第二章 母と子 ー
ー 第二章 母と子 ー
「ほらクラリス、ほっぺたをつねってみて?」
「うん、つねるよ。えいっ」
「あぁ、痛い!痛いわクラリス!あなたも感じる!?」
「うん、痛いよアリス!わたしも、わたしも感じる!」
「ああぁぁ……。素晴らしいわ、あなたと感覚を共有しているなんて……!」
「うふふっ、うふふふふ……」
「あははっ、あはははは……」
アリスとクラリスは、自分達の体を触ったり叩いたりしては、笑い合うという行動を、延々と繰り返し続けていた。ノーフェイスは三十分ほどイスに座って黙っていたのだが、店主がちらちらと二人の様子を確認しては、恐々としているのを見ていると、なんだか彼のことが気の毒になり、一緒に厨房で皿洗いを始めた。
「しかし、よくこれだけの量の食器が店にあったものだね」
「へい、ローレンス様から魔法の箱をいただきまして」
「箱?」
「へい、ここを開店したときです。あっしが『とにかく料理を作りたいが、皿も材料もすぐ足りなくなっちまう』と漏らしていましたら、開店祝いと言って、プレゼントしてくれたんです」
店主は洗い場の後ろにある、大きな箱を指差した。見た目は鉄でできた、大きな冷蔵庫に見える。観音開きに開くようになっていて、標準体型の成人男性が、三人は入れそうな大きさだ。今は箱の中身は空っぽで、その中には何も入っていない。しかし一度箱を閉じた後、店主が一言、「皿」と言って箱を開けると、中には大量の皿が入っていた。
「素晴らしいでしょう。料理に関する物がなんでも出てくるのです。食器だけでなく、食材もここから生み出しているのですよ」
店主がそう言ったそのとき、店のドアが開かれ、誰かが中に入ってきた。ノーフェイスはローレンスが戻ってきたと思い「やあ、まっていたよ」と声をかけたのだが、そこにいたのは、見たことのない黒人の少年だった。店内にいた全員が少年に注目すると、彼は深く息を吸った後、はきはきと大きな声でこう言った。
「こんにちは!ここに来れば、食べ物がもらえると聞いて来ました!」
少年は十才ほどで、ぼろぼろの服を着てやせ細っていた。傷だらけのニット帽に、何か所も破れている長袖のシャツとズボン、そして泥だらけのスニーカー。あまりにもみすぼらしい姿をした少年だ。厨房にいたノーフェイスはホールまで出てきて、少年に質問した。
「食べ物をもらえると、誰に聞いてきたんだい?」
「ローレンスさんです」
「ローレンスに?」
「はい、急ぎなんです。どうか食べ物をお願いします!」
「なんてこった、またお客様がいらっしゃるなんて!さあ、こちらの席へどうぞ!」
店主が少年を席に案内しようとすると、少年は手をぶんぶんと振り「いえ、違うんです」と言った。
「料理が食べたいわけじゃないんです。食材を分けてもらいたいんです」
「へ?食材だけですかい?」
「そうです。食材だけでいいんです」
「へえ、そうですかい。……おや?」
「どうかしましたか?」
店主は少年の顔を数秒見つめた後、首をかしげた。少年も同じように首をかしげ「あの、なにか?」と店主に聞いた。店主は目を細め、首を傾けたまま、少年に聞き返した。
「昔どこかで、お会いしたことがありましたかね?」
「……いえ、覚えがないですが」
「……まぁあっしの思い違いでしょう。ちょいとおまちを」
店主は「牛肉、豚肉、鶏肉」と言って魔法の箱を開け、食材を出そうとした。しかし箱の中は空っぽだった。店主はおかしいな、と首をかしげた後、「卵」と言ってもう一度箱を開けた。しかし、やはり箱の中は空っぽのままだった。店主はなぜだろうと眉間にしわを寄せ、しばらく考え込むと、「あっ」と声を上げた。ノーフェイスがどうしたのかと声をかけると、店主は慌てて話し始めた。
「すっかり忘れていましたが、この箱が一日に食材を生み出せる量には、限度があるそうです……」
「……あぁ、なるほど」
「さっき、一日分の食材を使い切っちまったようです……」
「な、なにもないって、ことですか?」
少年は困り果てた様子で、頭を抱え、その場に座り込んでしまった。すると一連の話を聞いていたアリスとクラリスが、気まずそうにひそひそと、小声で話し始めた。
「どうしよう、アリス。わたし達のせいだよ……」
「そんなこと言ったって……」
「わたし達が、全部食べ尽くしちゃったから……」
「それはそうだけど……。ねぇあなた、一日くらい我慢できないかしら?あなたもお腹が空いているのだろうけど……」
少年はうつむいたまま、心底困り果てた様子で、弱々しくこう言った。
「ボクはいいんです。ボクじゃなくて、母さんが……」
「お母さん?あなたの母親が、空腹で苦しんでるの?」
「もうすぐ、母さんは子供を産みます。妊娠しているんです……」
「そうだったのね。妊娠し……」
「馬鹿な。妊娠だって?」
ノーフェイスが強引に会話に割り込んできた。ノーフェイスは少年の手を取り、カウンター席に座らせると「その話を、もっと詳しく聞かせてくれ」と、少年にやや強い口調で要求した。
「子供が産まれるのに、母さんは長いこと、食事を取れていません……」
「どれくらいなんだい?」
「一か月です」
「それ以前は、普通に食事をしていたんだね?」
「ボクが毎日料理を作って、食べさせていました。家の近くに、野菜を育てている人達がいて、その人達から食材を分けてもらっていたんです」
ノーフェイスはあごに手を当てて、なるほどとうなづき、さらに質問を続ける。
「その人達はどうしたんだい?」
「はぐれものに襲われて、寝込んでいるんです。命に別状はないけど、まだ動けなくて、畑の野菜も全て枯れてしまいました」
「なるほど。……最後の質問なのだが」
「なんでしょう?」
「君の母親は、異常な行動を起こし始めているかい?」
その質問をされたとき、少年は口を閉じた。目が泳ぎ、そわそわとしている。明らかに様子がおかしくなった。
「ちゃんと話してくれ。母親を助けたいならね」
「……いえ、ボクはもう行きます。街のどこかで食べ物が手に入らないか、探しに行きます」
「まちなさい」
少年は席を立ち外に出ていこうとしたが、アリスがそれを止めた。
「あなた一人でなにができるの?意地なんて張らないで、人に頼ってみなさい」
「……ボクを、いえ、母さんを助けてくれるんですか?」
「私達の責任でもあるもの。きっと助けるわ」
少年はまっすぐな瞳でアリスの顔を見つめた後、こう言った。
「……分かりました。ボクはあなたを信じます」
少年はノーフェイスに聞かれた通り、現在の母親の様子を話し始めた。
「ボクは昨日、どこかに木の実や果物はないかと、一人で森を歩き回りました。だけど結局なにも見つけられず、家に帰ったんです。そうしたら、家にいた母さんが、なにかを食べていました。ころころとした、玉のようなもので、最初はなにか分かりませんでした。だけどすぐに気付きました。母さんは、両目が無くなっていた。……自分の目玉をえぐりだして、食べてしまったんです」
少年の言葉を聞き、アリスとクラリスは思わず「えっ」と声を出した。少年はその後なにがあったのか、話を続けた。
「母さんはうわごとの様に『産まれてくる子の為に、なんでもいいから食べないと』と繰り返しています。どうしようかと途方に暮れていると、ローレンスさんが来てくれたんです。ローレンスさんはとても親切で、たまにボク達が困っていないか、様子を見に来てくれるんです。そこでこのレストランのことを教えてもらいました。母さんは今眠っていて、ローレンスさんが見守ってくれています」
「ちなみにだが、さっき言われたように、一日くらいは待てないかい?明日になれば、この店で食べ物を用意できるのだが」
「ローレンスさんは、今日中に食べさせないと、まずいことになると言っていました。もう欲求が暴走し始めているので、手が付けられなくなるかもって……」
ノーフェイスは一連の流れに納得し、優しい口調で少年に言った。
「事情は分かった。少しここにいてくれ」
「はい……」
「君達、気分はもう落ち着いたかい?さっきまで狂ったように笑っていたが」
「大丈夫よ、流石に落ち着いてきたわ」
「わたしも」
「それはよかった。ではこっちへ来てくれ」
ノーフェイスは二人を連れて、店の外へ出た。そして腕を組み壁に寄りかかると、はあー……と長いため息をついた。
「あの少年の話の前に、まずは君達を襲った鍛冶屋のことを話しておくよ。彼はローレンスが街の外へ強制退去させた」
「そうなんだ。あのおじいさん、大丈夫なのかな……」
「はぐれもののことは、ローレンスからどれくらい聞いているんだい?」
「昨日まで穏やかだったのに、急に暴力的になる人って聞いてるよ。そういう人は、街の外へ強制退去するって」
アリスは自分がその鍛冶屋の手を食べてしまったことを、クラリスから聞いていたので、申し訳なさそうに「大丈夫かしら」とつぶやいた。ノーフェイスは「君は気に病まなくていい」と一言気遣ってから、話を続ける。
「はぐれものは街の外へ出すと、正気を取り戻すんだ。なぜかは分からないがね。彼もその例に漏れず、外に出た途端、正気に戻ったと聞いているよ。真っ先に口にしたのは、君達への謝罪だったそうだ。怖い思いをさせてすまなかったと」
「そっか……。あのおじいさん、本当は悪い人じゃないんだね」
「デザイアは現在、二つの大きな問題を抱えていてね。一つは今説明したはぐれもの。そしてもう一つは、欲求の暴走だ。あの少年の母親は、欲求を暴走させようとしている」
「欲求の暴走?どういう事よ?」
ノーフェイスはアリスに向かって「君はもう経験しているだろう」と言ったが、アリスは何のことか分かっていない様子だった。
「欲求は魂が行動するためのエネルギー源と言ってもいい。あれがしたい、これがしたい。自分の中から湧き出る欲求を叶えるために、人は行動するわけだからね。欲求のエネルギーは、生きていくために必要不可欠なんだ」
「それで?」
「だが適度に欲求を解消してやらないと、エネルギーが魂からあふれ出てしまうんだ。ダムの決壊のようにね。それが欲求の暴走だよ。欲求を解消するためなら、手段を選ばない状態になったり、無差別に破壊行動を起こすようになってしまうんだ」
クラリスはそこまで聞いて、アリスが暴走した理由を全て理解した。
「アリスがわたしを食べたのは、欲求が暴走してしまったから……」
「その通りだ。このまま母親の欲求が暴走すれば、同じ事態に発展する可能性がある。母親は『産まれてくる子の為に、なんでもいいから食べないと』と言っているそうだからね。無差別に手当たり次第、目につくものを食べ始めてしまうかもしれない。君のように、人間までもを食べてしまうかもしれないね」
「……なによ。私を非難してるの?自分の意思でそうしたわけじゃないわ」
「分かりやすく、暴走がどれほど危険か伝えようとしただけだ。もしも食べてしまったのが、クラリスでなかったなら、取り返しがつかないことになっていただろう?」
アリスは険しい表情で、ノーフェイスをにらみつけた。そしてなにか言い返してやろうとしたが、反論が思い浮かばず「あぁ、もうっ」と地団太を踏んだ。ノーフェイスはそれを気にすることなく、説明を続けた。
「そもそもの話、母親は子供を産むと言っているが、デザイアで子供が産まれてくることはない。ここは死後の世界だからね。新たに魂が生まれてくるわけがない。ありえないんだ」
「でも、あの子のお母さんは妊娠してるんだよね?」
「そうらしい。一体ナニを産むつもりなのか……」
「危険なものだったりするのかな?」
「僕にも分からない。早急にこの問題を解決しないといけないんだ。協力してもらえるかい?」
クラリスは考えるまでもないといった様子で、アリスにそうするべきだと進言した。
「アリス、やろうよ。あの子とお母さんを助けてあげないと」
「……私が店のものを食べ尽くしたから、こうなったっていうのもあるしね」
「ありがたい、人手が足りていなくてね。ローレンスいわく、母親の欲求が暴走する期限は今日中だ。早急に対処しないといけない」
アリスは「私みたいにならないようにね」と乱暴に言うと、わざとらしく、ずかずかと地面を踏み鳴らしながら、店内へと戻っていった。ノーフェイスに、正論を突き付けられたことが、ずいぶんと癪に障ったようだ。ノーフェイスは、はあー……と長いため息をついた後、夜空を見上げて気だるそうに言った。
「ローレンス、二人を試す為にあの少年を寄こしてきたね……。仕方ない、君の思惑に乗ってやろう……」
店内に戻ったアリスとクラリス、そしてノーフェイスの三人は、テーブル席に座り、これからの計画を立てていた。カウンター席にいる少年は、思いつめた様子で、黙ってうつむいたまま動かない。
「今回の件で解決するべき問題は二つだ。再確認しよう」
「一つ目は、食料をどうやって確保するかね」
「二つ目は産まれてくる子供のことだけど、これは出産のときまで、どうにも出来ないよね」
「現状食べ物を見つけるのは容易じゃない。はぐれものの影響で、物資の流通が止まってしまった。生産者も外に出ることを怖がって、畑作業を休止してしまっているようだ」
「すいやせん、あっしに心当たりがありまして」
店主がやってきて、三人の座っているテーブルに、一枚の大きな紙を置いた。少年はその紙に興味を持ったのか、カウンター席からテーブルに来て、身を乗り出して紙を覗き込んだ。紙には店主の手書きで、矢印やら記号が書き込まれている。どうやらこれは、この街の地図のようだ。
「お力になれるか分かりませんが、ここへ行けば、飴玉くらいは手に入るかもしれません」
「これはどこ?あなたの知人の家かしら?」
「へい、飴細工職人の……。なんというかまぁ、知人がいるんです。彼女の店の住所です」
「飴でいいの?お腹いっぱいになるようなものじゃないよ」
「いえ、十分です!なんでもいいので、食べることが大事です!」
「では目標は決まった。他に行く当てもないし、ここへ行ってみよう」
ノーフェイスが話をまとめ、四人はレストランを後にして、飴細工職人の店に向かうことにした。地図で見てみると、けっこう遠い場所に店はある。ここから西に十五キロは離れていて、徒歩で行くと時間がかかってしまう。
「みなさん、地下鉄で行きましょう。ボクはここまで地下鉄で来ました」
「……地下鉄か……」
「ノーフェイス?どうかしたの?」
「いや、なんでもないよ」
「ボクが駅まで案内します。行きましょう」
少年は先陣を切って歩き始めた。アリスとクラリスはその後ろに続き、ノーフェイスは最後尾につく。レストランのあった路地から大通りに出たところで、少年は自分が来た道を確認し「こっちから来たはずです」と先導を続けた。
「ボク、こんな街中には初めて来ました。ボクの家は森の中なので、ここは建物だらけでなんだか怖いです」
「一人でここまで来るなんて、危ないことをしたわね。はぐれものが出たらどうするのよ。黒猫はなんであなたを一人で寄こしてきたのかしら」
「そこは大丈夫です。ローレンスさんに守護の魔法をかけてもらいました。一時間くらいで消えてしまうそうですが」
「あら、そうだったのね。そういえば、あなたの名前は?」
「え、名前ですか……?」
「どうしたのよ、名前くらい教えてちょうだい」
少年は困った様子でアリスの顔を見ている。するとノーフェイスが「あぁ、すまないね」と会話に入ってきた。
「彼女はデザイアに来たばかりでね。この世界で他人に名前を聞くのはマナー違反なんだ」
「あら、そんなマナーがあったの?」
「デザイアでは本当に親しい相手にしか名前を教えないし、聞くのもご法度だよ」
「じゃあ人前で気軽に、自分達の名前を呼び合わないほうがいいのね」
「そういうことだ。だが僕とローレンスは別だよ。自由に呼んでくれて構わない」
「みなさん、地下鉄へはここを曲がります」
少年は歩いていた道を左折し、路地へ入った。電灯もない薄暗い路地だが、左右に続く、民家の窓から漏れる明かりと、夜空からうっすらと照らす月明りのおかげで、足元を確認しながら進むことができた。しばらく路地を進んでいくと、レンガの壁が現れ、行き止まりになった。壁には大きな目玉の絵が描かれているだけで、どこにも駅への入り口なんて見当たらない。
「あなた、道を間違えたわね」
「いえ、ここでいいんです」
少年はニット帽をぬいで、その中から彼の手のひらに収まるくらいの、小さな白いカードを取り出した。少年は「これが切符です。ローレンスさんからもらったんです」と言って、カードを壁に描かれた目玉にむかって掲げた。すると突然、目玉がぎょろっと動いて、カードを凝視した。そしてぱちぱちと瞬きすると、レンガの壁がスウッと透明になって消え、その先に地下へと続く階段が現れた。四人が階段を下りていくと、すぐに駅のホームへと着いた。ここから地下鉄に乗ることが出来るようだ。
「この街の地下鉄は、なかなかに個性的だ。君達の驚く顔を見るのが楽しみだよ」
「だんだんこの世界にも慣れてきたし、そう簡単には驚かないわよ」
「……なんか、変な音が聞こえるよ?誰かの声かな」
遠くから、掛け声のようなものが聞こえてくる。どうやら地下鉄がやって来たようなのだが、なにやら様子がおかしい。
「えっさぁ!ほいさぁ!えっさぁ!ほいさぁ!」
掛け声がはっきりと聞こえるようになってきた。まもなく掛け声を発しているものの正体が分かった。地下鉄だ。地下鉄の前面に、巨大な人間の顔がついている。ごつごつとした、岩のような顔が、充血した目を見開き、「えっさぁ!ほいさぁ!」と気合の入った掛け声を発しながら、ホームに近づいてくる。一車両ごとに、巨大で筋肉質な腕が、側面から生えており、子供が列車ごっこをするように、ぐるぐるとその腕を高速で回転させていた。そして車輪の代わりに、無数の小さな足が、車両の下からびっしりと生えていて、全ての足が兵隊の行進のように、一糸乱れぬ動きで全力疾走していたのだ。
「ぷっぷううぅぅーーっ!」
巨大な顔は口を尖らせて『汽笛』を鳴らした。地下鉄がホームに到着したのだ。地下鉄はぜぇぜぇと息を切らしながら「さ、三分間だけ、休憩させて……」と死にそうな声で言った後、「三分後、出発するから。たぶん、たぶん三分でまた、走れるから。お願い、三分だけ、げふっ、ぜぇぜぇ、ぐふっ……」と消え入りそうな声で言った。
「これが、いや、彼がこの街の地下鉄だ。非常識の力で、地下鉄の体を手に入れた、れっきとした人間だよ」
「……私、これに乗りたくない」
「……ボクも、本当は乗りたくないです」
「……実は僕も、乗りたくないのだがね」
「の、乗ろうよみんな。地下鉄さん、こんなに頑張ってくれてるから。乗りたくないけど」
四人全員が「乗りたくない」と口にした後、彼女達は仕方なく地下鉄に乗った。仕方なく、地下鉄に乗った。仕方がないから、乗るしかないのだ。
次回へ続く……