第27話 燼と弓矢の霊具
「聞けぇ! 侵略者ども!! この地は我が国、ワースがが所有する大切な土地である。我々の地を荒らすことがどれほど愚かなことか・・・思い知るが良い!!」
その男が来た途端、形勢は一瞬にして逆転した。オリバムから力を授かったクリスパードですらも、やはり霊具使いには勝てなかった。
「俺はモノボルゥ王国第2部隊隊長クリスパードだ! 貴様は何者だ!!」
「失礼。名乗りが遅れたことを詫びよう。俺の名は燼。庶民出身のため苗字はない。ワース軍軍隊長だ」
「苗字? なんだかよくわからんが、名は覚えたぞ。それで、その武器はなんて言うんだ」
燼と名乗るその男は、短めの黒髪に太めのハチマキをつけていて、赤色ベースで日本の戦国時代の武士のような格好をしている。
クリスたちは苗字というものを知らないが、どうやらワースもいう国では苗字がある者がいるようだ。
「ほぅ。霊具を知っているか。よかろう。貴様もこの偉大なる武器の名を知れ! これは『ゲルラブ』。偉大なるシャムシエル様より授かりし武器だ。その威力、とくと味わうが良い!!」
「シャムシっ・・・まさかっ、天使の王子から授かったっとでも言うのか! っあの伝説は本当だったのか」
次々に繰り出される矢をかわしながら、クリスはできる限りの情報を集めようとしていた。
ーーシャムシエル
神の強き太陽の意味を名に持つ能天使。
天使の王子とも呼ばれ、大天使ウリエルの副官を務めているとされているーー
「っ!!逃げ場がねぇ・・・」
ゲルラブから放たれる矢は、炎をまとっており、クリスはそれを必死でかわしていたものの、ついに炎に囲まれてしまったのだった。
「さぁもぅ逃げ場はないぞ! 攻めてそのグローブで一発俺に入れてみせろ!」
そう言うと、燼は先程とよりも威力の高い矢をクリスにぬかって一直線に打ってきた。
しかし、クリスは避けなかった。そしてニヤッと笑った。
次の瞬間、矢は、何かに弾き飛ばされ、そこには新たに人の影があった。
「ったく遅えよ」
「わり。待たせた」
ようやくシダが到着したのだ。
「さーてこっからが本番だぜ!!」
シダはそう威勢良く吠えると、盾で炎を消し払い、クリスと息を合わせて攻撃を始めた。
シダは、盾の裏に仕込んだ小型ボウガンで距離を取りながら牽制しつつ、隙を見て攻撃を仕掛ける! と言うそぶりを見せ、後ろからクリスの攻撃!!
もう一度を取り直す。
燼の武器は弓矢だ。いくら霊具とは言っても連射機能が付いているわけではないため、うかつに攻撃が出来ない。
流れはシダたちにあった。
本当の戦いはここから!
そう。クリスも思っていた。
しかし、現実はそんなに甘くなかった。
今度はシダが同じように仕掛けるフリをし、その背後から本命のクリス。と見せかけ、それに反応した燼の裏を取ったシダが剣を振るおうとしたそのとき。
「シダ! 伏せろ!!」
「っ!!!」
左から飛んで来た矢を、かろうじてかわしたシダ。他の兵は他の隊と交戦中のはずだ。しかも矢は炎をまとっていた。
「燼が2人? まさか分身か!」
「テメェ・・・そっちの方角は俺の隊がいたはずだ。そいつらはどうした」
「全員倒した」
「貴様ぁぁぁぁああ!! っ!!」
シダたちの戦闘している場所から左は、シダの持つ隊が交戦しているはずの方角だった。そこからの矢。つまり、全滅だ。シダには怒りの感情が込み上げていた。しかし、突っ込もうにも分身が邪魔をする。
「時が経ち疲労した軍を蹴散らすのは容易かったぞ」
「そうかあの時の影、やはり俺たちの動きを監視していたのか。今の今まで動きがないとは思っていたが、理由はこれか」
「そうだ。さぁこれで2対2。覚悟はいいな。そしてさらに絶望を見せてやろう」
そう言うや否や、燼は先程まで打っていた矢とは違う矢を地面に放った。
「1体、2体、3体、4体、5体・・・10体!!! これで全部で11体だ。もう一度言う。覚悟はいいな!」
矢をはなくごとに増える分身。分身は増えるごとに色が薄れていった。しかし、今はそんなことはどうでもよかった。
先程分身から放たれた矢は実体だった。
つまり、実質12人の霊具持ちがシダたちの目の前にいることになる。
構える2人。
1秒後、先程の爆発の4.5倍以上の爆発が2人を襲った。
すみません。20分前に出した奴はもーちょっと先の話でした。ネタバレになってしまい申し訳ありません。




