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潮風の街  作者: りす君
1/2

breeze1:青年よ、幸運を抱け!

この小説のジャンル…一応、恋愛ですが学園か、コメディーか全く判断つかない作品です。

では、どうぞ。

(チャリンチャリン!)


青年:

「うぉー、遅刻だぁ!」


俺は、愛車であるマウンテンバイクで朝っぱらから日本海沿いの国道を激走していた。その理由は、昨日の夜まで(さかのぼ)る事となる。




(回想)

青年の父親:

「今から父ちゃん、飲んでくるから帰りが遅くなる。」

青年:

「くれぐれも飲みすぎるなよ、親父。」

青年の父親:

「あぁ、分かってるよ。それじゃな留守番頼んだぞ、誠。」

青年:

「あぁ、行ってらっしゃい。」


その晩、飲みに行った親父が帰って来なかった。

やっと帰ってきたのが、何と深夜の三時過ぎ。それから泥酔した親父に俺は叩き起こされ、五時まで愚痴やらなんやかんやを延々と聞かされた。

その後ようやく親父が寝て、俺は少しでも睡眠を採ろうと布団に入ったのが間違いだった。


青年の父親:

「……い、…こと。」

青年:

「う、うう…ん?」

青年の父親:

「おい、誠。」


目が覚めると、寝床に親父が座っていた。


青年:

「何だ、親父。」

青年の父親:

「お前、今日は学校休みなのか?」

青年:

「いや…ある。って、親父っ!今、何時?!」

青年の父親:

「ほれっ。」


親父に目覚まし時計を渡され、現在時刻を見た俺は青ざめた。


目覚まし時計:

(8時30分)


青年:

「っ?!」


民家の中から:

「なぁーーー!!!」

(回想終了)




結局、俺は親父の所為で遅刻するハメになってしまった。


(学校法人 津端-つはし-学園

新潟県私立 盛山-もりやま-高等学校正門)


青年:

「ぬぉーーー!!!」


俺は、降りずに自転車置き場まで全速力で漕ぎまくって勢いあまって自転車置き場に停めてあった無数の自転車に突っ込んでクラッシュした。


(ガシャーン!!)


凄まじい音が校内に響き渡り、俺はあっさり生徒指導の先生に捕まってしまった。


(生徒指導室)

先生A:

「またか、最上(もがみ)。懲りない奴だな。」

青年:

「いや、あれはちょっと…急いでたもんで…アハハ。」

先生B:

「はぁ…全く。お前には、溜め息しか出んぞ。」

青年:

「…済みません。」

先生A:

「君の名前は三年八組、最上(もがみ) (まこと)で合ってるよな?で、年齢が18歳。O型。身長は175cm、体重65kg。趣味は…。」

誠:

「…もう良いです。」

先生C:

「先日は、校内でサッカーして硝子数十枚を割ってここに連行されて来たよな?」

誠:

「はい。」

先生A:

「そしてその前は、科学室で授業中に実験してた所、誤ってボヤを発生させて連行。そしてその前の時には、美術の時間に彫刻刀を振り回して連行…君の行動には呆れて物も言えませんな。」

誠:

「…済みません。」


結局、俺は反省文を原稿用紙3枚に書いて提出した。


誠:

「あぁー、朝から疲れた。」


俺が生徒指導室から抜け出せたのは、3時間目終了の時刻だった。

俺のクラスは六階にあり、建物上の関係で他の学校には滅多に見られないエレベーターが各階に設置されている。


(チーン)


ドアが開いて、俺はエレベーターから各教室まで続く廊下を歩いた。


(クラス表記:3-8)

(ガラガラ…)

誠:

「おはよう。」


俺は、抑揚の無い声で挨拶した。


誠の友達と見られる男子:

「うおっ!お騒がせ野郎の誠の登場だ!」

誠:

「おいおい…それ禁句だろ祐司?」


片岡(かたおか) 祐司(ゆうじ)。俺の幼馴染みで、無二の親友である。


片岡:

「それよりも聞いてくれよ、誠!」

誠:

「…何だよ。話は出来るだけ短めにな。」


俺がそう言うと、祐司はムスッという顔をしたが順に話し始めた。


片岡:

「実はな今日このクラスに一人、他の高校から転入してきたんだ。」

誠:

「で、そいつが女だからヤッホーっていう話か?」


どうやら図星だったようで、祐司は舌打ちをした。


誠:

「ったく…そんな事かよ。」


俺が溜め息をつくと、祐司が畳み掛けるように言ってきた。


片岡:

「でもさでもさ!そいつ…ホントは。」

誠:

「解ったから、落ち着けって。…よっこらせっと。」


俺は自分の席に座った…つもりだった。

次の瞬間、俺は目と耳を疑った。


女子の声:

「あの!そこ、私の席なんだけど!どいてくれないっ!」

誠:

「えっ?!」

他の女子の声:

「千海、少し強く言い過ぎじゃない?」

誠:

「っ!!」

もう一人の女子:

「…ち…千海…おっ…お姉ちゃぁん、言葉を…も、もっと優しくした…方が…良いよ。」

誠:

「っ!!!」


俺が、何故驚いたか?

目の前に同じ人が三人もいるのだから、そりゃ誰だって驚く。


片岡:

「綾瀬三姉妹、コイツすまないね。許してやってよ!」

誠:

「…アヤセ…三姉妹?」

気の強い女子:

「ま、仕方ないか。ちなみに…アンタ!」

誠:

「な、何だよ…。」

気の強い女子:

「アンタの席は、一番後ろの窓側の席になったから。」

誠:

「えっ?!てか、一体誰だよアンタ達は?」


俺は、全く知らない奴に怒られてキレたが、祐司が必死に止めてくれた。


一番気の弱い女子:

「…た…多分、最上君は…まだ…わ…私たち…の事を…し…知らない…んだよ…きっと。」

片岡:

「俺が紹介するよ。この人達は、今日転校してきた綾瀬(あやせ)三姉妹。右から上順で、綾瀬 千海(ちうみ)さん、綾瀬 (みなと)さん、綾瀬 まりんさん。

上の二人は双子で、まりんさんが遅れて誕生したけど同学年なんだ。」

千海:

「宜しく。」

湊:

「宜しくね。」

まりん:

「よ…宜しく…ね、最上君。」

片岡:

「んで、コイツは最上(もがみ) (まこと)。馬鹿で、運動神経ゼロの取り柄無しの男。」

誠:

「おい、その言い方はねぇだろ!」


すると、三姉妹の長女の千海が俺の顔をまじまじと眺めてきた。


誠:

「な、何だよ…。」

千海:

「最上 誠ね…サイジョウで良いよな?」

誠:

「ふざけるな!“モガミ”だ!漢字ではサイジョウって読むが、俺は“モガミ”だ!」

まりん:

「ち…千海お姉ちゃぁん…。も…最上君に…あ…謝ろうよぉ…。」

千海:

「嫌だ。サイジョウ、早く席に戻れ。」

誠:

「っ!!」


俺は、カチンときて綾瀬 千海に殴り掛った。


まりん:

「あ…危ないっ…!」

(バキッ…ドゴッ)

誠:

「…ぐっ?!」

まりん:

「…もっ…最上君っ!」


いつの間にか、俺は激痛と共に床に倒れていた。


湊:

「はぁ…。あのね、最上君。」

誠:

「な…何?」

湊:

「私と千海は、幼少の頃から護身の為に武道を親にやらされてるの。」

誠:

「ぶ…どう?」

湊:

「空手、柔道、テコンドー、剣道、キックボクシング…などかな。」

千海:

「雑魚は大人しく、席に戻りな。」

誠:

「………。」


千海:

「あぁ、疲れた。二人共、喉渇いたから自販機に飲みモン買い行こっ。」

湊:

「千海、やり過ぎだから。」

まりん:

「…う、うん。」


こうして、俺と悪魔の綾瀬三姉妹との出会いは最悪だった。




数分後、俺が未だに痛みで動けずにいると、三姉妹の末っ子、まりんが一人教室に帰ってきて俺に駆け寄ってきた。


まりん:

「…もっ、最上君?」

誠:

「…えっ、何?」

まりん:

「さっ、さっきは…ゴメン…ね。」


彼女の目には、うっすらと涙が。


誠:

「えっ?えぇっ!!いきなり、泣かないでよ!」

まりん:

「うっく…ひっく…ゴメン…口元から血が出てるから、これ…使って?」


彼女が手に持っていたのは、水色のハンカチだった。


誠:

「…良いよ、悪い気がするから。」

まりん:

「…で、でも…ダメっ!最上君…ちゃ、ちゃんと手当しよっ!」

誠:

「………。」




さっきの言葉、訂正。

三姉妹の中に一人、優しい天使がいた。

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