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ep3

 まあそうだろうな、というのは俺がこの世界に馴染んだときに直ぐに考えついた。俺は前世の頃の自我が強いため、ニールとして生きてきた五年より、思い出した前世の二十数年の頃の性格や考えが濃いが、リリアンは逆なのだろう。この世界で生まれ落ちリリアンとして生きてきた五年の自我が強く、前世のことは断片的な情報として時折思い出すのだろう。

 俺は最初こそリリアンはただの妄想癖のある少女だと考えたが「私、女子高生? だったみたい!」と昔言っていたのを思い出しその考えはなくなった。当時は言われている俺も言っているリリアンも意味を理解してはいなかったが、女子高生だなんて、俺のいた時代でしか言わない表現だろう。


「へー、」

「! あんまり驚かないんだ」

「うん。だってリリアン、いっつも変なことばっか言うから」


 だが、リリアンが俺と同じ転生者だったとしても、俺もそれを打ち明ける気などさらさらなかった。理由は色々あるが、稀有な目で見られたくないというのが一番だ。出る杭は打たれるという前世のことわざを思い浮かべながら、リリアンを軽くあしらった。


「なんか、ニール変わった? なんか大人っぽくなったような気がする……」

「気のせいだよ、気のせい」

「ふーん?」


 しかし、リリアンに前世の記憶があるとして、なぜ未来予知のようなことが出来るのかは疑問であった。リリアンの妄想話は、前世の不思議な機械や慣習を含めた思い出話と、この世界の未来を示唆するような乙女チックな話の二択である。後者は本当にただの妄想話なのかもしれないが、それにしてはなんだか妙にリアルなような……。


「じゃあ、これなら驚くんじゃない?」

「ん?」


 耳貸して、と手招きをされる。二人しかいない俺の部屋で同い年の女の子の隣に並んだ。リリアンは俺以外に聞かせまいと、鈴の音のような声を小さく小さく潜めて俺の耳に囁いた。


「この世界はね、おとめげーむの世界なの」


 はぁっ!?

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