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黒電話 2025/08/17 07:45 タマ

拙作、電脳の猫の中の話を考えていて出来た派生物です。


物語を続けるための覚えとして。


『黒電話』


 ジリリリリッ!と昔懐かしいベル音が部屋に響き渡る


「はいはーい♪」


稲荷(あやは)ちゃんは誰に言ってるのか判らない返事をして電話の受話器を取った。



 この部屋にある黒電話は、稲荷ちゃんの仕事場の社務所、事務室の古びたスチール机の上にある黒電話と直接繋がっていて、

やろうと思えばそちらの事務室と、ここと、電話相手とで、三人で話をすることも出来るのだ(笑)


 ただ、この黒電話には電話線が繋がってはいない。

でも何故か通話が出来る……



「あっ、つかさくん♪ どうしたの?

TRPG(ゲーム)のお誘い? 行くっ、いつなの?」


 そんなことを言いつつ、○○(つかさ)からの連絡を嬉しげに受けている稲荷ちゃん。

このネットワーク全盛の時代に、時間を作って、お互いが会って対面でのゲームというのもなかなかだね(笑)


嬉しそうな稲荷ちゃんを見ながら、ツッコミどころ満載の日常を眺めるあたし。


 そういえば、あの黒電話(笑)

稲荷ちゃんは、

「こっちのは、表の電話の無線子機?」

なんて、そうした惚けたアホなこと言っているけど、


そんなわけあるか!(苦笑)


 あの電話は中を分解してみても、まったく普通の黒電話だ。

いつだったか、気になったあたしはプラスドライバーを持ち出して、外側のカバーを外してみたのだ。

 ベル用のコイルや電磁石と、通話用の機械にその配線などがあるくらいで、重たくかさばる割に驚くほど中身が詰まっていない。

スカスカといった方が早いだろうね(笑)


 やっぱり無線通信の機構どころか、アンテナの部品すら無いのだ。


 それでも、あたしがネットに入っているとき用事があるとここから電話が掛かってくるのだ。

それも、間違いなくあたしの登録してない、今の黒電話のベルの音をけたたましく鳴らしながら。←アレって何処ぞの妖怪ポストみたいなおかしなものだよね、きっと。


 あの電話は、ネットにいてつかまらない仲間たちに、なかなか連絡ができないと困っていた彼女へと、○○(つかさ)がヘンな風にイジって、(配線も無いのに)ネットの相手に繋がるようにしたものらしい。

神の御用人(代行者)というのは変わったヤツが多いけど、やっぱりあいつもか(笑)


前に、連絡がつかないと溢していた稲荷ちゃんにあたしは、

「稲荷ちゃんもBAPP(ブレイン・アプリ)入れれば(ダウンロードすれば)いいのに。

連絡とか楽だし、それに便利だよ」

そう言ったのだけれど、


けれども稲荷ちゃんは、

「いやよー、頭の中に変なもの入れるなんて!

それに作ったのってあの人たちなんでしょ!」


-確かにそうだった(笑)-


「変な病気に感染しそうだから、それはいやっ」

そう言って断られたのだ。


あいつら優秀なんだけどね(笑)

悪人だけどさ♪


 彼らの犯罪歴を考えると、お世辞にも安心安全とは言えないけど、

まあ、大丈夫なんじゃないかな?(笑)

彼らのやりたいことは、今は別にあるから♪



 この場所には、最先端(デジタルテクノロジー)懐かしいもの(古き良きアナログ)とが淘汰されることもなく混じりあっている。


 古いものたちが消えて、新しいものが現れる。それは世の常……

去るもの来るものがあり、ゆき帰るものもある。


 人はどうなるのかねぇ……


 AIは昔のものとは違うけれど、生命としての生き方を模索するように歩み始めて、

意識体をネットワークへと置く(ダウンロードする)ことの増えた人たちは、ますますAIのような電子生命体へと近づきつつある。そう見える。


 人は去るのか……

だとしたら、あたしたち人のかたわらにいるあやかしも、きっと彼らとともにさるのだろうね。


 近いか遠いかはともかく、

未来に去った人の居場所は、きっと何かがその場所を埋めるのだろう。


 人が去らないようにと、その努力を重ねなければね……


「まあ、ほっといても温暖化で死にそうだけど(笑)」



 そんなことを思った、あるとても暑い夏の日のことだった。


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