1話 -NEW GAME-
俺の名前は「吹雪 零」
都内の公立高校に通う普通の高校生だ。
普段は学校では誰とも話さず、家に帰ってはアニメ、ゲームの毎日だ。FPS、TPS、RPG、アクション、カード、音ゲー、スポーツ、あらゆるゲームをやってきた。ただやってきただけでは自慢できないが、俺は今までゲームで負けたことが1度たりともない。そのおかげでゲーマー界隈ではこんな異名も付けられた。「隻眼のゼロ」
なんとも厨二病っぽい名前である。「隻眼」とは片方の眼の視力がないことを指すが、なぜゲームの世界でそんな名前で呼ばれるのか。理由は意外と単純で髪の毛で片方の眼が隠れていて、さらに眼帯をしている、ただそれだけが理由だった。けどこういうキャラデザにしたのには理由があった。俺はリアルでも隻眼、片方の眼の視力がないからだ。
小さい頃、俺は友達とサッカーをしていた時に道路にボールが飛んでいってしまった。それを拾いに行ったら車に轢かれた。なんともよくアニメとかでありそうな展開だがその時に片方の眼を失明した。それがきっかけで眼を見られたくなく眼帯をしていたら、
「かっこつけかよ」と、当時のガキ大将に言われた。それがきっかけで小さいいじめが始まった。眼帯を外そうと思った時もあったが、外すともっといじめられる。そう思ってた。だから中学卒業まで頑張ろうと思った。高校からは校則が緩くなり、髪の毛を伸ばして目を隠した。けど、いじめられた過去があるため、対人恐怖症になっていたため、今も学校ではひとりだ。
いじめのせいで、居場所は家しかなく、親の帰りも遅いため、自分の部屋でゲームをするようになった。だんだん費やす時間が増えていき、中学入学時には、FPSで世界ランキング1位をとるほどの実力になっていた。それまでも1回も負けはなかった。
高校入学と同時に近くの高校だとまたいじめられると思い、上京して一人暮らしを始めた。結局、今も学校では何もせず、家でゲームという生活を繰り返している。
これが隻眼と呼ばれるきっかけ、そして俺の過去だ。ただ、最近ゲームが飽きてきた。ゲーム自体もやり込みすぎて飽きたというのもあるが、それ以上に自分と対等以上の実力を持つ人がいないからだ。
そんなことを思いながら、今日も登校していた。あの事故のせいで、車にトラウマがあるため車があまり通らない道を通って通学しているが、東京ともなると車が通らない道が続くわけがない。車がよく通る道に出ると、たまにあの事故を思い出してしまい頭が痛くなる。早めにこんな場所抜けよ、そんなことを思いながら横断歩道を渡っていたそのとき
「キキィーーー」
車のブレーキの音だ。
周りがざわつき始めた。何のことかと思っていたら自分が轢かれていたのだ。
ここからのことは覚えていないが、救急車に運ばれて、その後病院で息を引き取ったらしい。
「つまらない人生だったな」
不意にそんな言葉がでてしまった。
思わず泣いてしまった。
後悔だらけの人生だったな、そう思った。
けど冷静になって考えてみたら
......喋れる
......泣ける
死んだはずの人間がこんなこと出来るわけがない
そこでふとこんなことを思った
「今から異世界転生するんじゃ」
なんともアニオタらしい考え方だ
「そんなわけないか」
そんな独り言を言っていると
「あなたが仰った通りですよ」
そんな言葉が聞こえた
俺は周りを見わたした
けど、誰もいなかった
「こっちですよ」
また聞こえた
声が聞こえた上を見ると、羽の生えた女性がいた
「あなたには才能がある」
「なんのですか?」
急な質問に突発的に答えた
「戦いのです」
「あなたは世界でもトップにたつほどのゲーマー。そんなあなたにこっちの世界の争いを終わらせてほしい」
めちゃくちゃだ。そう思った
けど、異世界
気になる
行ってみたい
「そちらの世界に行きたいです」
答えてしまった
女神は微笑みながらこういった
「あなたには何かひとつだけ何でもほしいものをひとつ差し上げましょう」
「なんでも...」
ここでゲーマーとしての血が騒ぎたした。
錬金術 武器が作れて戦闘でも活躍出来そう
魔力 魔法が使える世界かどうかかわからないしな
金 1番実用性もあって良さそうだ
いろいろ考えてはみたもの、どれもいいとこ悪いところがあるから決めきれない
ふと、こんなことを思ってしまった。
「またひとりなのかな」
もう孤独で行きたくない
俺は言った
「信頼出来る相棒が欲しい」
「了解しました」
女神は驚いた表情をしながらも笑顔で答えた
「では転生します」
俺の視界が暗くなった
語彙力なくてすみません