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『火刑台の終止符(ピリオド)〜やり直し聖女ジャンヌ・ダルクは、最愛の騎士と歴史を覆す〜』  作者: れおん
第4章:進軍のパテ(リアルタイム・ストラテジー)

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第35話:斥候の眼(ビジョン・コントロール)

オルレアンを離れ、パテへと向かう街道。

ルイは時折馬を止め、じっと周囲の茂みや丘の起伏を観察していた。

「……はぁ。やっぱり、敵の配置が全然見えねーな。マジでドローンとかあれば一発なのに」

ルイが、周囲の兵士に聞こえないような小声で、私にだけ向かってぼやいた。

現代のゲームならマップの黒塗りが晴れるのに、リアルの中世は情報の霧だらけだ。

「……そうね。上空からの視点ビジョンがあれば、伏兵なんて怖くないのに」

私も小声で返す。

高校の頃、ルイが部活の練習試合をドローンで撮影していたのを思い出す。

あの「上からの視点」が、今の私たちには決定的に足りない。

「……しょうがねえ、人力でやるしかないか。……おい、お前ら! 聞け!」

ルイは声を張り上げ、護衛の兵士たちに向き直った。

高校生の彼が、部活の後輩に指示を出すような、少し生意気で、けれど的確な口調だ。

「ただ前を見るんじゃなくて、景色の中の『バグ』を探せ。……不自然に草が揺れてたり、鳥が一箇所から急に飛び立ったりしたら、そこには何かがいる。……現代の……いや、俺がさっき教えた『動体視力』のトレーニングだと思って、集中しろ!」

ルイは、ネットのサバイバル知識や、FPSゲームでの「敵の索敵」のコツを兵士たちに叩き込んでいた。

漫然と歩くのではなく、情報の「違和感」を察知させる。

「……おい、そこ! 止まれ!!」

ルイが鋭く叫んだ。

街道の先、わずかに草が不自然になびいた場所がある。

「……あそこの茂み、なんかテクスチャがおかしい……じゃなくて、密度が不自然だ。……ジャック、あそこに火矢を一本、威嚇で放ってみろ!」

兄のジャックが半信半疑で矢を放つと、果たしてそこから数人のイギリス軍の斥候が、慌てて飛び出してきた。

「……なっ!? なぜ分かった!?」

「……『間違い探し』だよ。……あんたら、隠れるのヘタすぎ」

ルイは冷淡に言い放ち、逃げる敵を追わずに、手元の羊皮紙(自作のマップ)にその地点を書き込んだ。

「……ジャンヌ。敵の『スカウト』を一人潰した。これで、あいつらの情報網ネットワークには穴が空いたはずだ」

「……すごいわ、ルイ。魔法みたいに敵を見つけるのね」

「魔法じゃないよ。ただの『観察』と『予測』。……でも、これだけで、俺たちの生存率は二〇%は上がったはずだ」

ルイは、現代のゲームでの「視界確保ワーディング」の重要性を、この中世の戦場で身をもって証明していた。

情報を制する者が、戦場を制する。

高校生の彼が、理系の冷静さで、この不透明な時代に「光」を当てようとしていた。

「……さあ、次は本番だ。……パテの平原。……イギリス軍のロングボウが、手ぐすね引いて待ってる場所だ」

ルイは馬を走らせた。

その瞳には、すでに数手先までの「勝利のシナリオ」が描かれているようだった。

「……ジャンヌ。準備はいいか? ……君が、歴史を塗り替える瞬間が、また一歩近づいてるぞ」

「ええ。……あなたの『目』を信じてるわ、ルイ」

私たちは、夕焼けに染まる街道を、迷うことなく突き進んだ。

情報の霧を切り裂きながら

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