第19話:揺れる信頼
校庭の片隅、三人は再び集まった。
昨日の図書室での影の存在が、心に微かな不安を残していた。
「……昨日のこと、気になってる?」
澪が小声で訊く。
柊は黙って遠くを見つめるが、瞳の奥には迷いが見えた。
「……ああ。あの影、ただの偶然じゃない気がする」
新しい仲間も、眉をひそめながら頷く。
初めての挑戦者や挫折を経た後でも、未知の存在には警戒が必要だ。
「でも、僕たちの共鳴は大丈夫……だよね?」
少年の声が少し震える。
昨日の不安と今日の緊張が、心の揺れとなって現れる。
「もちろん。信じ合えれば、乗り越えられる」
柊は言葉に力を込める。
しかし、内心では微かに迷いがあった。
信頼する仲間でも、完璧に心を合わせるのは難しい。
澪の手が、そっと少年の手を握る。
それだけで、心の波がわずかに安定する。
「揺れるのは自然なこと。
でも、互いを信じる気持ちを忘れなければ、大丈夫」
三人の呼吸が徐々にそろい、共鳴の光が柔らかく輝き出す。
不安も迷いも、互いの存在で少しずつ包まれていく。
「……信じる。僕も、君たちを」
少年が小さく頷く。
その瞳に、昨日までの孤独や迷いは少しずつ薄れ、希望の光が差し込む。
柊は安心して息をつく。
今日の訓練は、ただの心の確認ではない――
揺れる信頼を、互いに確かめ合うための大切なステップだった。
三人の共鳴が校庭に広がる。
揺れながらも、確かな絆が光となって輝き始めた。




