表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

2

高2になって部活をやめて急にぽっかり空っぽになったように暇になった。

部活は好きだったけど人間関係に振り回されたというか、めんどくさくなってしまった。やめるっていう選択肢は初めは考慮もしてなかったのに思いついた途端即決だった。続けたいというのもただの継続するべきな気がするという思い込みによる義務感みたいなものだったのか、やめるということを考えた途端、今までこだわっていたものが急に色褪せてみえた。


瀬川は相変わらず忙しそうで、クラスも違うしたまに顔を合わせる程度だったんだけど、ある日急にLINEが来た。

「最近、本読んでる?」

なんだよいきなり。ほんと変なやつ。本は、中学の時クラブが二人とも読書クラブで、瀬川は委員長だった。あいつはほんとマメなやつで、読書クラブでのビブリオバトルを企画したりアンケとって新聞にしてみたりいろいろ頑張ってたな。

「たまには」

と返信する。即レスで返ってくる。

「読書会しない?同じ本を読んで感想語り合うやつ。もし暇あればなんだけど」

あーきっと母親経由で、部活やめて暇にしているとか伝わって気を使ってるんだろうなあ。そんな気使われるとちょっとイラッとくるんだけどな。

「二人で?間抜けすぎない?」

「二人でじゃない。知り合いで暇をもてあましてるのがいて、事情があって学校行けてなくて本は読めるやつだからいいかなと思って」

不登校の子かな。その子にもあたしのこと「暇をもてあましてるのがいるから」って言ってるんだろうなと思うとちょっと不愉快なんだけど。

「うーん、本によるかな。気が乗れば読む」

「それでOK。見繕ってまたLINEいれる」


だいたい瀬川はほんとおせっかい。小学の時も不登校気味の子のお迎え係みたいに毎日のように登校前にその子の家に寄っていったり、連絡を届けたりしていつの間にか仲良くなってた。通り道ってわけでもなかったのに。で、今度は、部活やめてプチ廃人のあたしをかり出すのか。どっちのためなんだろう。なんかもやっとする。

 でも、本は読みたかった。最近なにもやる気がしなかったから、なにか選んでもらって読むのは面白そうと思ってしまった。


 二、三日してからLINEが来た。二冊が提示してあってご丁寧に締め切りまで。なんかグループに招待されて、そのグループにはいってるのはあたしと瀬川と、知らない名前、カエデ。つまらないデフォルトの背景に数字の8のアイコン。シンプルすぎて会う前からキャラが透けてみえるような気がするんだけど。ちなみにグループの名前は読書会。芸なさすぎ。

 二週間後の土曜日に第一回読書会開催。二冊のうちどちらかを読むことはマスト。二冊目はできれば読む。感想を軽くまとめておく。場所は◯大付属病院ロビーに四時。

 てっきり、瀬川の家かと思ってた。それだと近いのに。病院ってことは入院中かな、病気で学校お休みしているのかも。あたしは了解と送る。すぐに二つの既読はついたけど、カエデ=8からの返信はないままだった。


 本は一つは家にあって、随分前にざっと読んだ本で、もう一つは読んだこともなくて図書館に借りに行った。かなりひさしぶりに行く図書館は昔の印象より少し小さくみえた。家から自転車で15分程度。これから時々通ってもいいなと思った。図書館の静かにしていようという気持ちを共有しているような世界はなんか好き。イライラした気持ちが穏やかになってしまうような、そんな効果がある気がする。借りてみたら結構分厚くてうっとなったけど、ついでに勢いで他にも何冊か表紙とか題名とかで気になった本を借りてしまう。うちの図書館は冊数制限ないところが嬉しい。調子にのってしまったせいで帰り道は自転車が重かったけど。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ