4歳 赤の月 Ⅳ
赤の月 10日
これまで気がついた事を書いてきたが、今日はこの国と両親について書いておこうと思う。
この国は、アルト=デステニア王国と言って2つの王家が交互に国王を排出するという元地球人としたらおかしな国である。
元は同じ人間で、1万5000年前にこの世界に召喚されたフォーリスト=サークルという勇者が興した家系であると言われている。
ちなみに、このフォーリストの子供が“アルト”“デステニア”というらしくその二人がこの国を立ち上げたらしい。
今の王様はフェルディナン=アルト=サークルと言って現在在位10年目で、周囲の評価はとても高く名君として周辺国家から注視されているが、地球と比べて温厚な人が多いのか、はたまた必要が少ないからなのか話を聞く限りだと、ここ1000年はどうも戦争は起きていないらしい。
国の軍隊の役目は主に都市や街の警備や犯罪者の取締が主な仕事であり地球で言うところの警察官のようなもので、魔物を狩るのは“ギルド”の仕事なのだそうだ。
ギルドについてはよくある、依頼人からお金、もしくはそれに準ずる物を代価として人間 (亜人を含む)に害をなす魔獣・魔物の討伐から老人の肩たたきまでほぼ(・・)なんでもする何でも屋の斡旋業者のようなものだと考えてもらっていい。
話を戻してこの国についてだが、この大陸の北を“イース帝国”東を“オリエント皇国”南を“エンペル共同連合”西を“ウェルシア教国”という国に囲まれた中央にある国である。
それぞれの国についてはまだ僕には早いのか何も教えてもらってないが、この国は豊かな農業国家でこの大陸の7割の農産物はこの国で作られているらしく中央にあっても侵略は受けにくいらしい。
なぜ受けにくいのかというと、この国で戦争をして田畑を焼いてしまうと、自国の生活に直撃するからなんだそうだ。
もちろん豊かである以上は盗賊や、魔物もよく現れるのでギルドの登録者の質や軍人の質も高いので侵略されないという側面もあるみたいである。
次にこの家のことだが、どうもこの家は次期国王の家系であるデステニア家に仕える家で、何代か前の当主の妹を嫁にもらうくらい親密な家柄で、王都から馬で7日のところにある都市“アンセム”(つまり現在僕らの暮らしているこの都市のことだが)を治める侯爵の家系なんだそうだ。
いい機会なので爵位についても触れておくが、
王家:アルト家とデステニア家の2つしかなく交互に王を排出している。
公爵:上の2家のうちで、その時の王を輩出していない家が与えられる爵位。
侯爵:上の2家に代々仕える家でそれぞれの家に4家ずつの計8家存在する。うちはここの1つ。
伯爵:王都及びその周辺都市を除く国内の各地域を治めている。全部で20家ある。
子爵:伯爵の治める地域の中の都市や街を管理している家。150~200家くらいある。
ここまでは、代々の家系でつながっている。
騎爵:王国軍の“騎士”に与えられる名誉勲章で、働きによって与えられる称号が変わる。
一番位が高いのが、侯騎爵で侯爵に準ずる発言権を与えられる。同様に、伯騎爵、子騎爵とある
戦爵:年に一度の武術大会で、優勝したものに与えられる名誉勲章だが、
騎爵と違い発言権は与えられない。しかし、扱いは貴族と同じになるようだ。
上の2つは、1代限りの限定でいない時期もあったらしい。
ちなみに父は本名を“アレクサンドル=アンセム”といい、現在は王都でデステニア家の執事をしており、母が都市アンセムを統治しているらしい。
馬で7日掛かるのに月に2度ほど帰ってこれているのは、転移魔法で帰っているからなんだそうだ。
それを今日知って、俺もがんばって覚えようと心に決めたのはココだけの話。
約5日ぶりの更新です。
次回は、母:アシュアの視点での話を出して
プロローグ編を終えたいと思います。
それではまた次話でお会いしましょう。