表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

3 意外とデンジャラス

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり小説を書くこと挑戦しています。

春の推理2024にエントリーしてこの話を書き始めました。


最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



「心当たりがありすぎるってなんだよ。スパイとかじゃあるまいし!」


「いや……、スパイって言うか目撃者?  

 最近、3件ほど見たこと誰にも言うなって言われたことあるし、告られて断ったら逆切れされることもあったし、何度断っても絡んでくる人とその取り巻きもいるし……」


 ユキは指を折って数えて「うん、殺されるってレベルとは思わんけど……。6パターンぐらい思いつくわ」と言った。


「お前……、俺の知らないところで結構デンジャラスな毎日送ってたのね……」


 俺はあきれてユキの顔をじっと見た。


「儂ほど人畜無害な奴っていないよな。言うなって言われなくても言わんわ!と思う」


 確かに、ユキだったら何か他人の弱みを握っても、特にこちらに攻撃してくるような人でなければ、それは言わないと思う。

 ただ、それは俺だから、そうわかるのであって、他の人から、もし弱みを見られたと思った人からならどうだろう?


「いや、俺はわかるけど、他の人から見たら、お前、無表情の何考えてるかわからんマイペース野郎だぞ。何気に毒舌だし」

「えっ、儂、そんな風に見えるのか? じゃあ、なぜ、こんなにもてるんだ?」

「いや、一部の女子にはもてるかもしれんが、全男子には嫌われてるぞ、お前」

「DD、お前も男子じゃん」

「いや、俺はユキのこと知ってるから。良く知らない奴らからすれば、ほら、さっきのからかってきた奴らとかからすれば、お前は挑発に乗ってこないいけ好かない奴だと思う」

「へー、儂、挑発に乗って言い返してるけどな」

「だから、それが冷静だから、相手からしたらいけ好かない奴になるんだよ」


 ユキはほーっと感心するような表情で俺を見た。


「よく回り見てんな」

「お前ほどじゃないけどな」

「儂は自分の気に入った人しか見てないけどな」


「……お前に口止めした奴の方が可哀そうになってきたわ」


「あ、そろそろカウンターに戻らんと」


 ユキがあわてて封筒に脅迫状を戻して、こちらに戻してきた。


「えっ、俺が持ってるの?」

「うん、それで帰りに下駄箱に付箋張らせて。文章これから考えるから。

 後、今井茜いまいあかねって剣道部だよな?

 DD、連絡つく?」

「あ、うん、連絡先は知ってるけど……」


 えっ、告られたって、もしかしてあかねに?


「じゃあ、俺がちょっと話したいことがあるって連絡しておいて」


 結局、午後4時45分までの図書館のカウンター当番が終わるまで、俺は図書室で宿題をして過ごし、50分にはユキとふたりで下駄箱に向かった。


「これ、貼るけどいいか?」


 見せられた付箋には『あのこと? 代田』と書いてあった。


「いっ?」


 俺はびっくりしてユキを見た。


「犯人が投函ミスしたこと、これで気が付くだろ?

 そしたら、儂の方にまた何かよこすかもしれんし。これぐらいのメモなら無くなっても問題にならんだろ?」

「いや、それはそうだけど……」

「下駄箱間違えられてる方が嫌だろう。何か違うもの入れられるかもしれんし」

「ま、それもあるな……。わかった、貼ろう!」


 そういうこと言われたら下駄箱開けるの怖くなるじゃんね!!


 恐る恐る開けたら特に何も変わってなくてほっとする。

 上履きを入れて蓋をするとユキがその上に「悪霊退散!!」と言いながら付箋を貼った。


「そういうとこ……。やっぱお前面白いわ」

「誉めてくれて、ありがとさん」


 ユキがニヤッと笑った。

 いつも無表情の奴が不気味に笑ってるのになんかかっけえ……。


「ん? なんだよ?」

  ユキが俺の表情を見て言った。


「いや、一部のマニアな女子にもてるのわかるような気がする……」

「惚れ直した?」

「いや、お前そういうことサラッと言うから変な噂とか言われるんだろ!!」


 学校を出て少し歩いてからあかねにLINEする。


 すぐ既読がついて電話がかかってきた。


『園山が私に話があるってどういうこと?』

「いや、連絡付けてくれって言われただけで……」


 俺がしどろもどろに返事をすると、ユキが手を出してきたのでスマホを渡す。


「あ、今井さん? 儂、園山。ちょっと確認したいことがあるんだけど、これからどこかで会えない?」


 あかねの返事は俺には聞こえない。


「うん、わかった。じゃ、DDに代わるわ」


『弾! これからあんたんち行くから、園山連れてきて!!』


 マジですか?


 通話を切ってからユキに「これから家来れる?」と確認する。


「ああ、今井さんがそうしろって言ってたから、わかったって返事した。

 寄れるけど、DDん家ちは大丈夫?」

「とりあえず大丈夫だと思う。母さんも姉さんもまだ帰ってこない時間だし」

「じゃあ、急で悪いけど寄らせてもらう」


 家に着くともうあかねが我が家の前にいた。


「遅いよ!」

「悪い悪い!」


 俺はあわててカバンから鍵を出したが、玄関のドアを開けたとたんに「おかえりー!」と声がかかりびっくりする。


「ねーちゃん、帰ってたの?」

「帰ってちゃ悪いか?」


 俺の姉であるりんがもう帰宅してた。


「あー。あかねちゃん久しぶり。あれ、ゆきとクンもいるじゃん!」

「いいから! ちょっと学校の課題で話あるから! 邪魔しないでよ!」


 俺達は2階の俺の部屋に階段を上って向かった。


「「お邪魔しまーす」」


 あかねとユキは凛にそう言うと、俺の後をついてひょこひょこ階段を上ってくる。

 部屋に入るとあかねはユキに詰め寄る。


「話ってなに?」

「とりあえず、座ろうよ」


 ユキがマイペースに言って、カバンを床に置いて座った。


 あかねもユキと向かい合って座る。

 俺はクローゼットの方へ行き振り返って2人に言った。


「俺、着替えたいんだけど……」


「後にして!」


 あかねが俺に威嚇するように言う。


「今井さんの後ろで着替えればいいじゃん」とユキが言うと「はっ?」とあかねが反応する。


「今井さんが見なきゃいいんだろ? 今井さん、振り向かないでね」


 ユキがにっこり笑って言った。

 硬直するあかね。


「DD、儂は見ててもいいんだろ」

「いや、できれば見ないでくれる方が助かる」

「なんだそれ? じゃあ……」


 ユキがずいっとあかねの隣に移動する。


「これで儂からも良く見えない。さっさと着替えろや」


 あかねがさらに硬直してる。


「ほら、今井さんが見ないように我慢してくれてるうちに」

「!! 我慢なんかしてない!!」


 あかねがユキに詰め寄った。


「あっ、そう? 見たいのに我慢しているのかと思った」


 あかねはふーっとため息をついてから言った。


「……それで確認したいことって何?」


「儂に脅迫状が来たらしいんだよね。で、心当たりをつぶしていこうと思って。

 でも、脅迫状に『あのこと』を話したら殺すって書いてあるから、知ってる人に確認すりゃいいかと。

 あの時、大場さんと一緒に来てたよね。

 だから、知ってるでしょ? 今井さん。

 大場さん、脅迫してくるほど、儂のこと恨んでる?」


「えっ、まいのこと? 確かに、恨んでるとは思うけど……。

 でも、どうしてまいを振ったの? 好きな人はいないって……」


「ん? 好きな人はいないけれど、だからと言って好きでもない人と付き合う理由にはならん」

「……でも、まいかわいいし、男子にも人気あるし……」

「好きでも嫌いでもない、だから付き合わない、それだけ。

 で、あの時の大場さんのキレ方、尋常じゃなかったから、ちょっと気になって。

 DD、脅迫状貸してくれる?」


「えっ、なんで弾が持ってるの?」

「犯人が間違えたらしいんだよね。下駄箱」


 着替え終わった俺はカバンから封筒を取り出し持って行った。


「わ……、マジ私の後ろで着替えてたとか、ありえないんだけど……」

「なんだよ、ここ俺の部屋だぞ!?」

「大丈夫だよ、今井さん。気を使って着替えてたから。わざと露出したりしてない」


 あかねは信じられないような顔でユキを見て、それから俺を見た。


「園山ってこういう感じの人なの?」

「うん。こういう感じ」


 ユキが眉毛のあたりを指でかきながら「いやーお褒めに預かり光栄です」と言った。


 脅迫状をあかねに渡すと気持ち悪そうに見て言った。


「これをまいが、と思ったの?」

「候補のひとり。儂を恨んでいそうな人数えたら6人ぐらい浮かんで、そのうちのひとりが大場麻衣おおばまいさんってだけ。

 ただ、あのことが告白したってことなら、今井さんは知ってるから、聞いても誰かに話したことにはならんかなと思って」

「6人って……、あんた何してんのよ、いったい……」


「大場って図書委員だよな」と気が付いた俺はユキに聞いた。


「ああ、ちょっと図書委員で、トラブルがあって、助けた」

「そうだよ。園山が助けてくれたから、自分のこと気にしてくれてる、好きなのかもって盛り上がったんだから……。

 だから、断られて、すっごい怒ったんだよ。思わせぶりなことするなって!」


「じゃあ、助けない方が良かったのか?」

「そーいうわけじゃないけど……。でも、まいはこんなことしないと思う。

 それに、私や他の女子にも、その、園山がひどいって話してたし、今更、口止めなんてしないでしょ?」

「……ひどい? なんでだ? 女子の言うことはよくわからんな……」


 ユキがちょっと傷ついたような表情をした。


「ま、しょうがないよ! 気持ちの持って行き場ってものがね。特に女子は傷つきたくないもん」

「男子だって傷つきたくないぞ」

「……弾、こいつ、結構面倒な奴だな」


 あかねが俺に顔をしかめながら言った。


「今井は、じゃねえ。今井さんは……」

「今井でもあかねでもいいよ。弾は私のことあかねって呼ぶし」

「そうなの? じゃあ、あかねって呼ぶわ。儂のことは好きに呼んで」

「そこは指定するとこだろ?!」


 あかねが突っ込んでがくっとする。


「おお、お笑いのセンスあるね、あかねって」


「……わかった。弾と同じにユキって呼ぶ。それから、6人も恨まれてるって言うの、ちょっとわかる気がする……」

今回はほぼ会話で進んでいますね。

会話を書くの楽しいです!


読んで下さりありがとうございます。

次も頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ