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復仇の衛士 〜魔王軍最強幹部は魔王に復讐したい〜  作者: ミソ3
第4章 ワースとインティス防衛戦
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第33話 故郷と美女戦士

 ここはワース最南部に作られたモノボルゥー王国第2部隊のキャンプ地。ワースとの一次戦争が終わったあの日から5日が過ぎていた。

 クリスの怪我は90%治っており、今日はリハビリも兼ねて、シダと共に周辺地帯の探索をする予定だ。


「さて、そろそろ行くか」


「おう! しかし本当にすごいな。あんなに穴だらけになって火傷までしてたのに」


 竜馬に跨りながらシダに話しかけたクリスを、シダはじっと眺めながらその異常な回復力に感心していた。


 今回の土地探索には大きな意味がある。今後もワースとの戦争を続けていく上で、撤退を余儀なくされることも考えられる。その時に、戦闘地域の地形を把握しているのといないのとでは、生存率に大きな差が出る。



 探索を始めて10時間ほど経った。そろそろ戻らなければ日が沈んでしまう。


「そろそろ戻らねぇと・・・シダ?」


 横から声をかけるクリスだったが、後ろの方をボーッと見つめるシダを見て、言葉を止める。


「この道をもう少し進むと俺の故郷なんだ。つっても本当の故郷はもー無いけどな」


「じゃあ何があるんだ?」


「故郷の国の王が住んでた町だよ」


 そう話すシダの顔は、どこか寂しそうだった。故郷のない自分の国。それでも故郷の面影がある国。シダは連れ去られたあの日から、一度もインティスには戻っていない。


「よし! 少し寄って行こう!」


「え? でも」


「いいか! ついでだよ」


 クリスはシダを半ば強引に連れてインティスへと向かった。



「ここがお前の故郷か・・・なんつーか、何もねぇな」


「まぁもう大分前にモノボルゥー王国に滅ぼされてるからな。残ったのは王城と広大な田畑だけさ」


 クリスがインティスに来るのはこれが初めてだった。数件住居らしき建物はあるが、広大な土地に、取り残されたように大きな城が一つ立っていた。

 シダは何もない故郷を眺めながら、それでも和やかな表情をしていた。それを見たクリスも連れてきてよかったと心の中で思っていた。


 2人は少し王城の様子でも見ようかと言う話をし、竜馬を歩かせた。

 王城の目の前まで来た。周りの住居もはっきりと見える距離だ。2人が竜馬から降りると、先ほどまでついていた住居の明かりが一斉に消え始めた。そして、王城からは武装した女剣士が姿を現した。


 その姿は一輪の花のようで、髪は桜の花びらのような薄いピンク色をしており、揺れるその長い髪は風に舞う花びらのように美しかった。


「お前たちは何者だ!」


 その美しさとは裏腹に、勇ましい戦士の声が2人の耳に響く。


「モノボルゥー王国第2部隊隊長、クリスパード」


「同じ第2部隊参謀長、シダ」


「まさか隊長様が来られるとは・・・生憎ですが、年貢を納める気は一切ございませんので、どうかお引き取りください。もし、引かないと言うのであれば」


 クリスの名前を聞いた途端、女剣士の目つきが変わった。まるで、我が子を守る獣のようなその目つきは、クリスとシダが一歩引いてしまうほどだった。

 女剣士は剣に手を添え、軽く構えた。いい姿勢だった。隙が少なく、洗練されていた。


「待ってくれ。俺たちは年貢を取り立てに来たわけじゃない。ただこいつの故郷だって言うから見に来ただけなんだ」


「そんな話を信じるとでも? どうせ」


「ダレット村」


「!!!」


 必死に誤解を解こうとするクリスだったが、まるで信じてもらえない。そんな時、シダの発した一言で女剣士の口が止まった。


「ダレット村。それが俺の故郷の名前だ」


「まさか。それは15年前に滅んだ村の名前。まさか貴方はその生き残りだと言うのですか?」


 かつて滅ぼされた自国の村の名を聞き、驚きを隠せないでいる女剣士。それもそのはず。記録書には残酷な傷跡と全滅としか載っていなかったのだから。生き残りがいたなど信じがたいことだった。しかし、その村の名を知る者はインティスにももういないほどだ。それを知っているとなると、信じるほかなかった。


「本当だ。信じられないのなら村が滅びたあの日のことでも話そうか?」


「いいえ、いらないわ。貴方たちを信じます。名乗りが遅れました。私はカスミ。元インティス国王専属護衛隊隊長よ。宜しく」


 カスミはそう言いながら、2人と握手を交わした。

 その後、シダとクリスはカスミに王城へと案内され、先ほどの年貢の話をした。


「なるほど。そんな事が・・・」


「はい。私たちはすでに自分たちの生活でいっぱいいっぱいです。どうにかならないでしょうか」


 年貢をめぐる事件を聞き、考え込むクリス。カスミは隊長なら何とかできるのではないかと、その小さな可能性にすがった。しかし


「申し訳ありませんが、我々にはどうする事も・・・」


 答えはノーだった。カスミの表情は一気に暗くなる。すると、急にシダが言葉を発した。


「年貢について我々が幹部としてできることはありません。・・・しかし、俺はインティスの国民だ。自分の国がピンチなのに黙っているほど俺は腐ってない。国民としてできることはさせてもらう」


「ほ、本当ですか!」


 シダの強く優しい言葉に、カスミの表情が明るくなる。


「ちょっと農地を見せてもらってもよろしいですか?」


「もちろんです! あっ、でももう遅いですし、明日にしませんか? 今日はここに泊まっていただいて大丈夫ですから!」


 なぜか嬉しそうに話すカスミ。なんか可愛いな。とシダとクリスは思っているのだった。

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