第19話 カランコエ初始動!
クリスがシダの元へと向っている頃。
カランコエ基地ではーー
「閃いたわ!!」
「ローズ姉ちゃんどーしたの?」
「どーしたのじゃないわよ!これぞ完璧な作戦よ!!」
勢いで言いすぎてしまったせいで、シダに作戦立てを任せられてしまったローズは、昨日からずっと頭を抱えていた。
そして今!閃いたのだ。
上機嫌なローズ。マギクも嬉しそうなローズを見てとても楽しそうな顔をしている。
「いい?作戦を説明するわね!あ、ヤグルも呼んできて!」
そう言われたマギクは、急いで外の芝生で本を読む兄を呼びに行った。
所変わってモノボルゥー王国城下町。
クリスはシダの元へたどり着き、オリバムから受けた警備の任務をシダに伝えていた。
「そうか。・・・そうだ!…ふふふ。いいこと閃いた!」
「ん?何閃いたんだよ?」
シダはその任務の話を聞き、怪しい笑みを浮かべた。どうやらこちらでも何か閃いたようだ。
クリスは突然笑い出したシダに問い返すが、ここでは話せないが、取り敢えずカランコエ基地に戻るとだけ言われ、急いで支度をし、竜馬に乗って出発した。
「で?何閃いたんだよ?」
「あーそれか?それはな・・・」
基地へ向かう途中、頃合いを見てクリスがシダに先ほどの質問をもう一度した。
シダは遠足に行く小学生のような、ワクワクを隠せない顔をしながら話し出す。
「まぁその方がいいかもな」
これがクリスの反応だ。
シダが何を話したかというのは、とても簡単なことで、ただ、ローズにすべて任せても、ピクリットに制裁を下すことは出来ても、フレン爺を救うことができるかどうかが心配だから、警備がてらフォローしようと言うものだった。
「にしても、なーんかタイミング良すぎだよなー」
「確かにな、まぁでもそんなこと気にしてても仕方ないだろ?」
「・・・そうだな。それに、ピクリットは薬を使うって言ってたんだ。あれからもー2日経ってる。急がねぇと」
少し違和感を感じていたシダ。クリスはそれを気にしないように唆すように返事をする。
シダはそれに納得すると、竜馬に指示を出し、一刻も早く行動を開始しなければとスピードを上げた。
「つーわけで、決行は明日だ!ローズ。ヘッポコ作戦はバッチリか?」
「ふん。余裕よ!シダの頭が無くたって完璧に成功させて見せるんだから!!」
シダは机の前に立ち、メンバーに決行日を告げると、ローズをニヤニヤしながら煽る。
ローズは椅子から立ち上がると、澄ました顔でそこら辺を歩きながら言い返した。
「じゃあその完璧な作戦とやらを聞かせてもらおうじゃないか」
椅子に座りこみながらそう言ったシダは、足を組み、頬杖をついて聞く準備万端の体勢だ。
ローズは1つ咳払いをすると、自信たっぷりに作戦を話し出す。
「以上が作戦よ!どぅ?すごいでしょ!」
「ん〜・・・まぁ良いんじゃね?」
「よし!・・・じゃなくて、と、当然よ!」
作戦を語り終えたローズは、ドヤ顔で胸を張っていた。
シダが若干棒読みで反応したが、ローズには『良い』と言う言葉しか耳に入って来ておらず、ガッツポーズをした。が、頑張って考えたことを悟られないように、慌ててプイッと顔を逸らした。
「マギク!前に渡した武器。用意しとけよ!ピクリットという男、なかなか用心深そうだったからな」
「あいあいさー」
「ヤグルは・・・今回は目立つからタンマな」
「了解です」
前に渡した武器とは、リヴェリー残党戦の時に奪取した二丁拳銃と大斧のことだ。
今回二丁拳銃は持ち運びも楽だし、何より持っていても隠せるため目立たない。と言うことで使用を許可した。大斧は目立つのでストップだ。
兄弟2人とも、12歳と14歳とは思えない理解力で、許可不許可の意図を読み取る。
シダは1つ突頷くと、作戦内容と日時を確認し、その後解散を指示した。
シダとクリスは基地を出て、ピクリットの元へと向かうのだが、こんなに怪我人が動き回っていいのかと思うかもしれない。
事実、あんな事を言いながらローズは2人の怪我をすごく心配していた。長時間車の運転をした事がある人ならわかると思うが、1日かけての移動をこう何度もするのはとても疲労がたまる。
しかし心配は無用だった。数日前にオリバムからもらった霊具の力。これが凄まじいもので、傷が癒えていない今の状態でも、傷を負う以前より体は動くくらいだった。
つまり、最初からシダはローズにこの一件を任せるつもりだったと言える。ほんの力試しといったところか・・・初仕事に参加できなくて悔しい顔をしてた?ノーノー。バリバリ裏からカバーするつもりだったのだ。
「いらっしゃいませ。またお越しいただいて、光栄でございます。ささ、こちらへ」
「すまんね。たびたびお邪魔して」
「いえいえ。それで、今回はどのようなご用件で?」
翌日の午前10時、シダとクリスはピクリットのところへ到着し、現在領主室へと案内をしてもらっているところだ。
相変わらずの笑顔でシダとクリスをもてなすピクリット。ピクリットは賞を貰えるかもなどと考えながら、いつもより少し高めの声で話をする。
「それだけどな、クリス頼む」
「最近こちらに、怪しい者が出没すると言う噂を耳にした者で、その怪しい者というのがボス、失礼、オリバム様も警戒している人物かもしれないという事で、しばしの間この町近辺の警備を行う事になったのだ」
「そうだったのですね。わざわざありがとうございます。あ、どうぞお座りください」
ピクリットは、隊長様よりくらいの少し近い参謀長に、前回お茶をしたということもあり話しやすいのか、
ピクリットは、前回お茶をしたという事もあり、クリスにではなくシダに質問をした。やはり隊長様より、少しは位の近い参謀長の方が話しかけやすいのだろうか・・・
だが、シダはこの件についてあまり詳しくは知らないので、すぐにクリスに振ってしまった。
クリスが一通り説明を終える頃には領主室へと到着しており、ピクリットは、前回も出て来た豪華な椅子を2人に渡し、自分はそれなりの椅子に座る。
余談だが、2人はこの時とても幸せだった。なにせ、王城にいるときは椅子になど座る暇もなく働き、基地にいるときは椅子と言う名の"樽"に腰掛けているのだ。こんな立派な椅子に座ることなど・・・恐らくここでしかないだろう。
その後3人は、地図を使い、近辺の地形や警備する範囲や優先度などを確認すると、シダとクリスは夕方まで警備、循環にあたり、午後7時・・・
「お疲れ様でございます。今お茶を入れますね」
2人が帰ってきた。領主館で待っていたピクリットは、2人に急いでお茶を入れ始める。
「そろそろだな」
「あぁ。みんな頼むぜ!・・・正義のヒーロー【カランコエ】始動だ!」
小声で話す2人。もうすぐローズ達が動き出すようだ。果たして完璧な作戦とは・・・
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