4、鍛錬を鍛える
4話目!!見に来ていただきありがとうございます。いや~1人でも見てくれるとモチベ上がりますね。感謝感謝
「…あれ?」
なぜか昨日寝ていたはずのおふとぅんの上にいた。おまけに外は真っ暗である。
なんとまあ摩訶不思議なことだ。
しかし些事、夜なら起きていても意味が無い。どうせ誰も起きていないだろう。とりあえず2度寝である。2度目の深い眠りへ落ちる落ちる−−−−−−−−
「翔祐さ~ん、翔祐さ~ん朝食のお時間ですよー。起きていらっしゃいますか~?」
セレシアさんの声と部屋のドアをたたく音で目が覚めた。
「今起きましたー。準備したらすぐ行きまーす!」
分かりましたー、の声とともに足音が遠ざかっていく。
身なりを整えなければ…
当然の如く迷ったので近くの人に案内してもらいながら教会の食堂へ向かう。
すでにセレシアさんは食べ始めていた。
「セレシアさん、おはようございます!席、ご一緒いいですか。」
とりあえず自分の分の朝食を受け取りセレシアさんの正面に座っていいか聞いてみる。
「ええ、いいですよ。どうぞどうぞ」
許可をもらった。とりあえず座る。朝食のメニューはトーストにスクランブルエッグとベーコンだ。
早速いただきます!
「うんまっ!なにこれ、日本での朝食より遥かにおいしい。」
うんうん、ベーコンはカリカリ、卵は塩味ふわふわ半熟、トーストは外カリッ中ふわっ。
この世界、料理のレベルが高い気がする。というか全体的に埃とか汚れを見ない。町全体が常に掃除されているような感じ。
サクサク、カリカリとかじる音だけが響く
「ふい~、おいしかった。」
あっという間に食べ終わってしまった。
…あっ、そうだ!セレシアさんにあれ聞いとかなければ。
「セレシアさ~ん、昨日気づいたらお布団にいて、外も真っ暗だったんですよ~。だからもう1回寝るしかなくて。それに召喚魔法使ったあたりから記憶なくて。理由って分かります?」
ホントに気になる。
「あら、1回起きられていたのですね。教会は1日中誰かしら動いているので声をかけていただければ夜食くらいは出ましたのに」
そうなのか…
「それと記憶が無いのは魔力切れになられたからですね~。ビックリしましたよ~呪文を唱えたと思ったら、いきなりパタリ、となっちゃうんですから。何とか運びましたが大変だったんですよ〜」
「すいません、ありがとうございました」
情けなっ、魔法使えなかったのか。きっと魔力とレベル不足っ―――!
明日から魔力を増やすために魔物を狩って狩りまくってレベル上げをしなきゃ――
「と、いうわけで今日から体の動かし方を基本に剣術などを学んでもらいます!」
「えっ、レベル上げじゃないの?」
衝撃、ついさっきまでの決意がぷしゅーっと逃げていく。
「まず翔祐さんは昨日見たかぎり、剣を持つ手もフラフラでまともな動きが出来そうにありません。たぶんこの街の子供にも負けちゃいます。せめてこの街の中堅以上の冒険者と対等に渡り合えるようになってもらわなきゃだめです。なので!今日から30日間、冒険者相手に特訓をしてもらいます」
な、な、なあぁぁぁぁぁっ!?
「いやいやいや、え、無理でしょ。だってステータス低いんだよ、魔物倒してレベル上げないと無理じゃん。俺がただ一方的にボコボコにされるだけなんていやだぁ~!」
平和な世界に生きていた俺に痛みは早すぎると思うの。
「えっと、翔祐さん?もしかしなくても魔物を倒すだけがレベルを上げ強くなる方法だと思っていますか?」
「ふわっつ?そうじゃないの?」
ゲームみたいに敵を倒してレベルを上げると思っているのだけれど。
「いいですか、まずレベルとはその人が積み上げた経験の値によって上がるとされています。
よって筋トレなどをするとその効果が経験値となり体力や攻撃力のステータスが上がります。ただ、魔力だけは特殊なので魔法に毎日触れるか、魔の者つまり魔族や魔物と戦ったり倒したりすることでしか魔力ステータスが上がりません。まあ、その時体も一緒に動かすので全体的にステータス経験値が溜まるのですが。そしてそれらの経験値全てを合わせたのがレベルとなります。レベルは自分の強さの指標とでも考えてください。」
「そ、そうなんだ…」
じょ、情報量が多い。半分くらいしか分からなかった。とりあえず何やってもステータスが上がると思っておけばいいかな。
「あとステータスの上がり方には個人差、まあ簡単に言えば才能ですね。それがあるのと無いので同じレベルの人でも強さが違います。鍛え方によっても体力の多い人、力だけが強い人など十人十色なので覚えておいた方がいいですよ!」
「は、はひぃ~」
うぉえっぷ、さらに情報の追加っ!頭はパンパンですっ。
「ということで今日は教官を呼び訓練所で体の基礎作りです。準備して待っていて下さいね~、1時間後にこの教会の出入口に集合です!」
…と、いうことでやってきました、貸し切り訓練場。
いやぁ、大変お天気も良くお日様ポカポカ気持ちいな~。地面は柔らかい砂だから転んでも痛くなさそうだな~。あっはははは~。
とりあえず目の前にいる男の人をなるべく視界に入れないように現実逃避に走ってみる。
なんなんだ、この圧迫感は。俺の約160cmちょいの身長と数10cmしか違わないし体格も同じくらいなはずなのに、とんでもなく大きな男と出会っているかのように思えてくる。
セレシアさんは両方の掌をくるくるさせながら紹介をするように男の方へと向けた。
「はいっ!では翔祐さん、こちら今日から翔祐さんを指導していただくアルギュロス・ヴァルツァー教官になります。『この街最後の砦』『知性が宿ったイケイケマッソー』『インフィニット・フィスト』などの異名で呼ばれるこの街最強の冒険者です!」
セレシアさんの紹介を受けた男はニコニコとしながら握手を求める動作をした。
「紹介をありがとう、セレシア君。かなり大げさな紹介だったけど、僕がアルギュロス・ヴァルツァーだ。まあなに、一応この街の最強となぜか呼ばれているよ。少年、よろしくね!」
見た目によらず爽やかな声だ。差し出された手を握らないわけにもいかず握手をしながら挨拶を返す。
「片山翔祐です。よ、よろしくお願いします…」
バほ~らやっぱ俺の教官じゃん。やだなー、握られただけで分かるほどの握力。これ拳かすっただけでボールみたいに跳ね回る自信あるわー。というかなんで最初から最強さん呼んできちゃったかなー。
「んんっ?どうしたんだい翔祐くん、元気がないな。ほらもっと声を出しなよ、声を。」
「え?――ッガハッ、ごっ、ぐうぅぅ」
背中に強い衝撃が
「ちょ、翔祐さん!?大丈夫ですか!しっかりして下さい。落ち着いてゆっくり息を、ほら吸って~吐いて~呼吸を整えてください!」
慌てたセレシアさんに介抱される。
まさか背中をたたかれただけで呼吸困難になるとは。教官がぽかんとした顔をしている。
「あらら?えっと、ごめんね翔祐くん。一応軽めに叩いたつもりだったんだけど、
そうか…聞いた通り子供と同じくらいの貧弱さなのか。
まあ、やるべき事が分かったからよしとしてくれない?」
「ケホッ、コホッ。は、はあ。許すわけにはいかないんですが教官、これから何をするんです?いきなり戦う!とかないですよね?」
「う~ん、最初はそう思っていたんだけどね。さっき叩いたときの反応を見る限り、僕が相手になると、どうやろうにも翔祐くん死んでしまうから。
だから、まずは木剣を持ってランニングと素振りだよ!」
そう言って木剣を投げ渡してくる。
って、重っ!?水の入った2Lペットボトル位の重量ある。
「教官、木で作られているはずなのにどうしてこんなに重いんですか。
というかこれ持って走るんですか!?」
「うん、重いのは加重魔法がかかっているからだね。それにその位の重量で重いなんて言っていたら冒険者なんてやってられないさ。さあ街の外を走りに行こうか!ついてきなっ!そ~れっレッツゴー」
そう言ってパヒュンと駆け出していく。
「へあっ?」
「翔祐さん早く追いかけた方がいいですよ!私は用事があるのでここで失礼しますが頑張ってください。ファイトッ!!」
「え、え、え?マジで?あの速度に追いつかなきゃいけないの。もう豆粒みたいに小さく見えるんだけど。速すぎない?えーいっ、こんなこと考えても距離が開くだけだ。しゃーなし。意地でもついて行ってやんよ、やけくそだー」
考えることをやめ、教官を追い街の外へ走り出した―――――
「はあっ、はあっ、はあぁぁぁ~。ああ~、ぢがれたぁぁ~」
や、やっと教会まで帰ってこられた。教官速かった、とにかく速かった。
最初は追い付こうとしたけど全くをもって不可能だった。むしろ疲れて立ち止まりそうになったら教官が戻ってきて無理やり走らされた。とにかく走った。途中で休憩とか言いながら腕立てとかの筋トレや素振りやらされたし。お昼だったのが気付けば空はオレンジ色。
「あら?翔祐さんお帰りになられたのですね!お疲れ様です。どうです、大変でした?」
「とっっても!!疲れました。くったくたです。これが続くと考えるときつい~。というかもう眠いお布団入りたい」
教官から明日も訓練所に来なさいと言われているし。ひょえぇぇ~~。
「翔祐さんその大変さは冒険者になる人すべてが通った道です。がんばってください!
それじゃあ夕食にしましょうか。疲れていても食事をしなくては成長できませんからね。」
「あっ、はぁい」
食堂に連れてかれる。眠気でどうにかなりそうだが無理やり胃に詰め込む。ご飯の味を楽しんでいる余裕がなかった。そしてそこからお風呂に入る。
「ごぼぼあっ――!!??」
寝こけて溺れそうになった。というか、普通に息出来ていなかったから溺れていたとも言える。
そしてそのまま布団へ直ダイブ。もうダメ、完全にエネルギー切れである。
「ふわぁぁ~…。おやすみぃ~~~」
日本にいたころの習慣のまま誰もいない空間に向かって挨拶をして眠りについた。