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オリジン・シード  作者: 草間
巨大棺構造体”メガコフィン・ストラクチャー”
14/19

13話 デカい巨人はデカい怪獣と戦って勝つために作られた

巨大構造体(メガストラクチャー)宙域 宇宙怪獣迎撃機動(マニューバ)上 アンジェラ


「アンジェラ!無事!?こっちは問題なかったけど、確認できていない被害はある!?」


「大丈夫。一瞬視界が飛んだだけ。構造体に接近する前には打ち合える。止めてみせるわ」


「異常震源と熱量、今までにないタイプ。どういうのかは説明しにくいけどただの宇宙怪現象のカテゴリーではなわ」


「でしょうね。重力集束レーザーの類?観測データからみて推測でいいから話して」


「詳しくはわからない。ただ発射地点は宇宙怪獣から、そういうのではないから安心して。ただこちらの構造体の障壁で防げたけどそっちじゃ無理よ。当たらないように」


「排除手段はいつもの通りか……アプローチにはいる。敵バリアー障壁の解析準備を」


「了解。航空隊の援護開始、敵熱量兵器の影響解析も同時に行うから散開して!」


 こちらに近寄ってきた航空機に対して軽く()()()()した後に指で旋回を指示する。55mとなった私の右方にいるヴァルキリー中隊の航空機はその指示をもって宇宙怪獣へ向けてアプローチを始め、ギリギリのところで空間魚雷を打ち込み放ったところが望遠でも確認できると閃光があがる。航空機とのサイズ差であれば小鳥を飛ばしてヒグマに石を当てているようなものだ。


 宇宙怪獣の直接的な脅威というのは、大中小と3つに分けられる。


 小は出現の影響。出撃の前にもあったが、どこからか出てくる。我々が使うのと同じ跳躍空間から出てきているのだろうが、どこからかはわからない。さておいてその余波は連邦航海法にある震動の抑制を無視したもの。出てくるだけで周辺に被害が出てくるようなものだ。これだけで小規模な衛星は軌道がそれるものだ。惑星近くや表層であれば大都市ぐらいぶっ飛ばせる。出てくる音が大きいが故に見つけやすいが、大きすぎて出てくるだけで脅威となっている。


 中というのはそのバリアー障壁。生体由来かはわからないが、装甲や皮膚表面より上にある特殊な障壁が存在している。ある種の熱量による歪み、出現の余波とも考えられている。それが故に21世紀の兵器が通用せず、原子力兵器も通用しなかった記録が残っている。現在ではそのバリアー障壁を構成する熱量波長のようなものを探るために航空隊や艦船がいくつかの攻撃手段を用いて、その反応を探ることで霧散させる()()()()()()()()()が確立されている。航空隊の攻撃が行われているのがこれで、警戒機を中継して艦船等でバリアー解析を行って霧散させないと殴り合いという勝負に持ち込めないのだ。


 そして大はその生体に存在する攻撃能力。兵器かどうかも疑わしいものではあるのだが、光線やら何やらの熱量を体内から放射あるいは射出してくる。初撃を回避できれば解析し、防御用の力場であるフォース・シールドを展開することで防げる。しかし今回の個体はそのような通例が通るか怪しい。通例では遭遇するだけのケースが殆どなので、殴られて反応で放射するようなのばかりであった。


 今回は最初から狙って来ている。私が21世紀当時の生き残りであったら、地球に襲来した時を思い出していたのだろうか。そんなことは冗談にもならない考え、とネロには一笑されるだろうがこうした異常事態が起きてしまっては仮説を逐次組み立てていかないと寸時で足元を救われる。


 あの熱量兵器、我々と同じような手段……バリアー障壁を破ろうとしての試みであれば。あの巨大構造体のバリアー障壁を突破しよとしているのであれば。これ以上構造体を狙わせるわけには行かない。解析終了と同時に組み付いて減速させるか、軌道を逸らして火力を叩き込むのが最善と一先ずのプランを立てた。呼吸を整えて、その機会を待つ。どの部位を破壊すれば減速すればすらもわからないが、まず当たってみないと話にならない。


「アンジェラ、聞いて。熱量兵器の正体は不明だけどバリアーの波長解析は終了。構造体の演算機能がすごいわ、これは熱量兵器も早く終わりそう」


「だといいけど。ハーモニクス開始、フォース・フィールドを展開して突撃する。航空隊を下がらせて」


「了解。でも周囲で待機させて観測は続ける、いいわね?」


「敵のリアクションが読めない今回は各機シールドを維持しつつ警戒。守護天使(アーク・エンジェル)、これより突入する!」


「了解、守護天使!勝利を!」


 背部の機動補助用積層バインダーを広げ推進機能を高めてから宇宙怪獣を目標に相対上昇。バリアー障壁中和干渉を目的としたフォース・フィールドを展開し……一気に蹴りこんだ。背中の翼を広げ、飛び蹴りを打ち込む強打。宇宙怪獣の形状からして海だか地に走る獣を襲う空の狩人のように。小鳥のように探る航空隊ではなく、狩り殺すための突入。ただの肉塊や艦船ならこれでぶち抜けるのだが、そうもならないから怪獣なのだ。


■宇宙怪獣との戦闘機動(マニューバ)


「敵20万キロ通過!アンジェラ、状況を!」


「こいつ、止まらない!まっすぐに構造体に向かっている上に速度を上げている!」


「携行武器はどうしたの!」


「まずいわ、打ち込む先から熱量が中和されている!現行の対処法では破壊できない!レーザー・ブレード・ソーがただの棒きれになる!」


「残り15万キロ!ワイバーン・リーダーより守護天使(アーク・エンジェル)、このままでは構造体に衝突します!空間魚雷の発射許可を!」


「ならこのまま同乗していくだけ……熱源攻撃は!予兆は出ているか?こちらでは確認できない!」


 組み付いた後に格闘をしつつ対怪獣武器を打ち込む。たったそれだけでもあるがその組み付きからの対応こそが重要。ただの遭遇戦ではないことはわかっていたが、ここまで構造体をただ狙って突き進むだけとは恐ろしい。機能や目的が単純であればあるほど、こういう目的のために構築されているかもしれないという予測。今考えるべきではないとしても、これを被造物として作っている存在がいるかもしれない、という悪い予感がノイズになるだ。


 その予想を補強するように……こちらの戦い方を重々承知しているような怪獣側の対処法。1000年に渡る人類との遭遇戦の目的は、我々を学んでいたとでもいうのだろうか。では地球の時はわからないが……全ては今回のためか。そして見つかっていないが方々にある構造体のため。いや……唯一の存在を狙ってなのか。嫌な考えばかりが浮かんでは自分の頭を絞めている。ツボミの裂け目に腕を差し込もうと拳を突き立てようとするが、それも弾かれてしまった。


「残り10万キロ!アンジェラ、これ以上は危険、ぶつかるわ!退避して!」


「ネロ、そこから主砲を打ち込める!?私を目標にすれば艦首を向けさえすれば当たるわ!」


「バカ言わないで!アンタもぶっ飛ぶのよ!?」


「あたるようなら避けるだけよ!なんとか退避する、いいから早く!ダメだったら手当たり次第武器を試す!」


「船体前方を開放!制御と目標点修正!主砲発射用意!射線と効果範囲から航空隊は離脱!」


「えっ本当に撃つの!?このままだとアンジェラは」


「残り1万キロ!」


「主砲発射!」


 巨大構造体のバリアー障壁が一部開かれてアークⅣからの主砲が撃ち込まれた。今回の構造体攻略戦でも使わなかった艦対艦レールガン。現在エネルギーが十分に使えるのであるから、惑星軌道にある迎撃設備と同じぐらいの出力が行使できるだろう。こちらでもわかるほどのエネルギーと速度、どこかに当たれば撃破できなくとも最悪一時でも減速になってくれるはず。そんな期待を持った瞬間、浮遊感が体を押し上げる。いや重力がない宇宙空間に置いてそれはおかしい。だが組み付いた相手に()()()()()()()()が薄くなり、宇宙であるのにソラに放り出されそうな浮遊感。なにかまずいと感じ、力を込めてしがみ付けば砲撃の軌道が逸れていたのを見送る間抜けとなってしまった。


「アンジェラ!離れて!!!衝撃備え!」


 違う、それたのではない。


 宇宙怪獣が逸れたのだ。減速をせず、まったく同じ速度で回避行動を取り、直進していく。まずいと思った時には遅い。だが止める手段がない、そのまま衝撃に備えようと掴んでいた角のような突起を握りしめるが体がそる。私の体が、宇宙怪獣の体と共にそっているのだ。いや……正確には違う、宇宙怪獣の体がツボミから咲くように開いて構造体のバリヤー障壁に()()()()()()のだ。


「コントロール・ルーム、聞こえる?こちら守護天使(アーク・エンジェル)。状況をこちらに回して!プリム?どうなの!」


「障壁の中和を試みているようです。探っているようですのでこちらの処理で変形させていますが、どの程度持つか不明。合致した瞬間侵入される確率は100です」


「こちらクラウディア、情報処理に割かれて迎撃対処のための熱量計測が出来ません。対処はどうしますか、ネロ。何か作戦は」


「バリアー融解後は構造体で物理的に阻害は出来ないの、プリム!」


「一時しのぎにはなりますが、それで防ぎきれるか断定は難しいです。目的がはっきりしている分、相手がどうでるかがわかりません」


「目的ってまさか……私!?」


「それ以外には考えられないでしょうね。色々言いたいことはあるけど、専用のボディで()()()()()()と見ていい。防ぐ手立てが外れると、よくて確保される程度ではあるんでしょうけど()()()()()()()()()()()()ね」


「余計な心配はしなくていい。対処方法を考えて。観測出来ているでしょうけど、展開範囲が大きくなっているわ」


 観測を見誤ったのではない。開いた宇宙怪獣は膨れ上がって構造体にしがみ付く面積を広げている。最初に遭遇した時はおそらく70mほどであったが今では倍程度の膨れている。そこに勝機はないだろうか?膨れ上がっているのであれば薄くなっているかもしれない、殴ってみるが感触はあまり変わらないもので期待は出来そうになかった。バリアー障壁の強度の件もある、こいつを引き剥がすのは諦めたほうがいい。この展開速度なら巨大構造体の全体を覆うまでまだ時間があるだろうが、全て覆うまで待てる保証などない。


「プリム、アンジェラに渡していた武器のようにあの……ロボット用の武器は作ってないの!?」


「近いのは存在しますが、今回用に調整するとなるとバリアー制御に問題が残ります。あまりお薦めできませんが」


「オススメできないが、事態を打開するにはそれぐらいしかないと。ただこちらで受領するのは難しい、どうするの」


「中和されるのであればこちらから障壁解除をし、同時に放出します。それを受け取ってください。形状はよくわかるようなもので」


「熱源と震源確認!伏せて!」


 航空隊による時間稼ぎも考えていたがこれは不可能そうだ。先程と同じではあるが、出力が違う。大規模というよりも波打つような鞭のように放出されたエネルギーが構造体を覆っていたバリアー障壁の一部を溶かしてしまった。そこから溶解液で侵食するように消失が広がっていく穴を……宇宙怪獣が進んでいく。


 相対的な大きさでいえば、宇宙怪獣の大きさは巨大構造体に対してはそうでもないだろう。しかし膨れ上がった体を今度は変化させてツボミよりも鋭利に枝を分けるような形状に変化していく。どうやって再生者、あの男を攫うかどうにかするのかと思っていたがこれが答えになるとは思わなかった。構造体をこじ開けてバラバラにするか、中に浸透させて確保するか溶かすつもりか。どんな事態も想定しろと言っておきながらも、目の前で異常に形態を変えていく宇宙怪獣を見れば万全などないことを突き付けられているようで腹が立つ。地球人類の命題としてこんなもの相手にしろというのは、やはり無茶苦茶だ。


「アンジェラ、軌道を送った!放出完了!掴んで!今から障壁用ではなく内部の熱量放射解析用に演算を使用する!」


「それを用いて、解析により出た場所を狙えば()()()()()はずです」


 放出されたそれをみればなるほど、と理解した。何に使うかよくわかるもの。巨大構造体の管理者であるプリムは宇宙怪獣退治に何を使うかの想定もしていたのだろうか。とにかく使い方はすぐわかるものだし原理を聞けばよくわかった。熱量と共にフォース・フィールドを打ち込んでそのもので裂くのか。


 放出された()()()()を掴み、先程まで使っていたレーザー・ソーにドッキングさせる。熱量をなんどか打ち込んでいたが分解されていた、艦船解体用の工具を基盤にした怪獣退治ツール。ただエネルギーで溶断する対怪獣用の武器として使っていたものが、構造体で作られたブレードを装着したことで決戦兵器になるようだ。同時に波長解析も行うのであれば、どの程度膨れ上がっても破壊できるはず。


「指定波長の変換はこちらの演算で対処する、とにかく打ち込んで、こちら側から!」


「了解、右方から回り込む!打ち込んで振り回すからコントロール・ルームは防御を!」


 そして異様に膨れ広がり上がり変形し鋭利になる宇宙怪獣が枝先を伸ばした場所。コントロール・ルームがあるあたりか。そこを覆うように広がるグロテスクな肉の内側に潜り込み、ドッキングされたソーを振りかぶる。強く、強くその力を使うことを意識すればエネルギーがただの熱量兵器のように放射されていくが……そうではない。


 逐次変化していく波長をなぞる様に模倣し分断し切断崩壊させていく……必殺の対怪獣用熱量切断兵器。それが行使されたことで咲いた邪悪な肉の花木が、花弁の中心からまた裂かれるように切られて広がり……連鎖的に反応していくのだろう。エネルギー融解を起こして爆発し始めた。


「アンジェラの言ってた通り、前例のない事態が始まったわね」


「もう始まってたんでしょう、これからもこんなことばかりになるはず」


「勘弁して欲しいわ……航空隊収容。プリムはエネルギー障壁の再配備はどれぐらいかかりそう?」


「ブレード使用時のデータ解析を並行していますがすぐ終わります。航空隊収容後に再展開の予定です」


「ですってよ。ワイバーンとヴァルキリーから順次収容。一応通達するけど震源異常なし、お疲れ様」


 前例のないところではあったが、宇宙超常存在……ザ・マスターの遺跡の力を使えばこうなるか。呆気ない者だった。そう…あっけない、寸時ギリギリではあったがうまく行った方。これからもこのようなことが起きるだろうがどこまで対処できるだろうか。そこまではまだ断言できる材料が何もないが、今はただ同じようなものがまだ来ないことを願うしかない。流石に2度3度短時間で来られたら私でも厳しいものは、ある。もう一つの自分の体であるタイタンとの同調している感覚が著しく低下していること、スーツの下に汗をかいている感覚が生まれていることから感じずにはいられなかった。

tips


バリアー障壁:エネルギー波形を放射しているバリアー。宇宙怪獣のものは波形が生体と連動しているためパターン解析が複雑なので解析に艦船規模の演算処理機能を使っての解析が必要。解析かふらフォース・フィールドを使っての中和を行わないとそのまま衝突や惑星に落下し大変危険。


艦載砲:つよいレールガン


レーザー・ブレード・ソー:小惑星採掘用や宇宙艦船工事用の工具。人型巨大兵器用のものではない。エネルギー波長の調整機能が有用であるため流用されている。追加のブレードで影響範囲を変更できる。構造体で作っていたブレードは完全に武器するアタッチメントなので法令上かなりブラックよりのグレー。

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