2025/03/23 06:14 タマ
登場人物は猫又タマ(今回の語り手)と、稲荷狐の絢葉。
拙作のいつものメンバーです(*^^*)
-春霞の朝-
「朝の空がきれいだねぇ」
数日前の朝まずめ、日が昇る前の色はオレンジに染まるような色だったと思う。
今朝は薄いピンクに染まっているようだ。
あたしの言葉に、稲荷ちゃんが相づちを打つ。
「ええ、とてもきれいね。霞で山の姿も薄桃色に染まってみえるわ。
冬の山並みわ、今よりもすこし青みがかってたのにね」
「あぁ、今は青に紫が混じるようにも見えるよね♪」
先日降った雪がまだ残る山の姿を、ふたりして眺める。
「三日前までわ、あたりが白いきれいな雪だったのにね」
「昨日はまるで初夏だよ(笑)
急に暑くなるのは参るねぇ(苦笑)」
「そうね……
おかしな季節。これからどうなるのかしら」
「なるようにしかならないよ♪
原因が人間さまのやったことだから、良くなりはしないだろうねどね(笑)」
「猫又ちゃんたらっ!」
「まあまあ♪」
稲荷ちゃんは人間をわるく言うと、ちょっと不機嫌になるんだ(笑)
「でもね、なるようになることを自分のためだけにやってしまうのも人間だから……
それも人、人の所業だよ」
仕方ない。見たいこと聞きたいことしか信じない輩は確かに多いのだから。
学ぶ時間が人には少なく、それはだんだん短くなってゆくばかり。
人のセカイ。
時間も空間も支配し管理する、そんな人間の作り上げた機械の元で、やることなすことも、興味をそそることも、みんなみんな管理されて、
短く切り刻まれた、腰を据えて望むことのできない細切れの時間の中でしか、人間は何かをやることが出来なくなっているのだものね。
「あたしたちには祈るしかできない……
なんてね♪」
ちょっと茶化した感じで言ったことをしめようとする。
「そうね……」
稲荷ちゃんは祈るような、悼むような、
そんなふうに目を伏せた姿で、そう洩らした。
良い未来がくると好いねぇ。
あたしも稲荷ちゃんと一緒に目を伏せ瞑る。
せかいは巡る。
あたしの好きな、
今は短くなってしまった春が来る♪
春の先には、長い長い夏がきっと控えているのだ。
-余談-
各話タイトルは、作品を書くとき無記名だったときのタイトル未定、タイムスタンプを流用しています。
以前に何回か(何回も(笑))、短編作品なのに、作品設定で短編を選択せず連載にしてしまったときの各話タイトルでの記載を見て、
何かに使えないかな?と思うことがあったのですね(^_^;)
今回ちょっとタイトルタイムスタンプの後に主人公名を記載して物語にすることを試してみました(^人^)
後は、いま書いている物語へのキャラクター自身の演出リハビリ、筆練習としての意味合いもあったりです(笑)
ご笑納いただければ幸いです♪(^人^)