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瀬川はなんとなく照れくさそうに言う。

「どこからでもいいから、なんか言って。司会っぽくしたくないんだよね。雑談でいいかなと思うんで。」

「いいんじゃね。感想とか勝手に喋ってくれって話でOK?なら、まず、これ好き嫌い分かれるだろうなって思った。なんで初回これにしたんだよ」

「そこ?そこ突くか?青春小説っぽいのがいいかなと思って、俺、読んだことなかったし、深い意味ない。正直、失敗してるか?もしかして」

「失敗とは思わないんだけど、でもごめん、あたしは正直あんまり好きじゃないな。これ。有名だからって期待しすぎてたかも。有名ってことと、好きってことは関係ないからこれはあたしが勝手にハードルあげちゃってたのが悪いってだけなんだけど。」

「へーそうなんだ。俺は結構好きというかかなり好き。主人公が好きになったよ。これ、男ならみんな好きになるんじゃね?瀬川は?」

「それはちょっと言い過ぎ。いや、わかるよ。確かに同世代感はあるし共感するところ結構あるんだけど、好きかどうかというと違うかな。ちょっと俺には躁過ぎた」


躁過ぎたという表現にちょっとらしいなって思う。瀬川はやたらそういう精神医学的?用語を使ってみるのが好きなんだよね。確かに、瀬川の好きなキャラではなかった気がする。

「そこがいいんじゃないか?その躁さ加減がなんつーかチープで恥ずかしいけど愛おしいというか。すげえわかるしすげえ共感するし、うわ、これ俺だけ?二人とも引いてた?」

「うーん、引いてたってわけじゃない。好みか好みじゃないかでいうと、ピンとこなくて好きになれなかったんだけど、すごい生々しくてそこが魅力だってことはなんとなくわかる。性別の問題もあるし、乗れなかったから、こっちはちょっと引いて読んでるし、そういう読み方すると伝わるものも伝わらないんだろうし。」

「生々しいっていうのはまあそのとおりだな。なんか読んでて俺思ったもん。これってフルーツみたいだなって。」

「フルーツ?なにそれー」

「そ、フルーツ。調理してないけど超瑞々しい。すげえジューシーで。普通の作品ってもっとちゃんと加工してしまうんだと思う。手をかけてね。ジャムにしたり煮たりさ。でも生々しさ勝負みたいなとにかく若さとか勢いを感じて、それはいいなって素直に思った。とにかく新鮮」

「なるほどな あ。うまいこと言うなあ。だから好みわかれるんだな。フルーツって好みあるもんな、ほら晶は、アレルギーあるしな」

瀬川がちょっと茶化してくる。

「キウイとかね。じゃ、これはあたしにとってキウイだ。美味しいんだろうって、好きな人の好物になるんだろうってたしかにわかる。とってもみずみずしいなって新鮮さは感じるんだけど、そこが個性的で魅力になってるってこともよくわかるんだけど、でも、あたしは食べないやつね」

「キウイだめなんだ?うわーもったいない。俺、キウイとか一時期毎朝食べてたし…」


 なんだか謎のフルーツ談義になっていくじゃないか……



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