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2 心当たりがありすぎる

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも小説を書いてみたくなり挑戦しています。

異世界、SFと書いてきて、今回は2024推理物にエントリーして中学2年生男子を主人公にしています。

最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 急いで昼食をすますと俺とユキは担任を探して職員室に行った。

 担任の田中に報告すると一緒にその場所に戻る。


 棒は倒れたままだったけど、長縄は消えていた。


 俺達が職員室に行く前まではあったのに。


「あー、これね。体育館倉庫の点検があるとかで中の物を出してるとは聞いてたんだけど、こんなものを立てかけておくのは危ないな。倒しておくべきだ。体育の先生には伝えておく。怪我がなくて本当によかったよ!」


 長縄のことを言うべきか迷っていたが、ユキが何も言わないので俺も黙っていた。


 田中が職員室に戻っていくと、ユキが言った。


「そういや、相談って?」

「今日クラブないから、下校の時でもいいし」

「儂、今日も図書カウンター。先輩とシフト変わったんで」

「じゃあ、一緒に図書室に行く。その時に相談する」



 今週の掃除当番。俺とユキは教室だったので、昨日のと同じくHR後の掃除が終わると一緒に教室を出ようとした。


「ユキちゃ~ん!」


 クラスの他の男子数人が冷やかしてくる。


「また、女子を振ったんだろ! 弾とばっかりいると変な噂になるぞ~!」


 奴らは変な笑い方をしてこちらを見ている。

 俺はカッとなって言い返そうとしたが、ユキが俺の肩をつかんで止めた。


「友達といて何が悪い?」


 ユキはさらに言った。


「お前らだって男同士でつるんでんじゃん。お前らの方こそ変な噂にならないように気をつけたら」


 近くにいた女子達がはっとしたようにユキを見る気配がする。


 あー、こういう奴だったよ。同年代からしたら、ユキの方が大人っぽくてかっこいいよな。


 俺達はギャーギャー騒ぐ男子どもをそのまま置き去りにして教室を出た。


「また告られた? いつ?」

「先週の金曜。でも何でもないから」

「ふーん……」


 なんでそんなに冷静なんだろう。俺なんか下駄箱に封筒が入っていただけでドキドキしたっていうのに。


 図書室に着くとユキは図書カウンターのところにカバンを置いて、カウンターの上のノートパソコンを確認する。


 俺は図書室の一番奥のテーブルに席を取り、そこにカバンを置いた。

 カウンターに様子を見に行くと、顔見知りの図書委員の3年女子の先輩が来た。


「園山君、準備ありがとね。私、最初カウンターやるから、本の返却頼んでいい?」

「わかりました。DD手伝うか?」


 俺は頷いてユキと一緒に本を運ぶことにした。

 俺が本を抱えて、ユキが書棚を探し本を戻していく。

 最後に書庫に入るとドアを閉めてユキが言った。


「で、相談って?」

「あ、あのさ、昨日下駄箱に封筒が入ってて、持ち帰って開けたら、脅迫みたいなメッセージが……」

「へー、脅迫ねえ」

「俺、心当たりなくて、もしかしたら……お前の下駄箱と間違えたのかもと、思って……」


「まあ、今日事故もあったしな」

「そうだろう! 先生に言うならとそのメッセージも持って来てる。どうする?」


 ユキはどこか遠くを眺めるみたいな表情をしてから「まず、その脅迫状とやらを見たいな」と言った。


 カウンターに戻ると「りみ先輩、ちょっとこいつと話があるんで、奥の書庫借りていいですか?」とユキが図書委員の先輩に言った。


「いいけど……、何の相談?」

「これから聞くんで……」

「まあ、園山君なら変な事には使わないか! いいよ、15分くらいなら!」

「ありがとうございます。DD、その封筒だけ持ってこい」


 俺はあわててカバンのところに戻ると封筒入りのビニール袋を出して戻った。


 書庫に戻ると俺は封筒を渡した。


 ユキは封筒から出したメッセージを広げて笑った。


「なんだこれ。真面目に切り抜いて作ったんかこれ! 暇な奴だな」


『あのことを誰かに話したら殺してやる』


「あのこと? なんだ? DDは心当たりないんだよな?」

「うん……」

「あ、今日の事故もこれが本気だぞ! と言うことか?」


 ユキが考え込む。


「心当たりがあんの?」


 ユキがにやりと笑う。


「話したら殺されるんだろ」

「あ、そうか!」

「でもなあ。なんだろう、あのこと? 殺すほどの?」


 ユキが考え込むので俺はあわてて言う。


「今なら先生もいる時間だし、職員室行こう!」


「職員室に持って行ったら、あのことって聞かれるけど?」

「あ、そうか、でも仕方がないんじゃん?」


「うーん、あのこと、ねえ……」

「心当たりがあるの?」


 ユキは困ったように微笑んで言った。


「うん、心当たりがありすぎてどれが本命だかわからん」

読んで下さりありがとうございます。

次も頑張ります!

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