8、呼び出す召喚
累計PV100こえてました。バンザーイ!!
いつも感謝であります!引き続きよろしくお頼み申しまする。
次の日、俺はセレシアさんと草原に来ていた。
「ほっほっいのほい、よいさっさ」
準備運動で体を温め剣を使ってぷるぽよんを切っていく。特訓のおかげでしっかりバランスを保って剣を振れる。ふらふらしていたあの頃とはもう違うのだよ諸君。
あれっ、色違いのキラキラしたぷるぽよんを発見!レアキャラか!?
生きてるまま捕まえてセレシアさんに見せよう!
ジリジリにじり寄り、タイミングを測ってパシっと。
「いぎゃあああああ。手がぁ、手がぁぁぁぁ!!」
て、手が、手が溶けかかってる!?肌色がもはや見えず赤黒くなっている。
「ちょ、翔祐さん?!」
慌てたようにセレシアさんが駆け寄ってくる。そして俺が投げ捨てたものを見て
「これ有害指定特殊個体の強酸ぷるぽよんじゃないですか!」
珍しいものを見たとでもいうように驚いていた。
「いひぇぇ?有害指定、そんなに危険なのぉ?」
痛みからポロポロ涙を流しながら問いかける。
「いえ、刺激を与えなければ特に危険は。というかなぜこんな見た目で分かるような危うい色した生物を素手で触りにいったのですか、バカなのですか!?」
驚愕の顔とバカを見る目視線が俺に突き刺さる。
「色違いは取りに行かなきゃと思って…」
「子供ですか!?」
追加でしっかりとお説教を頂戴する。まあ、あんまり耳に入ってこないんだけど。
手が痛い、焼けるように痛いよう…
「ちょっと!翔祐さん、聞いてます?」
そっと涙目で手を差し出してみる
「なんですか!この手はっ」
「〜〜〜〜ッ!!」
パシッと叩かれた。
そして反射的に打ったであろう俺の手をセレシアさんが見て、はっと気づく
「そういえばまだ治療してませんでしたね。すぐに治しちゃいましょう『クリアヒーリング』」
セレシアさんが呪文を唱えると手が淡い光に照らされる。
「ふあああ〜〜〜っ!!」
シュワシュワシュワ〜と手が元に戻ってゆく。むずむずして…アハッ、なんか気持ちいいかも?
「!?、翔祐さん正気に戻ってください!!」
すぱああんっと頬を叩かれる
「い、痛いっ。な…なんで??」
「その、なんと言うかヒーリングを受けている時の顔が蕩けていらしたので…中毒にならないようにと」
「へー…はあっ?中毒ぅ!?」
「ええ、何故か体が治っていく感覚に快楽を覚えるみたいで、それを味わいたいがために狂ったように自傷を繰り返す方が一定数おられまして。普通なら問題はなく、むしろ健康にいいんですけど…そのせいかこの国を含めたいくつかの国では他人に使うには専用の許可を持ってないといけないんですよね」
考えられる限り最悪な副作用である。勢い余って崇めちゃうほぼアウトな信仰集団がいてもおかしくない。むしろ宗教団体がすでにありそうである。
「あれ?そしたらセレシアさんって今、無許可で使用したんじゃ…」
「そんなわけないじゃないですか!私はちゃんと貰ってますよう許可。ほらっ、ちゃんと見てください。ここ、ここっ!ヒーラー認可登録済みってあるでしょう!!」
本当だ。冒険者カードの端っこにそれっぽい表記がある。というか、なんか他にもいっぱいある。何この公認解体士ってやつ。あらやだ物騒
「もっ、もういいですか?流石にその、恥ずかしくて….」
あまりにジロジロ見ていたせいかセレシアさんがむずがゆそうにモジモジしている。
「あっはい、ありがとうございました」
そうだね、あんまりじっくり個人情報見られたら嫌だよね。配慮が欠けておりました、申し訳ない。
「お詫びになるかわかんないんですけど俺の見ます?」
「いえ、結構ですよ。多分ですけど、数値の上昇以外に何も変化ないですよね?」
全くをもってその通りである。レアスキルの表示以外何もない。だが一応渡す。
その時、自分の冒険者カードを見た事であることが脳裏によぎる。今日は何のために草原に来ていたのか、という事を。
すっかり忘れていた。そう、今日の目的は召喚のリベンジするためである。思い出したら好奇心が抑えられない。即実行あるのみである。
「らんららぱっぱーくるくるりん(以下略)」
体感3割ちょっとの魔力がごっそりもってかれる。何故3割とわかるのかって。
カードを見たから?いや違う。カードは最大値が表示されるだけでリアルタイムの残量なんか表示してくれない。純然たる修行の成果だ。気絶し続けていたら自分の魔力量が何となくわかるようになったのである。決して怪我の功名ではない。ないったらない。俺の実力なの!
「セレシアさん、セレシアさんっ!出来たっ、眷属召喚!!」
もはや成功を確信し、俺のカード見ているセレシアさんに意気揚々と報告する。
「本当ですか!?おめでとうござい、ま…す?」
セレシアさんがお祝いの雰囲気から段々と変なものを見るような困惑した顔になっていく。
その視線の先は俺の背後、つまり召喚されているはずの眷属。
いやな予感を覚えながら恐る恐る視線を向け、絶句した。そこにはなぜかピカピカで真っ白な洋式便器が佇んでいる。
「あ、あれれー?オッカシーナー、何かの間違いかナー…よ〜し、もう一回やってみよう」
「らんぱ(以下略)」
結果は佇んでいた便器が引っ込み、もう一回魔法陣から出てくるだけだった。
ついでに残り魔力が半分切った。
正気か?あの女神野郎。最初もトイレいたし、彼奴はマジでトイレの女神か?
セレシアさんと俺の間で重〜い空気が出来上がる。そして真っ白に輝く洋式便器。泣きたい。
八つ当たりのごとく手を溶かしてくれたぷるぽよにとどめを刺す。全てを忘れ去るように無心で剣を刺す。ザクッ、ザクッと刺しているうちに地面に穴が出来たので埋める。今のむしゃくしゃを晴らすように埋めた地面をダンダンと踏み固める。しかしこんなことしていても何の解決にもならない。
さて、どうしてくれようか純白のコレ。まずトイレとして使うには欠陥がある。本体と便座とその蓋しかない。タンクが無い、レバーもない。これじゃ水が溜まらない流せない。ついでに排水管もない。流れんやろ、これ。なんか悔しいのでゲシッと蹴ってしまった。しかし汚れ1つつかない。ピッカピカに光を反射している。余計にムカついてきたのでせめてイスとして使ってやろうと座ってみる。もちろんのことズボンは履いたままで。
「オォウ!?」
冷たい。思わずオットセイのような奇声が出た。
突然の奇声にビクッとセレシアさんが驚く。そして若干引いている。
「だ、大丈夫ですか?体に異変とかはありませんか。特に頭とか」
「まって、違うじゃん。この便座めっちゃ冷たいんだって。俺は変人じゃない。座ってみれば分かるからさぁ!!」
必死に言い訳を探し、説得しようとセレシアさんに近づいていく。
「....は?」
摩訶不思議なことが起こった。セレシアさんに近づいたのだ。歩いて移動したから、という事ではない。俺は今、間違いなく便座に腰を下ろしている。であるならば答えは1つ。便器が動いたという事である。
「なるほど?」
試しに前進!と念じてみる。すると便器がスイーと前に進んだ。
「お?おおおお」
そしてそのまま正面にいるセレシアさんの方へ
「ああああ、ストップストップぅぅ、止まれぇぇぇ」
キュッとセレシアさんの目の前で停止した。しかし慣性の法則で自身の体はつんのめるようにセレシアさんの方へと倒れ込み、ひょいっとセレシアさんが回避したことで顔から地面へダイブ。
「ちょ、あぶっ、何なんですかそれぇ!」
そして目から入ってくる情報がキャパを超えたのかセレシアさんがキレ気味に叫んだ。
「いや、俺が知りたいくらいなんですけどぉ!」
負けじと叫び返してしまった。そして目と目が合う。
「ぷっ、ぷくくく、ふはははははは」
「ふ、ふふっ、ふふふあはははは」
なにがなんだかもう良く分からず無性に面白かった。5分ほど笑い合っていただろうか、セレシアさんが急にまじめな顔になる。
「とりあえずこの眷属さん?が何が出来るか把握しておきましょうか」
そんな提案をされる。もちろん乗らないわけがない。
「よし、出来るとこからやってくかぁ!ぜんしーん!!」
セレシアさんの隣に立ちながら命令を下す。
・・・動かなかった。
「あれっ?おっかし―なぁ。前進後進回れ―右っ!」
うんともすんとも言わない。首をかしげているとセレシアさんが何かに気づいたように耳打ちしてくる。
「あの、もしかして座らないと動かないのでは?」
なるほど!盲点だった。早速座って指示を出す。するとどうだろう動き出した。歩くスピード以上は出ないが左右どこにでも動ける。その場でスピンだって可能だ。だがしかしそれ以外はなかった。座ると動く可動式トイレである、ただし流せないので用を足すことは出来ないが。なんなら召喚を維持しているだけで微々たる魔力が吸われる弱点までわかってしまった。
「どうするんだよこれ、頼みの綱の眷属がこれじゃあ本当に俺は何が出来るんだ....?」
意気消沈しながら召喚した眷属を消す。そのときセレシアさんが何かに気づいたようにバッと顔を上げる。
「翔祐さんもう一回召喚をしてもらってもいいですか」
「いいですけど本当に何もないですよ?おいでませ、らんららぱっぱーくるくるりん」
呪文が適当でも若干あっていれば召喚できるようになってしまった。
「ああっ!やっぱり」
「何か発見でもあったんです?」
セレシアさんが納得いったような声を出したので思わず気になってしまう。
「ええ、ええ!すごいですよ翔祐さんこの眷属が召喚されていると若干元気の気配が湧いてくるんです。この感じだと多分....」
といって腰から小さなナイフを取り出しセレシアさん自身の指先をピッと軽く切る。
「ちょ、いきなり何やってるんですぅぅぅっ!?」
そして薄くにじみ出てくる赤。
「あれっ?変ですね。多分、と思ったんですけど」
セレシアさんが小首をかしげている。
「いや、変なのはセレシアさんの方では?」
するとセレシアさんはそうか!といった顔でポンと手を打ち便座に座る。
するとどうしたことだろう。切り傷がスウッと無くなっていく。
「ほらこの通りです。翔祐さんこの眷属さんまだ捨てたもんじゃないですよ!」
「なんじゃそりゃァァァァ!?」
意味が分からない。もしかして座って一休みってこと!?小賢しっ!!確かにトイレで座った時に一息つくけども!
1人ツッコミでげんなりしているとそれを何か察っしてくれたセレシアさんが
「今日はこの辺りで終わりにしましょうか。明日から本格的に魔物を狩りに行きたいですし」
という提案をしてくれたことにより今日はお開きになった。
その夜わくわくが止まらずなかなか寝付けないでいた。気疲れしていたのはどうしたかって。そんなもの吹っ飛んでいる。ついに魔物を狩る事でのレベルアップである。やっぱり異世界での定番はこうでなきゃいけないよな!もしかしなくても草原の先にちらりと見える森に行くのだろうか。遠足前日のような子供のように布団の上で目がぱっちり冴えていた。この調子で明日は大丈夫だろうか。考えているうちに意識が闇に落ちていった。
あのぅ…無茶苦茶今更なんですけれども、こここうした方が読みやすい、ここが意味不明、つまらん等ご意見ご感想がありましたら是非にお願いします。私めの成長の糧になりますゆえ。なにとぞ、なにとぞ!