宇宙行き名簿確認する蛇
登場人物確認ついで
確認しただけで、全員が今後出てくるかは不明
宇宙だぁー!
何となく叫ぶヨルンに続けて声を上げる魔族達。
特に何の障害もなく、ヨルン達のダンジョンは宇宙に飛び出していた。
過去には不可抗力で、ヨルン自身が何度か生身で飛び出したりと、
日常にあったような気がしますが他の皆は感動をしている。
しかし、そんな感動にヨルンが浸るのも少しの間だけ。
皆の命を預かるという責任感に溢れるヨルンにはやるべき事があったのだ。
ネーサンに呼び出されたヨルンは早々に窓際から引き上げる。
そして向かった先は、操舵室と呼んでいる役割名前のままな部屋の一つ。
とはいっても操作など必要は無く、ヨルンの初めにやるべき事は、このダンジョン内の面子の確認をする事だ。
勿論出発前にも確認したが、念の為にもう一度との事。少なくとも密航者の類はいませんね。
とりあえずで守護者より手渡された名簿に目を通せば、その数は100を超えている。
とは言っても大半がヨルンの信徒なモブ蛇である。
それ以外の者も、ヨルンがこの世界でそれなりに深く、関わり合った者達だ。
その内容を見てヨルンは思う。大半が人外であるなと。
という訳で淡々とそれっぽく確認していきましょう。
・ヨルン
自分である。蛇神様らしい。手ごろな星があったら食べたいとか思ってる。
・守護者
ヨルンの分身で普段はヨルンの中にいる。外に出る事も出来てザハークと名乗っている。
ナビやアドバイスを色々としてくれるが、自分の分身だけあってそこまで万能じゃなかった。
大抵の事は物理で解決し、ヨルンにも容赦がなかったりもする。
現状では誰も逆らう者が湧かない程の理不尽能力で、各種族の調教を繰り返していたらしい。
・アスピク
これもまた自分の中にいた蛇。どういう訳か、ヨルンにくっついていた。
最近では好き勝手に動き回り、魔族達の街作りをしていたりしていたようだが、飽きて放置している。
何気にヨルン以上に蛇神様扱いを魔族達からされているとの事だが、見た目も強さもそれっぽいから仕方ない。
ヨルンの視点だと、最近は中々に影が薄い気もするが、敵対勢力とそれなりに遊んでいたらしい。
出発前に状況を聞けば、長旅になれば地上が大変な事になるかもしれないなと大笑いをしていたよ。
対策としてでもないですが、地上にはヨルンと似た蛇のニルンを残しておきました。
能力もそれなりなので、大抵の事は何とかしてくれるでしょう。
・ソーマ 頭の上のスライム
アスピクの頭の上を住み家としているスライム。
ソーマ君、ソーマちゃん、ソーマ様。名前で聞いた事は無かったが、そう呼ばれてるらしい。
強さの程は不明だが、アスピクに影響されてか、ちょっとやそっとの事故では動じない。
食べる事が大好き。昼寝を良くする。女神に踏まれても大丈夫。
そのずぶとさは宇宙でも通用しそうなので、存分に役立ててみるとする。
・リム(ネーサン)
蜂っ子で普段の見た目は可愛く、ヨルンはネーサンと呼んでいる。
怒ると怖かったが最近では丸くなった。
お腹も丸くなったかもで、巻いて揉んでプニプニムニムニ出来る。
色んな意味で突っ込み役。ブラックな企業主でもあったりする。
此方もまた、一応の所で魔王をしていたので当然といえば当然かもしれない。
アスピクもだが、ネーサンも宇宙に旅立っているし、地上の魔族たちが少し心配である。
宇宙にはネーサン直属の眷属達も同行していて、リストに3つ程記載されていた。
カマキリとクモとダンゴムシであり、専用の部屋を割り当てているので交流可能。
その他にも農作業用でファーマーワスプとやらを持ち込んでいる。
・サプ
ヨルンの前ではまんまるスライム。他人の前ではスライム娘。
良く子供を作りたがるが、人間感覚とは違うので、その辺りの意味は違ったりする。
その辺りのどうでも良い事情は置いて置き、この子は便利な能力を持っている。
物の記憶を見たり、追跡が可能だったり、実は超が付く程に凄い子。
褒めると体が伸びてプルプルしたりもするが、衝撃で自爆もするので要注意。
何気に単身で宇宙に放り出さされても生き抜ける力も持っているので寵愛中です。
魔法の力の電池役にもなるので休み無しに働くかもしれません。
・リフ
中々目立つ事のない裏方役な、見た目可愛い植物っ娘。
生体改造を軽々しく行い、人間を魔物に変えてしまう能力を持っています。
ネズミやカエル等に、元の思考を持ったまま変化させるのなんても、リフにとっては容易い行為。
そんなリフの力もあり、お肉は畑から収穫出来るようになったとさ。
病気を治す事も可能なので医療関係は丸投げしても全く問題は無いとの事。
一般モブ達にならば、別種族へ作り替えてしまう事も可能のようです。
ネーサンが言うには、未確認な勢力が出てきたら、リフが本気を出して大体解決らしい。
・フラッピー、ルミー、リサリス
ヨルン直属の配下の3魔族。
海竜のフラッピー。雷鳥のルミー。海月のリサリス。
統一性が全くないが、同時期に捕まえた魔物に名前を付けて、魔族とした者達である。
武力には特に期待していなく、ペット枠の癒しとして活躍してもらっている。
良く食べて、良く眠って、良く物を運ぶフラッピー。素直に可愛く役に立つ。
ダンジョン内を縦横無尽に飛び回り、縄張りを警戒し続けるルミー。そこそこに真面目である。
ゆらゆらと部屋の中を漂うだけのリサリス。気が向くと人型にもなって徘徊し始める。
彼等が無事なら、ヨルン周りは平和に過ごしているという事でしょう。
・エルドラド御一行
ザハーク直属の眷属となっている。つまり守護者のものでありヨルンのものでもある。
フレイル、カタナ、ランスにハルバード。ちなみにハルバードはパパとも呼ばれる。
武器種の名前で統一されているので覚えやすいが、間違いもありそうなのが困りものだ。
強さの程で言えば測定不能。敵対する相手がいないのだもの仕方がない。
最終兵器のアジダハーカも加われば、世界中の国が焦土になるぐらいはやっちゃいそうでした。
他には100匹程のヨルンの信徒、不滅な蛇がダンジョン内を徘徊していたりもする。
警備員としては十分すぎる程の能力はあるようです。
・フィンブル
始祖竜と呼ばれる、世界が最初に作った竜種の一体とかなんとか。
自堕落な生活を送っているので殆ど無害だし、ヨルンとも仲はそこそこに良い。
一応、人間達に自身の力を加護として分け与える仕事をしていたりするらしい。
今回の宇宙行きに参戦した理由は不明だが、すぐにでも話は聞けるだろう。
ダンジョン内では体がデカく、自由に動ける部屋が制限されているのが不満のようだ。
・レヴァンテイン
フィンブルと同じく、始祖竜の一体。
フィンブルとは真逆の性格を持ち、しっかりとした考えは持っているのだが。
人と関わる事があまりない所為か、時間の感覚は全然のようだ。
宝石や金貨等、光物をため込むのが好きなようで、自身が認めた相手に分け与える事もするらしい。
ヨルンも神威と呼ばれる装束を貰って、着ている間は少し神様らしくなってる気がするというお話はこの場でしてみた。
・エレナ
ファンタジーで良く見るエルフの上位種。ハイエルフのエレナ。
胸が大きいので、たまにヨルンが挟まって遊ぶ子。
エルフからハイエルフになってしまった影響か。
とんでもない怪力を得てしまい、ドジっ子属性が増えてしまった。
アスピクが暴れた時に諫められる子だったりするので、彼女が付いてくるメリットは大きい。
宇宙行きについてきた理由は、ココアちゃんが行きたがっていたからだけれど。
・ココア
ファンタジーで良く見る猫っぽい顔付きの亜人。
エレナに懐いてエレナからは溺愛されている、ごくごく普通の一般冒険者だった子。
今ではリフに生体改造を施され、念願叶って火を吹けるようになったとか。
猫っぽいのでヨルンはペット枠で考えてしまっている。
ちなみに手を出すと、エレナが襲い掛かってくるフラグが立つらしい。
気になる魔人が今回の旅に付いてきているようだが、多分大丈夫でしょう。
・おっちゃん
多分人間で、何かのきっかけで老衰ぽっくり逝きそうなおっちゃん。良く血を吐くがまだ元気。
名前なのだが、名乗った事があった気がするが、覚えてないので知りようもない。
聞いても老い先短いし、ただのおっちゃんで良いぞと教えてくれない。
そんなおっちゃんだが、ヨルンの魔法の師匠であり、
色々とヤバイ系魔法を教わった経緯もあり、只者ではない事だけ分かっている。
一応、人間世界では魔術ギルド長をしていたらしいですが、
籠城する国に対して、ぶっ潰せを推奨したりもする過激なおっちゃんだったりもする。
宇宙行きには死ぬ前に行ってみたいのう、との事だった。
・ラノア
元人間だったが、今では狐顔の亜人、ではなく魔人扱いの子。
我等ユグドラシル勢が、そこそこ本気で改造した所為か、中々の性能に仕上がっている。
本人も満足しているようで、火を吹ける能力を面白がって使う一面も偶に見せていた。
元々が、人付き合いに興味無しという性格だったので、何にも気にして無いんですよね。
宇宙行きに志願した理由は、地上が暇だったから。
農作業が得意なようなので、ちょっとばかり手伝って貰う事になってます。
・イケメン
名前は確かコインさん。だけど名簿には人間男性Aだ。聖堂騎士ってのをやってたらしい。
顔が整っていて、腕前もそこそこ。女性陣には人気有り。
しかも魔族達からも評価が高い。本人も満更ではなく、どうやらケモナー属性があるらしい。
ラノアが宇宙に行くならと、おまけでやってきた。
・フツメン
どこにでもいそうなオッサン。名簿にも人間男性Bだ。ごく普通な一般冒険者だった。
しかしリフとサプより改造手術を受けており、純粋な身体能力の強化を得ているとか。
自信が無さそうな雰囲気を常に漂わせているが、アスピクには気に入られている。
お蔭様で、本人は来る気が無かったのに半ば強制的に連れてこられたらしい。
苦労人なのかもしれないが、ヨルン達と相対しても平常心を保っているので意外と大物かも。
・アリエル
幼女枠その1。ダークエルフという種族で、エレナと似たような怪力持ち。
商人なのでお金に目がなく、儲け話には良く食らいつく。今回の宇宙行きもお金の匂いを感じたか?
儲からないと説明しても経験が手には入ればそれで良い。宇宙旅行も楽しそうと言って付いてきた。
能力的にも査定上手で修理も可能。ゲームも上手い。何故か事故で裸になる時も。
その他に手先が器用で体が小さいので、それ用のお仕事も任せてみた。
小型の魔装竜と呼ばれる乗り物の操縦者となって貰う予定である。
これならば、宇宙でも脱げる事は無いだろうし。
・サイレン
長身痩躯なペストマスクの変態さん。色々と物知りで一時期はヨルンのナビ役ともなっていた。
ネーサンと同じく解剖フェチを持っており、それが理由なのかネーサンの眷属となっている。
その際に人間を止めて、悪魔のような印象を受ける姿となっている。
中間管理職のような立ち位置だったり、アリエルの保護者と勘違いされたりも良くある事。
そこそこに行動派でもあり、エレナ達を率いて王様と直接交渉しに向かったりとお仕事熱心。
何気に道具を扱う能力も高く、新しいものを発明したり、性能を調査する事にも長けていたりもした。
宇宙行きにはネーサンの眷属との事もあるが、本人も乗り気だった。
・アリス
幼女枠その2。魔人に分類される種族だけど、外見ほぼほぼ幼女なのにやっぱり怪力。
魔人達の親玉でもあり、世界征服を狙うぐらいには力を持っていた。
しかしヨルン達に関わってしまったが故に、ひと悶着が起きる事となり、
居城は破壊の限りを尽くされてしまったが、その程度じゃあへこたれない。
今回の宇宙行きに志願した理由は、ネーサンに来いと言われたから。
アリエルと一緒に実験台になって貰うとの事だ。
・魔人
誰こいつ? 魔人男性Aと書いてある。顔は知っているような気がする。
アリスの部下であり、魔人達の中では特に優秀な部類であるらしい。
血気盛んな若者のイメージで、思い人もいるとかなんとか。
変に手を出して問題を起こさなければ良いのですが、気にかけておきましょう。
ついでに名簿にはアリス配下の魔人が残り2名記載されている。
・女神様
踏みつけ女神、クレリアさん。
地上離れて良いのって聞いたら、自由に戻れるから別に良い。
宇宙旅行するなら連れてけ。危なくなったら持って帰ってやる。
女神パワーは時空を超える。バランスブレイカーな保険が付いてくるようだ。
この類の救済が無いとクレームが沢山来るのがゲームの常であるとか。
それで思い出したが最近の女神様は、ヨルンのセーブ&ロードの件について調べている模様。
使って良いものなのかと本気で悩んでいるらしく、真面目に話す時は近いと思う。
・魔竜
幼女ならぬ、幼竜枠。ニーズヘッグと言う名前を与えられていた。
世界を滅亡させる程にヤバイ存在だったらしいが、ヨルン達の前ではただの幼竜。
ペット枠として、与えられた玩具で遊ぶだけの存在となっている。
それ以外に得られている情報は今は特に無い。
・アドラ
箱に入った魔族。姿形がある程度変化するミミックと呼ばれる系の種族だ。
宇宙から降ってきて、尚且つ無事だったという耐久力を持っている。
ヨルン達にとっては宇宙旅行の先輩で、色々と教えてもらう事になっています。
これで全部…って。出発前には無かったページが追加されて、もうひと枠ありますね。
・オデン?
名前すらも疑問形だが、特に興味も湧かない変な奴。
神を自称した数々の詐欺行為。
我等がヨルンに対する傷害行為。
魔人アリスへの誘拐事案。
一般市民の生活を害する邪教への金銭支援。
ピュートンティアにて死霊王を復活させての一般市民虐殺。
その他諸々、更生の余地無し。
ユグドラシル、ケロンカロン、フェニエル、エイルグラン、女神の了承済み。
スキル剥奪の後、宇宙廃棄の刑。経過を確認した後、
この世に一片の血肉も残さぬようにユグドラ砲の的とする。
…
……
………
本当、誰こいつ? 傷害行為なんてされたっけ?
名前を知らないだけでなく、関わり合った記憶もない。
死刑以上に酷そうな文字が確認出来ましたが、各国の代表者達の了承も得られている。
女神様までOKを出すような奴まで乗せているのはどういう事なのか。
要確認事項として、後で守護者に聞いてみるとしましょう。
今はそんな事よりも、アドラとのお話がありますものね。
始祖竜への挨拶以外にも、アドラには目的がありそうですもの。
しかし予想してみるに、大した寄り道にもならず、
もしかするとギヌンガに会いに行くという目的自体が同じ可能性もある。
その場合は、厄介事の臭いがしますが、はてさてどうなる事やら。
考えうる限りの妄想と、その対応策を考えながらヨルンは宇宙特有の重力から解放された浮遊感を楽しみ、
流れるがままに宙を舞う。そしてアドラの上蓋に激突し、盛大に笑われた。
なんだいそんなに笑う事かいと思って反論しようとすれば、ヨルンも視界の端で動く物体を見て吹き出した。
ヨルンの真似をしようとしていた眷属達が、揃いも揃ってヨルンに回転しながら向かってきたのだから。
アレ等は一体どうやって対応したら良いのか。
受け止めようと踏ん張るヨルンだったが、そのまま巻き込まれて連れ去られる塊が出来上がってしまう。
そんな様子をアドラは眺めている。まるでそれは自分が通った道だと言わんばかりに。
とりあえず、ヨルン達だけが飛ばされるのも何なので、アドラも巻き込まんとがんばってみる。
がんばった結果に広がる騒ぎ。涙や鼻水を巻き散らすフラッピーが特に印象深い。
ルミーは高速で羽ばたくが成果無し、リサリスがスーパーボールのように跳ね回る。
巨大な体を持つドラゴンのランス君は両手を広げて仲間に飛び掛かり、
餌食となったカタナちゃんは声を上げることも叶わず、肉厚なお腹に潰された。
どっしりと足を付けて落ち着いているのはフレイル君とパパさんだけである。
やがて、ネーサンと守護者も時間通りにやって来て、繰り広げられる追いかけっこを眺めてため息一つ。
騒ぎを収めようと守護者が前に出てくるが、どうにもふんばりが付かないので止めようにも止められない。
広がっていく馬鹿騒ぎは暫く続き、会議が30分程遅れる結果となったが良くある事だ。
決め手は、ネーサンの蜘蛛糸縛り。ネバネバで張り付けてしまうという単純な解決法でした。
そんな流れもあって、宇宙空間での移動方法は早急に対処法が作られる流れになり、
アドラと守護者でダンジョン内の改変が行われる事となる。
ヨルン達には覚える事が沢山ある事を、改めて思い知った所で考える。
そして何となく口に出してた所。アドラはこう答えた。
「宇宙のあれこれは教えるから、なるべく急いで欲しいのサ」
どうやら時間制限はあるらしい。
であるならば、観光組と分かれての行動も視野に入れる必要もありそうだ。
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次回更新は数ヶ月程間が開くと思います




