しあわせ
幸せとは何か。
一緒に考えた夜。
二人で出した結論。
「人生はハードル走」
幸せって、ひとそれぞれ基準が違って、
みんなが同じものさしで測れるものじゃない。
だれかが「美味しいものをおなかいっぱい食べること」に幸せを感じても、
だれかは「今日も食べ物が食べられたこと」に幸せを見出す。
だれかが「自分がしたいことをしたいように出来ること」に幸せ思っても、
だれかは「今日も無事に生きていられたこと」に心から幸せを感じる。
だれかが「好きな人と一緒にいられること」を幸せと呼んでも、
だれかは「好きな人の幸せを遠くで祈ること」と言う。
今感じる『幸せ』もあれば、
あの頃を思い出して感じる『幸せ』もある。
『幸せ』測るものさしは、
その長さも、単位も、時の流れも、
人それぞれ違うもの。
でも、共有できる幸せもある。
今、一緒にいること。
これは、誰にも邪魔されない二人だけの幸せ。
二人は考えた。
今の幸せを感じるために、乗り越えてきたものがある。
今の幸せを共有するために、努力してきたことがある。
今の幸せを実感するために、犠牲にしてきたものもある。
今の幸せの先を見ると、憂鬱な気分になったりする。
今の幸せの先を考えると、怖くなったりもする。
今の幸せの先に、待ち受けているものはわからない。
―――光か・・・闇か・・・
なのに、どうしても幸せを求めてしまう。
それは、人はみな幸せがないと生きていけないから。
神様から与えられた権利。
だけど、それはみな平等な幸せではない。
それは、その人に与えられたものさしが決める幸せだから。
神様から与えられた宿命。
そして、幸せに辿り着くまでの困難も違う。
それは、その人に合わせた道とハードルが用意されているから。
神様から与えられた運命。
人間は、幸せの分、つらく悲しい思いをする。
人間は、苦しみの分、幸せを感じる権利が与えられる。
今、幸せですか。
あなたには、誰よりも険しい、危険な道が用意されていました。
それを乗り越えるために、誰よりも努力していました。
わたしというハードル目指して。
懸命に。
ひたすら。
そんなあなたの道にある
幸せのハードルを
倒してしまったのはわたし。
そんなあなたの幸せを
知りながら
壊してしまったのはわたし。
今、幸せですか。
わたし?
…………わからない。
あなたに会ってから、
わたしのものさしが、
変形してしまったから。
あなたに会ってから、
わたしの道にあるハードルが、
急に見えなくなってしまったから。