第30話 神具と一時終戦
「まさか、それは霊具?! しかし盾では一方向しか防げないはずだ。貴様、一体何をした!」
「それを教えるほど俺はアホじゃねぇよ。まぁ名前くらいは教えてやるよ。この武器の名は"シェルイオン"。神具シェルイオンだ!さて、本当の勝負と行こうか!!」
シダは縦140cmはある巨大な盾を構えてそこに立っていた。
こんな大きな武器を隠していたわけもなく、燼はすぐにそれが霊具であることに気づいた。しかし燼の言う通り、盾では一方向しか防ぐことが出来ないはず。シダは一体どうやって囲まれた状態の中、後ろの2人まで守ったのだろうか。
そして、驚くことはもう一つあった。シダは、盾"シェルイオン"を霊具では無く神具と言った。
「確かこんな話を聞いたことがある。4大天使から授かりし霊具は、神から神具という名を使う許しを得ていて、その武器は他の霊具よりさらに強大な力を秘めていると。まさか、それが今目の前にあるというのか!」
(ダメだ。こんな奴に勝てるわけがない。撤収だ。・・・撤収だぁぁぁぁ!)
燼には分かった。分かってしまった。このまま戦っても勝ち目はないと。あの盾を破ることはできないと。それほどに、強烈なエクロムが感じられたのだ。
後ずさる燼。
分身1体を残し、引き連れて来た軍に撤退を命じ颯爽と逃げていく。残った1体の分身はひたすら矢を放ち続けた。シダはその全てを盾で受け止めたが、深追いはしなかった。分身を盾で捻り潰し、走り去る燼の背中を見つめる。
開戦から25日。第一次ワース・モノボルゥー戦争が幕を閉じた。
両国合わせて、死者2万。負傷者3万。うち重傷を負ったのは1万。そこには、クリスも含まれる。
戦いが終わり、盾を地面に突き刺し手放すと、盾は光の粒となり消えた。
「だぁーもぅダメだ。一歩も動けねぇ。助けに来たんだろ? 俺を拠点まで運んでくれよ」
「ばっかじゃないの! 自分で歩きなさい。それに、私は拠点に入っちゃいけないでしょ!」
張り詰めていた緊張感が溶け、一気に力が抜けて座り込むシダ。どうやらローズはもう戻るようだ。
「大体、助けに来たわけじゃないし!アンタがヘロヘロになってるところをバカにしに来ただけだし! ・・・クリスの応急処置は済んでいるわ。あとはアンタがなんとかしなさいよ」
「あぁ。サンキューな! お前が来なかったら勝てなかった。ほんとありがとう」
「べ、別に! それじゃあね」
頬を染めながらキーキーと怒鳴るローズ。後ろを向き、クリスについて説明をすると、そのまま歩き出した。途中、シダがとても恥ずかしいことを言って来るので一度立ち止まって返事してしまったが、今度はスタスタと早歩きで帰り始めるのだった。
「1045に所定の位置で落ち合おう!」
シダの言葉にローズは頭の上で大きな丸を作り、返した。
その後、シダは生き残った兵士を集め、生存者の人数を確認し再編成を行ったあと、侵略した土地にキャンプを貼流ように指示を出した。加えて報告隊に国王宛の報告書を持たせ、モノボルゥ王国へと向かわせた。
約1ヶ月で侵略できた土地は、普通に移動すれば1日でたどり着くようなものでしかなかったが、シダは今回の戦争を、それ以上に価値のある戦いだったと思っていた。
もちろん、シェルイオンのことは報告書には記載していないし、誰にも言っていない。知っているのはあの場で意識を保っていた燼とローズだけだ。
キャンプを貼り終え、各々休憩を取り始める第2部隊の兵士たち。
一方その頃、約束通り1045に少し離れた岩石地帯に、カランコエメンバーが集まっていた。
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