第35話 この強さは弱者のために
「みんな疲れてる中すまない。さっき入った情報だ」
あの後急いでキャンプへ戻り、兵士達に引き続き待機命令を出した後、休憩一つ取らずにカランコエメンバーの元へと向かったシダとクリス。待機している場所は周辺地帯を探索している時に確認していたため、余計な時間を使うことなく合流ができた。
シダはまだ回復仕切っていないメンバーに謝罪しながらも、緊急事態だったので竜馬から降りながら急いで話を始めた。
「ここから数時間先に、俺の故郷であるインティスという国がある。そこに明日、モノボルゥーの軍が攻めてくる可能性が高い」
「リーダーの故郷がなぜ?」
「リーダーなんか悪いことしたの?」
突然の情報に理解が追いつかないヤグルとマギク。2人は首を傾げながらシダに質問する。
「お前ら年貢って分かるか? うんとだな、支配されたインティスはモノボルゥーに贈り物をしなきゃいけないんだけどな、それが無いからお仕置きだ。って攻めてくるんだよ」
「なんだよそれ。めんどくさいね」
「まぁ年貢くらいは知ってますが・・・インティスはそんなに貧しいのですか?」
シダは主にマギクに対して分かりやすくなぜ攻めてくるのかを説明した。ヤグルは年貢を理解していたようだ。もちろんローズも理解している。
「そうだな。モノボルゥーとの戦争に敗れてからはまともに生活できている人はほとんどいないようだ。本当なら俺が管理してやりたかったんだが・・・」
「シダじゃ甘やかすから却下されたのね」
「あぁ。管理はオンラッシュという戦闘馬鹿がやっていた。おかげで年貢の回収だけ部下に任せて後はほったらかしってわけだ」
インティスはもともと村が多い国で、一番賑わっていた城下町ですら、モノボルゥーの小さめの町ほどだった。ただでさえ栄えていない国が先進国に滅ぼされ、放置されては情勢が悪くなるのは必然である。
シダはそれを防ごうとインティスの管理を希望したが、それは叶わなかった。オリバムの考え方が、必要なのは優しさによる管理ではなく、力による支配が優先だったからだ。
「俺はこういう"力"だけが正義。弱者はどうなろうと仕方がない。という今の世界が大嫌いだ。俺たちはそんな世界を変えるために集まった。ならもうこれからどうするべきかは分かるな?」
「もちろん!」
「当然です」
「奴らを倒すのね」
シダの熱い想いと問い掛けにメンバーが答える。クリスも弟を見守るようにシダの横にいる。今、カランコエメンバーの心は一つだ!
「よし! ならば行くぞ! 俺たちが弱者を守る盾となるんだ!」
シダはテンションが上昇しながらそう言いった。そしてメンバー一同一斉に竜馬へと跨る。
「カランコエ出陣!!」
シダが叫ぶと同時に、カランコエは竜馬を一斉に走らせ始めた。向かうはインティス。カランコエの世界を変えるための2度目の大きな戦いが、今始まる。




