2025/03/23 07:15 絢葉(あやは)
登場人物、稲荷狐の絢葉と猫又タマ。
今回の語り手はあやはです。
たまたま見かけたことで書きましたが、
リハビリと称して書きたかったのは、実は稲荷狐の方なのですね。←猫又はほっといてもしゃべるから(^_^;)
-トンビ-
あ、トンビだ。
ふと視界に入った、空を飛ぶトンビ。
いつもは円を描いて舞うように滑るように飛ぶ鳥。
いまの姿はすこし違っていて、羽を畳んで急降下する寸前の姿を見たのだ。
何をみつけたのかな?
そう思いつつもやることがあって、その姿から目をそらして、いつもの社務に戻ったのだ。
あとでそんな話を猫又ちゃんに話した。
「へぇ。何か獲物を見つけたんだろうね。
ヒバリの巣か、それともネズミかな?(笑)」
猫又ちゃん、嬉しそう。
ネズミの味でも思い出しているのかな? 美味しいものね、ネズミ♪
「猫又ちゃんわ、トンビとか鳥って好きなの?」
猫又ちゃんだと、捕るのが好きとか言いそうだけど♪
「あぁ……、どっちかというと苦手。小動物は猛禽類のエサだものね。子猫とか(笑)
鳥でも今増えてるカラスとかは、猫にとってはライバルだけとさ。特に友情は芽生えない(笑)」
そんなふうにすこし茶化しながら話す猫又ちゃん。
そうよね。
むかしむかし小さかったころ、わたしも鷹とか鷲に狙われたことがあったもの。
そうしたことを話すと、
懐かしげな表情を見せながら、猫又ちゃんは相づちを打って、昔のことを話し出す。
わたしと猫又ちゃん、しばし昔話に花を咲かせたりした。
「トンビもだけどむかし見た動物の姿って、何であんなに美しいんだろうね♪」
思い出補正かな?なんて言って、猫又ちゃんは茶化しつつも、
今の動物の姿はすこしいじけて見えるなんて呟いている。
鳥や動物たちは美しいということ、猫又ちゃんと同感。
それに、確かに昔の動物たちは今とすこし違って、のびのびして見えたわね。
猫又ちゃん、きっと人が多くなりすぎたからだって言いたいのだ。なんとなく分かる。
「人の数わ、確かに昔よりもずっと増えているものね」
すみかを人に追われて場所を変えたり、居なくなるものもいる。
複雑なきもち。猫又ちゃんもそうだろう。
動物が出自であるあやかしのわたしたち。
獣として生まれて自然のなかで人と共に生きようとしてきたものでもあるけれど、
あやかしとして人の想いで再び生まれ、今までを人と共に歩んだものでもあるからだ。
「人間が増えて、そのせいで世界は狭くなって、
それなのに世界の使い方を間違えた人間のせいで、その世界すらも小さくなってゆく」
猫又ちゃんはそんなことを言っているけど……
うん、難しいよね。
人が自分たち以外のものを感じ見える力を失ってから、もう久しいし、
それが感じられる人、見える人も、出来なくても解る人からの伝承も、すでに途絶えてきているのだから……
「あたしたちも、どこか棲み家を変えなきゃかな。他の生き物たちを連れてさ、たとえば宇宙船で星の世界へとか(笑)」
箱船みたいね。それか、新世界へと向かう旅立ちの船かな。
星の世界へかぁ。
とても楽しみだけど、出来るのかな?
それよりも、
「わたしたちだけで?
それわすこし寂しいな……」
「まぁ、あたしたちがそうするよりも、人間がこの世界を見捨てるのが先かもしれないけど(笑)」
それはもっと寂しい。
見捨てられた世界から、そこに別れを告げてわたしたちだけで旅立ってゆくのは……
「寂しいね。
独りで取り残されるのも、旅路をゆくのも……」
「まさか~♪
あたしたちはあやかしだよ♪
人の想いとして生まれて、
人と共に、そのかたわらを歩むもの。
人と一緒だよ!ずっと、未来永劫共にね♪」
「……うん」
ずっと一緒なのはいいね。
そんな未来がくるのなら、それはとても楽しみ♪
そうなってもそうならなくても、
先ずは世界を回したり、見まもりながら歩むのだ。
人たちとともにゆく……
それがわたしたちなのだから。
-余談の呟きです-
実はこの拙作を書く前に、自分の言葉で書く別の作品を考えていたことがあったのです。←多分、方向性としてそれほど差の無いものだったのではと思いますが(^_^;)
それは、おもいでのおと、というタイトルでした。(今回と同じように思い出の音、おもいでノートと、どちらでも読めるようにですね♪)
こちらを辞めたのは、今回と同じように、続けることが出来るかという心配が一つと、
もう一つ大きな心配は、
ネタが出来ると、勢いで詩にしてしまうことが多いからですね(笑)
今回のネズミネタは、以前に質問状バトンでやったネタからの転用です♪(^人^) ※彼女らは出自が獣のあやかしなので(^_^;)
トンビはこの日に見た翼を畳み急降下する寸前の姿をきっかけにして書いてみました(*^^*)b
トンビ、この翌日の早朝には縄張り争いらしき姿を見かけましたね♪
生きることは生きのびること。
生存競争はときに厳しいものだとかんじたりです。
それでも鳥の、その飛ぶ姿は、やはり美しいものですね(●´ω`●)