第9話:崩れたチームワークを取り戻せ
雨上がりの校庭に、三人が集まっていた。
昨日の共鳴練習で生じた小さなズレ。
そのせいで、チームワークは微妙に崩れていた。
「なんで……うまくいかなかったんだろう」
柊は頭を抱え、遠くを見つめる。
昨日までの高揚はどこへやら、今は反省と不安でいっぱいだった。
「お互いの力を信じきれてなかったからだよ」
澪がそっと言う。
その声は優しいけれど、強く響く。
「……でも、どうやって取り戻せばいいんだ?」
新しく加わった少年も、うつむきながら問いかける。
その目には迷いと、初めての挫折感が滲んでいた。
「まずは、焦らないこと。
互いの心をちゃんと聴くことだ」
澪の言葉に、柊はうなずく。
全体把握は便利だけど、数字や情報だけでは心は動かせない――
昨日の暴走で痛感したことだった。
「それじゃあ、もう一度やろう。今度はゆっくり、順番に」
三人は円を作り、互いの手を軽く握った。
呼吸を合わせ、目を閉じる。
――共鳴開始。
最初は互いの心がぶつかり、波が乱れた。
少年の孤独が強く影響し、柊と澪の心も揺れる。
「落ち着け……心を合わせるんだ」
柊は自分に言い聞かせる。
そして、澪の声が小さく重なり、少年の不安を包む。
すると、少しずつリズムが戻り、三人の鼓動がそろっていく。
心の波が整う瞬間――
昨日の不安は嘘のように消え、透明な共鳴の感覚が広がった。
「やった……揃った!」
澪の声が弾む。
少年も初めて、心から微笑んだ。
「やっぱり……信じ合うって大事なんだな」
柊もほっと息をつく。
昨日の失敗が、今日の成長に変わった瞬間だった。
三人の間に、初めての本物の絆が生まれる。
小さな成功だけど、彼らにとっては大きな一歩だった。
「これからも……一緒にやっていこう」
三人の手が重なる。
崩れかけたチームワークは、こうして再び固く結ばれた。




