第32話 ミカエルと超回復
「攻撃手段がないんだ!」
「知るかー! そんくらいなんとかしなさーい!」
ここまで頼もしい武器を手に入れておいて、そんなことを言うなんて贅沢ってもんだ。と、ローズは言いはしないが殴り飛ばした。
「ぎゃーーー・・・ゴフッ」
宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられるシダ。なかなか鈍い音がしたのだが・・・
「色々一気に入ってきて、頭パンス思想にはなったけど、それでも聞き逃したりはしてない。攻撃手段なんてなかった」
「まって、そう言えばあんたは何でそんなにこの武器について知っていたのよ。使ったのはあの時が初めてなんでしょ?」
シダが訳のわからないことを言い出したのを聞き、何かを察したローズはそれを確かめるためにシダに質問をした。
「あぁ。それなんだけどな。声がしたんだよ」
「誰の?」
「ミカエルの」
「・・・え?」
「だから、ミカエルが全部教えてくれたの」
「大天使と会話したってこと?」
「まぁそーゆうことになるかな。テレパシーだったけど」
ローズは信じられないと言う顔をしていたが、あの状態から自分を守った盾の力は疑う余地もない為、そんなチートアイテムがある時点で常識など通じないことを理解した。
「俺からは以上だ。そっちはどーだった?」
「え? あ、うん。できる限りの人を救ったわ」
「そうだよ! 僕たち頑張ったんだよ!」
「まぁリーダーほど大変ではなかったのでこちらは大丈夫です」
「そうか。ならば引き続きモノボルゥー軍周辺で待機し、戦争の犠牲者を減らすために全力を尽くしてくれ。以上だ」
シダは渾身のリーダー雰囲気でそう言い残すと、竜馬に跨りキャンプへと戻って行った。
シダがキャンプに戻ると、寝ているはずのクリスが頼んでもいない出迎えをしてくれた。
身体には包帯が巻かれているが、あまり辛そうな表情は見せていない。
「クリス! お前動いて大丈夫なのかよ!」
「まぁな。どうやらボスから貰った力には回復力の抑制効果もあったらしい」
あれだけの重傷を受けたクリスが平気な顔で出迎えたことに驚きを隠せないシダ。慌てて駆け寄る。クリスからの話を聞き、自分も疲労感が薄いことに気付く。
「なるほどな。まぁでも普通なら全治3ヶ月は軽いような重傷なんだ。あんま無理はすんなよ」
「あぁ。気をつけるよ」
「さて、今日はもう遅いし、そろそろ寝るか!」
「そうだな。身体の回復は早くても、精神的疲労が限界だ」
そんな会話ながら、2人は他の兵士より少し立派な寝床へと向かうのだった。
所変わって、モノボルゥー王国王室
「ボス! 奴らついにやりやがった!」
オンラッシュが扉を開け、堂々と歩きながらオリバムにそう言った。オンラッシュはオリバムが村荒らしの頃からの付き合いな為、オリバムも国王となった自分への無礼な態度を黙認してはいるが、本心はあまりよく思っていないらしい。
「どうした」
オリバムは少し不機嫌そうに短く返す。
「インティスの奴ら、今までも散々年貢を半分しか払わなかったり、先延ばしにしたりとやらかしてきてたが、ついにこの前年貢を回収に行った兵士を襲いやがった。これは見過ごせない反逆行為です」
『インティス』シダの故郷であり、モノボルゥー王国とワースの間にある、モノボルゥー王国にとっては重要な土地だ。
クリス率いる第2部隊が出発してから1週間が過ぎた頃、年貢を回収するために派遣された兵士がインティスの兵士によって襲われ、ボロボロの状態で帰ってきたと言う。
オンラッシュは両手を後ろで組み、少し早口で報告した。
オリバムは数秒黙った後、オリバムに命じた。
「ならばお前が行け! お前が行き、反逆者を潰してこい。出来るな?」
「もちろんです! このオンラッシュ、全身全霊をかけて奴らをねじ伏せ、2度と逆らえないようにして参ります!」
「うむ。良い報告を待っているぞ」
翌日、オンラッシュは8人の部下を引き連れインティスへと向かった。
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