第28話 弱点と罠
(まただ。またこの展開だ。ボスからもらった力があっても、霊具持ちには勝てないのか・・・こんなの、こんなのどーしたら)
「シダ! 次くるぞ! 死ぬ気で避けろよ!」
シダとクリスは12人の敵に囲まれている。まとめて攻撃を喰らわず、かつ互いに助け合えるギリギリの距離を保ちつつ交戦。
敵の攻撃は四方八方、十二方から降り注ぐ火矢の嵐。クリスもシダも、致命傷を負わないようにかわすので精一杯だった。
シダは絶望していた。もう、半分諦めていた。でも諦めきれない。まだ何も達成していないから。折れそうな心を、クリスが支えてくれているから。
クリスの声で我を取り戻し、必死に攻撃をかわす。そして。
シュー〜・・・
クリスが影を一つ潰すことに成功した。
「よし!!! 次行くぞ!」
「おう!!」
クリスは叫ぶ。シダもそれに強く返した。まるで恐怖を振り払うように。
「やるな。だが1体減ったからといって、貴様らに勝ち目が生まれたわけでは無い」
燼は、分身を1体やられた事に賛称を送ったが、動揺する様子は一切なく、休む間も無く矢を放ち続けた。
「やはりそうか」
「どうしたクリス!」
矢を武器で払いながら、一旦合流し背中合わせになるシダとクリス。どうやら矢の攻撃にも慣れてきて、かわさずに応対できるようになったようだ。それを理解し、燼も分身を一旦集め、陣形を組み直す。
「分身は増えれば増えるほど弱くなる」
「なるほど。なんのリスクも無しに数が増えるとは思ってはいなかったが、そう言うことか」
「あぁ。俺が1対1で戦ってた時のあいつの動きはもっと俊敏だった。奴が多くの分身を出している今がチャンスだ!」
「オーケー。なら俺が盾になる。お前は俺の後ろからチャンスを見て本体を打て!」
長く戦っていたおかげで、ついに分身の弱点を掴んだクリス。ようやく反撃の準備が整った。
シダは、左手に装備した盾を構え、すきあらばボウガンで牽制しながら突っ込んだ。クリスはシダの背中に隠れ、その後を追う。
対する燼は、11人が横に並び、各自火矢を2人に向かって放ち続けた。
「今だ!!」
シダは直前の火矢を右の剣で払い飛ばし、小型ボウガンで牽制の一発を放つ。その瞬間クリスはシダの左側へ飛び出し、一気に燼との距離を詰めた。
「はぁぁぁあ!!!!」
「ぐっっ!!!」
クリスの渾身の右ストレートが、燼の左肩に炸裂した。
しかし、次の瞬間クリスは燼の本体ごと周りの分身に矢で撃たれ、蜂の巣状態になってしまった。
「クリスーー!! 嘘だろ・・・自分ごと打つなんて・・・」
「嘘じゃないさ」
「なっ!!」
「なんせ、俺は影と本体の位置を瞬間的に交換できるんだからな。だがあれはいい拳だったぞ。油断していたとは言え、俺に一発入れるなんてな」
突然後ろから声をかけられ、驚くのもつかの間。シダを燼の蹴り攻撃が襲う。それをかろうじてかわし、距離を取りつつクリスの元へと向かった。
「大丈夫か、クリス! 罠だったことかよ。ったく冗談キツイぜ」
文句を言いながら、クリスに肩を貸すシダ。
クリスの体には、6本の矢が刺さっており、傷口を中心にひどい火傷を負っていた。かろうじて急所は守ったようだが、もう多々かけるような状態ではなかった。
「さぁ! とどめと行こうか」
燼はもう一度分身で2人を囲み、火矢を構えた。
「弱点を見破り、即座にそこを築こうとしたのは良かったぞ! お前達と出会えて、俺は更に成長できた気がする。さらばだ! よく霊具無しにこの俺とここまで戦った。誇りを持って死ぬがいい」
弓を強く握り、矢を限界まで引く。敬意を込めて、全身全霊をかけてとどめを刺そうとしたその時、一つの分身の頭に石ころがポカリとぶつかった。
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