内装のお部屋達。

 基本的には実用性が一番であり、どことなく蜂の巣をイメージさせる構造をしたそれ等を作ったのは。


「大体私。入居者の希望デザインにするのは苦労したわ…」

「結構楽しんでたじゃん。リムのホームデザイナー。ミニゲーム気分だったね」

「ほえー、そんじゃオレ様ん所の部屋もお一つ頼んでも良い?

 広くて大型のテレビがあって~、そしてなー」

「はいはい後で。んで、そろそろ5分だけど?」


 ネーサンが個人部屋を作って回っていた訳で、ちょっとやそっと揺れた程度では全く問題無いだろう。

 アドラの個人部屋は自分達のダンジョンには用意されてないが、作ってあげても良いかもしれないなとヨルンは付け足し、

 いよいよワープのお時間だ。お部屋に関しては後回し。


「おう、10分経ってないけど準備できてる。そこの緑のボタンを2回押せば、もうワープ開始」

「分かった。ではヨルンがポチポチっとな」


 言うが早いか、カウントダウンを待たずにヨルンはボタンを2度押した。

 その瞬間に響き渡る機械音。エネルギーが増幅されているであろう音も響くがそれも一瞬。


 がくんと視界が揺れて、体がほんの少し浮き上がる。

 横を見ればネーサンも、蜂の体を奇妙な角度に折り曲げて踏ん張っていた。


 外の様子も見てみようとしたが、見れる光景は特に何も無いという結果に終わった。

 魔法的な空間でも突き進んでいるのだろう。不思議なローディング画面とでも思っておく。

 折角なので右下に砂時計を表示させてみた。アドラがアレっていう顔をしていたのを見逃さない。

 これはヨルンがやってみたと伝えれば、驚くじゃねえかと反応は上々。

 そして折角作った砂時計だったが、砂を落として回転させる間もなくワープの時間は終わってしまう。


「うっひょーう。なんか加速して跳ねたと思ったらワープが始まってた。そして今終わった?」

「思ったより揺れなかったわね。というかもっと派手に光るもんかと思ってたけど」

「体感時間が短いに越した事はないだろ? んな事より臨戦態勢。何が起こるか分かんねーゾ?」


 実感が涌かないけれども、ワープは完了したようでアドラより注意を受ける。

 確かにワープで浮かれてその他が疎かになってはいけませんな。


「ほいほい。探索開始。何が出るかな~」

 早速周囲を見渡し何が来るかと観察を始めるヨルン達。

「最初に現れてるのはギヌンガだぞ。もう目の前で待ってたりする」


 いち早く発見したのはアドラであった。

 というよりもソレはもう、目の前に現れていた。

 ギヌンガである。始祖竜さんである。無茶苦茶デカイ、ドラゴン姿である。

 ヨルン達のダンジョンより大きく巨大すぎて、全体像を把握するのに暫くかかりました。

 あまりの大きさに、ヨルンが感嘆の声を上げていると先に相手側が反応する。


「ようやく、来たか。大所帯なのには、少しばかり、驚かされたが、ふむ」

 ソレは直接頭に響く声にてヨルン達に話を掛けてきた。

 空気の振動のない宇宙空間からですし念話である。しかもヨルンと違って加減が丁度良い。

 ヨルンが使うと対象者の頭が弾け飛ぶほどの音量を出しちゃったりしますから、これは見習わなくてはなるまい。

 それにしても見れば見る程、格好良い系のドラゴンである。

 その外見は黒っぽくて筋肉質で羽がいっぱいの、ドラゴンとしてはイケメン枠に見える系である。

 他の始祖竜と比べても、フィンブルはもっふもふで可愛い系ですし、

 レヴァンテインはツヤツヤぷに肌な美しい系だったような気がしますし。

 ユミルは全種の良い所を持っているようなオールラウンダー的な。

 それぞれ似ているようで違っていたり、折角ですし全種並べてみたい所ですよ。

 何はともあれ開幕の溜息で光の勇者ぐらいは軽く消し飛ばしてしまいそうな、

 裏ボス的オーラを感じさせるギヌンガはヨルン達の前に現れている。

 現れたのだが、今目の前にはそのギヌンガしかいないのだ。

 もう一体いる筈なのだという事を忘れていないヨルンが発言をしようとした所で先に声が響く。


「ギヌンガ! さっさと状況説明しろ!」

「我等は何をすれば良い?」


 同じ始祖竜枠のフィンブルとレヴァンテインが飛び出していったらしい。

 チビ竜達の姿だったので一瞬分かりませんでしたが、まあアレは紛れもなく本物だ。

 なんだかギヌンガが2体の子竜を交互に何度も見返しているような仕草をとっていますが、

 気持ちは何となく分かります。チビ可愛いんですもの、あのミニ竜達は。

 戸惑う親竜、じゃれる子竜。姿も違って色も違うがなんとなくそれっぽい。

 そんな微笑ましい光景を眺めながらヨルン達が話を聞けば、特に長くもない話で返された。


「倒しても倒しても湧き出してくる敵がいる。

 大物は粗方倒したが、小物の処理が遅れると直ぐにでも群れてくる。

 原因が特定出来ればそれで良し。知らんでも殲滅出来ればそれでも良し。

 そしてもう一つ。滅亡をもたらす星の無力化が最も重要だ。

 現状のままならば、衝突に関しての猶予は約1年と言った所だが。ヨルンとやら、どう思う?」


 早速と言うべきか、やる事を教えてくれました。

 そして何故だろうか、話を振られてしまったので慌てるヨルン。

 やべぇどうしようと思うも、経験と直感から得られているヨルンが数秒を掛けて全力を出した結果。


「1年も猶予はない。何故かはまだ分からないけど、100日と数時間。

 そして挨拶が遅れました。私がヨルンです。ヨロシクね!」 


 猶予が大幅に削れて100日程度となる。自信満々に言い放ったが根拠はない。

 あるとすれば規模は違えど計測回数2回程度な10年周期で訪れている滅びの時が丁度そのぐらいな程度。

 多分関係は無いと思うぐらいに薄い理由なので話す事もせず、

 挨拶を忘れずに行い、ダンジョン内からですが蛇の体を大きく見せてアピールもしてみたが。


「うむ。我がギヌンガだ。時間の掛かる挨拶は後回しだ。

 このままの速度で星が進むなら先に言った通り、到達までに1年は掛かるのだが、

 何が起こるかは分からない。ヨルンの言う通りに100日のつもりでやるぞ。

 平時ならばユミルの言う通り、楽しめそうな仕事の手伝いをさせてやっても良かったのだが、

 荒事の方向で力を貸して貰う。行動出来るのは我等だけなのだからな。

 前線でユミルを待たせているので我は直ぐに行くが、

 細かい指示はアドラを通して頼む事にする。アドラよ今度は無茶をするなよ」


 挨拶は切り上げられ、早々に身をひるがえして消え去ってしまうギヌンガだった。

 後に残されるは迫りくる宇宙ゾンビ共なのだが、まだまだ特に脅威は感じない。

 ギヌンガに話をしたければアドラを通じて一応可能のようだし、何から取り掛かれば良いのか。

 さっそく通信してみたい気持ちになったが、先ずは目につく奴等を排除しながら周りと相談してみよう。 

 自身でもやる事を考えてはいるのだが。


「ヨルンとしては、頭の片隅にモヤモヤが残っているので不安である」 

 情報が足りない所為か、なんとなくな不安が脳裏にこびり付く。


「ヨルンちゃんのソレは十分過ぎる程の不安要素。

 今のままだと準備不足か、思い違いか。何かの判断ミスをしているか。

 ヨルンちゃんにはダンジョン内で待機して貰った方が良いかもしれないわね」


 そんな様子を見たネーサンは、ヨルンに自宅待機をお勧めした。

 確かに気持ちが逸れている今の状況では判断を誤る恐れはある。

 それ以前の問題なのかもしれないが、それが良いかと判断したヨルンはダンジョン内に止まる選択をする。


「仕方ないので全体を見通して、皆をオペレートしつつ、

 さらにヨルン自身は即動けるような立ち位置を。気を張り続ける事になってしまった。

 ヨルン司令官なプランDを主軸に行動を開始するとしよう。ネーサンが前線になるけど大丈夫?」


 これもまた重要な役割。ヨルンの命令は良く通るのだから適任と言えば適任である。

 しかし自身が動けないとなると少々物足りない所もある訳で。

 頃合いを見てか、何かが起こればヨルン自身が動く事も視野に入れておきましょう。

 前に出て頑張ってもらうネーサンは既に準備は万端。


「軽くデストロイヤースタイルで出てくる。女神様の加護もあるから心配は必要ない。

 情報仕入れて持ってくるから、詳しいあれこれは、その後という事で」


 言うが早いか外へ飛び立っていってしまうネーサンだった。

 地上でも宇宙でも変わらない行動力は流石である。

 後に続ける者は誰もいないので、その他はマイペースに行動中。

 ヨルンもヨルンでお仕事をするとしましょう。

 ギヌンガの登場でダンジョン内も程良く騒がしくなってるようですし、するべき事は。


「ネーサンの報告は楽しみにしてる。

 アスピクも暇潰しに外まで突っ込んでいいよ。先ずは様子見ねー。

 ヨルンと守護者、その配下はダンジョン内の防衛。

 魔人達もダンジョン内に敵が侵入してくるから臨戦態勢ヨロシク。

 常にダンジョンMAPを見る事を意識して、赤い点は敵。青い点は味方。黄色は異常事態。

 黄色は何が起こっているか分からない点なので、状況が理解出来るまでは気を抜かない事。

 怪我をしたならば、最寄りのセーフルームまで退避。もしくはアリアドネの繭を使用するように。

 使うと壊れない繭に包まれて壁に張り付く道具だよ。動けなくなるけれど、ほぼ無敵状態!

 もう一度言うけれど、動けなくなるから最後の手段だね。

 でもそうなったら我等がエルドラドの回収班が即時向かうので安心して下さいな。

 勿論、動けない間にも情報は此方に伝える事。具体的には自分の状態と、出来れば敵の数辺りを。

 チュートリアルで学んだ事を思い出し、皆死なないように。生きてれば手足がもげても治せる。

 宇宙空間で生きられる魔物が相手だ。集めた限りの情報だと、最低でもDランクが数千単位。

 Cランクも百を超える数の侵入を許すだろう。でもソレだけならぶっちゃけ楽な作業だ。

 物事には予想外な事態がつきもの。ダンジョン内が赤く光ったら最大限の警戒を。

 意見や情報等あれば、口頭だけでなく文字や画像をセーフルームより指令室に送る事が可能。

 あー、あとは準備無しに宇宙空間には絶対に飛び出さないように。

 宇宙服は生き延びる為の保険程度。アレ着て外に出てもまともに戦えないと改めて言っておく。

 外のはレヴァンたんやフィンちゃんとアスピク、ネーサン辺りに任せて~。

 皆は中に侵入してきた奴等をヨロシク。リフとサプはダンジョンの修復お願いね。

 壊れて備蓄無くなったら色々大変だから責任重大だよ。

 という訳で難しい事は終わり。最後に一言」


 ダンジョン内に響く声にて皆に指示をしたヨルン。

 指示を聞く前にアスピクが飛び出していたような気もするが、予め話はしていたので問題は無し。

 ネーサンに続いて出て行くような流れになったのだろう。

 その他も様子を見れば、特に混乱も無く順調そのもの。

 であるならば、深くあれこれ言うのもなんだろう。


「死なない程度に楽しめ!」


 これだけ言えれば良いかとヨルンは台詞を締める事にした。

 士気も程良く上がり、不安な感情は無きに等しいレベルにまで下がった事だろう。

 あとは、何かの不測な事態が起きるとするなら何があるだろう。

 考えるヨルンは改めて、ネーサンと二人出し合った時の案を復習をしながら指示を飛ばすのだった。



   *   *   *

次回の更新はまた暫く掛かりそうです


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