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飴の勇者のアメイジング!

作者: 原雷火

 ある日、突然異世界に転移した天田カイ。彼の手には神から授けられた特別な能力があった。それは「ランダムドロップス」という名の飴の入った缶だ。


 初期装備、飴の入った缶。以上。それだけで森の中に放り込まれたのである。


 もうこれはほとんどただの遭難者だ。スマホも通じないんだから、助けも呼べずにお手上げである。


 カイは思う。「なんで飴なんだよ! 異世界まで来ていつでも糖分補給できて嬉しいね! って、バカか!」と、神に抗議した。


 ま、神は転移者を送り出す仕事を終えて、今頃神たちの集まる酒場で炙ったスルメと日本酒を一杯引っかけながら「今日ちょっと思いつきで飴の缶を持たせてみた」とか、他の神々と酒のつまみにしているので、カイの話を酒のつまみにしていた。


 さて、森を無事抜けねばならないカイはというと――


 もうどうにでもなれという気持ちである。

 甘いものはいつの時代も貴重なものだ。幸い、この缶の飴は尽きることがないらしい。

 水でも食べ物でも、飴と交換できるだろう。


 とりあえず口がさみしいので、缶から飴を取り出す。神曰く、一人一回一個までしか出せないということだ。


 赤い飴が出た。カイは口に含む。


「わぁ……イチゴ味だ」


 と、その時、物陰から巨大な狼がカイに飛びかかってきた。

 うわこれ絶対死ぬじゃん。と、カイは思ったのだが――


 自分の身長よりも大きな狼にのしかかられ、抵抗しようと腕を突き出すと、狼の巨体がぶっとび大樹の幹に陥没した。


 狼は動かなくなり、大樹が折れる。


 イチゴ味には身体能力強化の効果があったのだ。


 この缶には様々な種類の飴が詰まっており、その一つ一つが特別な力を秘めていた。飴の味によって力が上がったり、魔力が増したり、時には特別なスキルが使えるようになる。


 森を出るまでにカイはいくつかの味を試した。攻撃魔法が使えるようになるブルーベリー味。防御や回復魔法使い放題のパイン味。マスカット味を舐めれば盗賊系のスキルを完璧にこなすことができた。


 どの味も、チート級だ。


 ただし、飴をかみ砕くことはできず、舐めきるまでその効果が持続する。そして舐めきらないと次の飴は缶から出てこなかった。


 ランダムなのだ。この能力は。


「いや、けど……使いようっしょ」


 森を抜け町へと到り、カイはさっそく冒険者登録を済ませると、レベル1とは思えない活躍っぷりで、プラチナランクの冒険者にまで成り上がる。


 カイはこの能力を駆使して、異世界で大活躍した。 

 彼の活躍は次第に評判となり、多くの人々が彼を頼りにするようになった。


 国王にも面会し、正式に「勇者カイ」を名乗ることを許されたのだ。


 貴族の令嬢たちにもモテモテだったが、彼を一番慕ったのは王国の美しい姫君だった。


 二人は惹かれ合い、互いを愛するようになった。


 この世界に守るものができたカイの快進撃は続く。


 魔王軍の四天王を倒し、支配領域になっていた四つの国を開放した。


 それぞれの国の美姫たちからも引く手あまただが、カイは最初に愛した王女に尽くすと、全員の申し出を断った。


 そしてついに、彼は魔王との戦いに挑む日が来たのだ。


 今日までカイはランダムドロップスの飴で得た能力を、柔軟な思考とアイディアで使いこなしてきた。


 一度舐めた味は覚えており、何が出ようとも最適化した戦い方を習得している。


 彼もチート能力に頼るばかりではなく、それを最大限活かせる戦い方を研究してきたのだ。


 なんと、舐めている途中の飴を口から取り出しても、効果は永続するのだ。


 舐めきるまで次のスキルが使えないという制約を逆手にとって、カイは適宜、効果的なスキルを永続使用。


 不要になったら舐めきって次のスキルという、ちょっと汚いやり方も発見した。


 もはや無敵だった。


 たとえ相手が魔王だろうとも「楽勝だろう」とカイは思っていた。


 最後はランダムドロップスでキメてやる。


 イチゴ味なら拳で。キウイ味なら時間停止能力。マンゴスチン味はピーキーな性能だが、舐めている間に相手が強烈な便意に苦しむという、地味に嫌な能力だ。


 最終決戦で、あまり出て欲しくない類いの味もあるのだが、それでも修行を積んでレベル99に達したカイに負け筋はない。


 というか、成長しきってしまったカイは飴を舐めなくても普通に単騎で魔王を倒せる力を得ていた。


 玉座の魔王が立ち上がる。


「勇者カイよ……決着の時だ……」

「ああ、勝負だ魔王!」


 カイはドロップ缶を振った。手のひらに抽選マシンのガラガラからぽとりと落ちるように、真っ白な……見たこともない初めての味の飴が落ちる。


「ま、なんとかなるか」


 習慣的になっていたのだ。


 食べた瞬間――


 カイの鼻孔をハッカの爽やかさが通り抜けた。


 そして、何の能力も発揮されなかったのだ。


 最後の最後で彼が缶から引き当てたのは、ハズレの味のハッカだった。一般的にハズレ枠とされてしまっている、スースーする味だった。


 その効果は――無効。

 

 力も魔力も特別なスキルも何もかもが失われ、カイは無能力者と化した。


 なんと、レベル99になった力さえもハッカは無効化してしまったのである。


 そして、彼はあえなく魔王に倒されてしまった。


 飴だけに舐めてかかってはいけない――それがカイの物語の結末だった。



 これでカイは終われなかった。死んでしまった彼は教会の尽力により復活したものの、レベル1になってしまった。


 のだが、彼はキャンディー缶の乱数を調べ、自在に好きな味を出せるようになった。


 ステルス効果のあるマスカット味で魔王城に潜入し、寝込みの魔王の口の中に彼はハッカ味を食らわせる。


「ハッ……な、なんだこのスースー感は!?」

「おはよう魔王」

「貴様!? この前の雑魚勇者!!」


 レベル1のカイだが、魔王の口の中にはハッカ味のキャンディーがある。噛み砕くことはできず、たとえ吐き出しても効果は永続だった。


「終わりだ……魔王!」


 一般人の腕力で振るわれた剣に心臓を貫かれ、無能力魔王はついに打ち倒されたのだった。


 こうして――


 カイは世界を救ったのである。アメイジング!


※制作にAIを利用しています


メイキングはこちら

「AIを利用した短編制作の一例」

https://ncode.syosetu.com/n2145iz/

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