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復仇の衛士 〜魔王軍最強幹部は魔王に復讐したい〜  作者: ミソ3
第4章 ワースとインティス防衛戦
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第37話 対して遅れて来ない正義の味方

「オラァ! オララララララァァァアア!!!」


「ぐあぁ!」


 オンラッシュがオレンジ色のオーラを放ち始めた後、あっという間に形勢は逆転した。先ほどまで全て受け流されていたオンラッシュのナイフは、打ち込まれる数が数倍に増えたことによりカスミは避けきれなくなっていた。さらにパワーも数段上がっている。十数秒後には勝負はついていた。


「なぜとどめを刺さない」


 膝をつき、負傷した左腕を右手で抑えながらカスミはオンラッシュをにらんだ。


「俺はお前を殺しに来たわけじゃねぇ。もちろん部下の仇を打ちたい気持ちもあるが、そんな事しても意味ねぇしな」


 オンラッシュはこれでも幹部を務めるほどの男だ。筋肉バカだとはいえ、カスミを殺してしまえば今後インティスからの年貢がさらに安定しなくなることくらいは分かった。抵抗できなくなったカスミなど放ったらかし、農民から年貢を強制的に回収し始める。


「やめて下さい! これがなくなったら私はこれからどうやって食事をしていけば……」


「黙れ!!」


 抵抗する農民にオンラッシュはナイフを振り下ろす。しかしそのナイフは農民に届く前に止まった。


「そこまでだ悪党め! 俺たちが来たからにはもー好きにはさせないぞ!」


「……誰だテメェら!!」


 寸前で止まったナイフを下ろし、ゆっくりと振り返りながら威嚇するオンラッシュ。そこにはヤグル、マギク、ローズ3人の姿があった。

 マギクは臆する事なく答える。


「俺たちは正義の味方カランコエ! 弱者を守る者だ!!」


「ほぅ。お前らが噂の似非正義のカランコエか……小賢しい。お前ら! やっちまえ!!」


 オンラッシュの指示で後ろで構えていた10人の兵士が一斉に3人に飛びかかる。すると、先頭の2人の兵士が急に倒れた。そして残りの8人が後ろに飛ぶ。


「テメェら何やってんだ! さっさと……!!」


「よぉオンラッシュ。元気してたか?」


 いきなり動きを止めた部下を怒鳴りつけるオンラッシュだったが、目の前の2人を見て言葉を飲む。シダとクリスは敵に認識される間も無く先頭の2人を一撃で殺しながら登場した。


「なぁ俺らが後から出てくるこの演出なんか意味あんのか?」


「ん? あぁ大した意味はないが、この方がかっこいいしインパクトあるだろ?」


 クリスはだるそうにシダに質問したが、シダはただただ楽しそうに答えるだけだった。もちろんちゃんと理由はある。人は予想外のことが突然起こると動揺でいつもの動きができなくなる。しかしその事を敵に教えれば効果が薄れてしまうためシダは隠したのだ。狙い通りオンラッシュ以外の8人は後ろに飛んだ後から一歩もあげずにいた。


「お前の考えてることの全てを俺が理解してるわけじゃないんだからな。後でちゃんと説明しろ」


「あいよ」


 敵を目の前にあまりにも余裕なこの態度も、一見隙があるように見えて敵と自分たちの実力差を叩きつけることのできるという利点がある。

 ヤグルたちも合流し、5人が並んでオンラッシュと残り8人を迎え撃つ体制が整った。


「数では俺たちが有利だ。お前達は後ろの弱そうな3人をやれ! 俺はそこの裏切り者達とやる」


 オンラッシュの指示で我に返った部下8人はシダとクリスの横を通り過ぎてヤグル、マギク、ローズへと攻撃を開始する。


「なぁクリス隊長。一つ提案いいか?」


 オンラッシュはナイフを腰に収め、一歩引いて話しかける。


「俺はあんたら2人となるとは言ったが、流石にあんたに勝てるとは思ってねぇんだ。だがシダになら勝てる。シダ! 俺とタイマン張れ!」


「その提案を飲んで、俺たちになんのメリットがあると言うんだ」


 シダをバカにするような目で見ながらそう言ったオンラッシュに対し、クリスが的確に応答する。


「メリットは無いかもしれない。だがお前らボスとやる気なんだろ? なら俺くらい1人で倒せないと無理だろ?」


「安い挑発だな。でも確かに、お前くらいやれなきゃボスなんて夢のまた夢だな。クリス。お前にまだ見せてないものがあるんだ。試運転も兼ねてコイツと1対1で戦ってみるよ。クリスはそこで見ててくれ」


「……分かった。好きにしろ」


 クリスが少し横にずれた後、オンラッシュとシダは迎えあったまま構える。ゆっくりと武器を抜くオンラッシュ。しかしシダは武器を持っていない。


「つーかシダ! テメェ丸腰じゃねぇか。そんなんでどーやって戦うってんだ?」


「あーその事か。悪い子には見えない武器をちゃんと装備してるよ」


「舐めやがって。後悔すんなよ!!」


 丸腰のシダに向かって勢いよく突っ込んだオンラッシュは右腕を大きく振りかぶり、ナイフをシダの喉元へと斬りつける。

 しかし、その攻撃はシダの武装していない腕によって弾かれた。驚いて後ろに飛ぶオンラッシュ。


「なっ!! 馬鹿な。本当に見えない武器を装備していると言うのか……」


「ふぅーうまくいったな。そんくらいの攻撃じゃ、俺に傷一つつけることはできないぜ!」


「クソガァーー!!」


 挑発され、感情に身を任せて突っ込むオンラッシュ。しかしこれはオンラッシュにとっていつものことだった。感情に身を任せたオンラッシュのラッシュは世界一だ。


「フッ。その攻撃。全て受け止めて返り討ちにしてやるよ!」


 そう言ってシダは、天へと右手をかざした。

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