ヌアクショット
タイトルの意味について。
ヌアクショットは、西アフリカ、モーリタニア・イスラム共和国の首都であり、サハラ砂漠最大の都市である。大西洋岸に位置する。(wiki参照)
ガラケーの機能で、これからする買い物の計算を打ちこんでいたら、大変な問題が起り……さらに、メールが来た。
野球部の怖い恐い門先輩からだ。
『門:三軒さん家で飲んでるから、ビール購入後、来い』
ムリだ、今は出先で、更に俺は高校生……ムリだ。
気だるいから簡単に「出先なので行けないです」なんて打ちこもうか、んなふうに思い立ち、思い出す。
そうだ、なぜか「2」「3」「6」「9」「0」以外ボタン壊れてんだ。なら、「か」「さ」「は」「ら」「わ」以外のボタンも押せない。さらに、なぜか変換もできない。やばい、「ちんたらすんな」言われる前に返さなければ……押せるのだけでやるか。
『せかせか せんわ』
これなら、いそいでもムリだ、みたいなふうにわかんだろ。
『門:は? 急げや』
おや、なんでだ? まさか「いそがないでのんびり向かう」方の意味に見えたか?
なんかちがう理由……。
もう、なんでもいいや。
『ふりん する』
……んん、ま、これなら、ムリに誘わないだろ。
『門:テメエ、女いないだろうが』
そうでした。
んん。
ならこれならいいだろ。
『こかん が ひりひりする』
『門:五分で来い』
怒られる! これはもうお怒りだぞ……。いかにして乗り切るか。
そこで、またメールが来た。
『梅木:いまひまぁ? ウチにゆきたちいるんだ。ひまなら、みんなででかけない?』
女の子からさそいのメールだ。だけどこれもムリだ。
ふたりに返す。
『こかん が ひりひりするけん』
『さんか せん』
これなら、わかるはずだ。
すぐにメールがくる。
『門:いまさら何ゆうてんねん。殺るぞ?』
ん?……な! まさか……間違えた……? なら梅木には……。
『梅木:そうなんだ……まぁ。メンズにもいろいろあるもんね。ごめんね、またね』
う! 完全に引かれてる!
まずいまずい。いいわけは、なにか打てないか……。
メールがまた来た。
『?:こんにちは! 池長まりか、二十歳です! さいきんカレにふられて……………………』
「スパムメールかい!」
そんなもんにだまされる俺ではない。
もう、先輩はいいや。梅木にいいわけを……。
『ひりひりせん ひりひりせん それは さんか せん』
これならいいんではないか?
『?:こんにちは! 池長まりか、二十歳です! さいきんカレにふられて……………………』
「二回目!」
なんなんだ。
『梅木:なんかへんだね。めーる』
お、これは誤解を回避するチャンス。
『それがさ がらけ こわれ』
わかるかな……。
電話がなる。
「きた! はい!……ん?」
…………そうか、電話すれば早いやんか。俺、ばかだな。
「梅木? ごめんごめん。携帯こわれてて……」
『おい、五分過ぎたぞ』
ぽち。
電源ボタンが生きててさいわい。
皆さんが普段使っているソレ、本来は電話をするためのものなんですよね……なんてことが言いたいわけではないですよ?
本当に、ちょっと完成度が低くて申し訳ないのですが。七月末頃から投稿日八月十七日まで、一文字も小説を書けずに過ごしてしまったので、まあ、リハビリ的な意味も込めて今回は文字制限の掛かったメールというのをさせていただきました。本当に、あ、た、な、ま、や行が使えないというのは、セリフだけだとしてもかなり悩まされましたね。やってみると自分のボキャブラリーの少なさに愕然としますよ(笑)
で、タイトルですが。その前に、今回はこれを書く少し前に、平仮名を募集していて、その時に「あ」「ぬ」という二文字が集まったので、それらをつかったヌアクショットという言葉を選んでタイトルにしたのですが……その言葉が物語にどうかかわっていたかというとですね。もしかしたら気が付いている方もいるかもしれないですが。
今作は リポグラム なのですよ!
意味が分からないヒトもいると思うので注釈を。リポグラムというのは、簡単に言うと、文字落とし、文字制限小説のことです。
「それは今更言わなくとも、携帯が壊れて文字制限が掛かっているのはもう聞いたよ」と、思われた方がいるかいないかは分かりませんが、そういうことではなく。小説全体を通して「ぬ」「あ」「く」「し」「よ」「つ」「と」の七文字は使ってないのです。
つまり、メールの文章は二十一文字しか使えなかったわけですね……。初めて小説書いてて本気で投げ出したくなりましたよ(笑)
はーーーー疲れた。
あ、もし間違って使ってる文字があったら教えてくださいね(笑)
それでは、本文より長くなりそうなので、そろそろ失礼します。
読了。ありがとうございました。