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  作者: ぐっつぁん。
1/3

出会い

忘れないよ。君のこと。僕は、ずっと。。。



「おーい!しょう起きろー!」

朝、目覚めの朝、雨が降ったり止んだりして気持ちがどんよりする季節。翔はいつもの様に目を擦りながら階段を降りて行った。

「お前はほんといつものんびりだなー。遅刻するぞ!」

父ちゃんが朝ごはんの支度をしながらいつもの小言を放っていた。

チーン!

翔は仏壇の前にある母ちゃんの写真に手を合わせ

「おはよう」

とぼそっと言った。

「もう3年生なんだから少しはしっかりしろよー。高校はどこに行くのか少しづつ考えていかないとな」


(またかよ)


毎度毎度、朝に繰り広げられる。父ちゃんの小言にウンザリしていた。

(母ちゃん生きてたらもう少し楽だったかなー)

1年前、癌で母ちゃんは亡くなった。

闘病生活の上、最後には呆気なく、僕を置いて亡くなってしまった。



今は父ちゃんと二人で何とか生活してるって感じだが、今までろくに関わってなかったせいかとても居心地が悪い。

作られた朝飯をさっさとかき込んで、学校に行く準備をしにまた2階へと上がろうとすると

「待て!食器ぐらいシンクに置いてからにしろ!」


(はいはい)


ムスッとした顔で食器を片付け、行く準備をして、最後に歯磨きをしに洗面所の鏡を見ると


(あぁ、髭生えてきたんだっけ)


少し伸びた髭にウンザリしながら、自分の顔をまじまじと見た。


(俺ってほんとブサイクだよな。。。)


母ちゃんに似たら少しはマシだったものの、完全に父ちゃんにそっくりで、目は細いし、薄っぺらい顔立ちで、映えない芸人のような顔をしている。


「この世から鏡なんて無くなっちまえばいいのに」


そう捨て台詞を吐いて、家を背に学校へと向かった。




僕は学校で一応、部活の部長をしている。と、言っても内容はオカルトサークルみたいなもので、主に学校内で起きる心霊現象の謎を解明しようと活動していた。名前は浪漫倶楽部という。

と、言っても後輩2名とある日からやってきたこの学校の守り神の精霊の合計4人で活動している超マイナーな部活だ。


学校までの道中で蜘蛛の巣に引っかかっている蛍を見つけた。


(君も囚われの身なのかな)


そう思うと可哀想になり、蛍を蜘蛛の巣から取り払い、逃がしてあげた。


「もう捕まるんじゃないぞ!」


はたから見たら変人確定だなと思いながら翔はその場を過ぎ去った。


教室に入るといつもの様に騒がしい。ガヤガヤしてるのは僕はちょっと苦手だった。

席につこうとしているとどうやらあっちの連中は恋愛話で盛り上がってるらしい。

当然、僕にはそんな世界は無縁だからその輪に入る気はない。

だけど、ふとした時、目線をそっちに向けてしまって


あ、、、




クラスで発言力のある彩ちゃんと目があってしまった。


「うわ!翔!なにこっち見てんの?あんたみないなブサイクに彼女なんている訳ないでしょうに、こっちの会話に入りたいですかー??」


(むかつく)


そのまま知らん振りしようと顔を180度回転させたが、その仕草が彼女のかんに障ったのか


「ねーねー!翔!なんか言いなさいよー!まーでも、あれよね。あんたみたいなつらを好きになる子なんてこの世に存在しないでしょうね」


「彼女ぐらい、いるわ!」


「え?」


「あ」


「へぇー。いるんだー。言ったなー。じゃあさ、ちゃんといること証明してよね」


「う、うん。」


「はい!決まりーー!じゃあ、今度その彼女さん?とやらを紹介してくれないなら翔は嘘つきだねー。ふふ」


見下すかのような笑みで彩ちゃんは僕を見ていた。


(終わった。やばい。やばいやばい。どうしよ。彼女なんている訳ないのに)


授業が全て終わって部活に行こうとした際に追い討ちするように彩ちゃんが


「翔!それじゃ、彼女によろしくね!」


と、言ってきた。


(最悪だ)





何も言わずに足早に部室に着くと、後輩の大智と雪あと精霊のミカがいた。

思わず大智に僕は抱きついてしまった。


「大智ーー!!どうしよーーー!!彼女いるなんて嘘ついちゃったーー!!わーーん!!!」


「え?部長??何訳の分からないこと言ってるんですか?」


事情を3人に説明すると3人は顔を合わせて凄く困った顔をしていた。


「雪ちゃん、ちょっとの間だけ、俺のかの、」


「無理です!」


「、、、」

(ですよね。)


「先輩、しっかりして下さいよ。ただでさえうちの部活存続怪しいのに。そんなしょうもない嘘ついて余計皆から冷やかされるじゃないですかー。。」


「よし!こうなったら、もう、しょうがない!大智!!」


「無理です!!!」ばぁん!!!


「で、ですよね(汗)」


「困った部長だねー。なんでそんなへんてこりんな嘘つくの?精霊の私にゃわかーんない」


「時として男は見栄を張るものさ」


「無理です!!!」ばぁん!!


「なんでやねん!!そこで無理ですは変やろ!!言いたいだけやん!!!」


いつもの様子。皆でばか言って笑って。僕にとってここが居場所なんだ。






「でも、さすがにまずいですって。誰もそんな部長の彼女の役なんてしてくれる人いないですよー」


と、大智が言って、みんなはっとなってどんよりしていた。

すると突然扉が開き、ビシャ!


「皆さん!酷いじゃないですか!!!部長の危機ですよ!!!助けてあげましょうよ!!!!」



!?!?


「誰?」


みんな一斉に言った。こんなにも声が揃うのかと思うぐらい同時に言った。君は誰?


「私は、1年の睦月といいます!今日からこの部活に入部したくて来ました。あと、部長さんが困っているみたいなので、、、もし、私なんかで良ければ、彼女役引き受けます!」



「えぇーーー!!!!!????」



みんなただ、ただびっくりした!急に来てこの子は何を言い出すかと思ったら。よく見たら可愛いじゃないか。こんな子が僕の恋人役?なんの冗談なんだ??


「あのー。入部は嬉しいんだけど、急にそんな大役任せていいの?てか、先輩の彼女って大丈夫なの??」


大智が恐る恐る聞いたが、


「大丈夫です!問題ありません!」





「僕と君どっかであったことあるっけ?見ず知らずの人にこんなこと頼めないよ(汗)」


僕は本心で伝えた。


「何言ってるんですか先輩!困った時はお互い様ですよ」


この子はアホなんだろうなってみんな思った。いや!もしかしたらとんだ詐欺師で、恋人役を演じるフリをして陰でこそこそ笑うタチの奴かもしれない。そんな風には見えないですけど、、、

みんな疑心暗鬼になっていた。そんな中で彼女はニコニコしていた。天然なのかな?嬉しそうにしているので、これは一か八か頼んでみるか!という気持ちになった。


「よ、よろしく頼むよ。」


ドギマギしながら応えると


「ほんとですかー?!」


と、彼女は嬉しそうに僕の手を握りブンブン振りました。

あー、女の子の手ってこんなに柔らかいんだ。と意識が違う方向に飛びそうになったので咄嗟とっさに手を振りほどいた。


「それじゃ、明日からよろしくです!先輩♪」


とニコニコしながら言い、彼女は部室から出ていった。


「睦月ちゃんだっけ?本当に大丈夫かなー?なんで先輩の恋人役なんて引き受けたんだろー。」


「ホントだね!ミラクルだね!」


「私も長年生きてきたけど、こんな変わり者は初めて見たよ」


「はい、そこの3人!うるさいですよー!ま、とにかく何とかなった!!良かった!」


みな、部活というよりただ、だべっただけの放課後を過ごし、自宅へ帰って行った。と言ってもミカはこの学校の精霊なので、学校に住んでいるのだが。

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