第五章 退屈とのお別れ
とりあえず現状確認。
町にくりだしてからおよそ三十分経過。
現在、 六人ぐらいの不良(見た目から判断)と仲良くにらめっこをしていた。
ちなみにこちらの陣形は前から、 和也、 俺、 女の子二人、 である。
「おい、 兄ちゃんよ、 女の子こっちにもわけてくんねえか?」
で、 でた! 不良専用の理不尽請求。
もちろんそんな要求を吞むはずもなく。
「そんな要求聞けるはずがないだろ」と和也。
「そうだそうだ!」と俺。
「なら力尽くで奪うしかねえな」
こりゃ喧嘩になるね、 絶対。
和也もそんな空気を感じとったのか、 女の子に指示を出した。
「二人とも、 最初の集合場所で待ってて」
最初の集合場所というと駅のことだろう。
そんなことこいつらが知ってるわけないしな。
「わかった・・・・・・怪我しないでね、 和也君! と金魚のフン」
「絶対帰ってきてね! 和也君! とその他」
・・・は? なにこの扱い? 少なくとも二人目の女の子俺に気があるんじゃなかったの?
その言葉を聞いていた和也が、 バツが悪そうに言った。
「悪い真治、 あれウソだ」
ウソ? あれってなに? 俺に気があるってウソなの?
「・・・・・・悪い、 俺こっちにつくわ」
そう言い残して不良側につく。
くそ! 俺の恋心を利用しやがって! ぶっ飛ばしてやる!
「さあいけ! 不良ども! あの憎きイケメンを抹殺してしまえ!」
「お前も抹殺だよ!」
不良のリーダー的な存在の奴に思い切り殴られる。 油断したぜ。
「真治!」
うん、 全然痛くなかったんだけどね。 ここは痛いふりをしとかなきゃいろいろ面倒だろう。
「ぐは! 顎の骨が折れちまった!」
「くそ、 ここは一時撤退だ!」
俺と真治は不良を巻くために走り出す。
「とりあえず裏路地をぐるぐる回ろう!」
「イエッサー」
俺の恋心を弄んだことは置いといて、 とりあえずこの不良たちを巻くとしますか。
「お前、 あいつら実力でどうにかできないの?」
俺は走りながら不良を指さす。
「いや、 さすがにあの人数はきつい」
まあ、 普通の人間なら、 ね。
ついでに言っておくと、 俺のスペックが化け物じみているのは親以外知らない。
普通の生活にはこんな力必要ないし、 第一に俺暴力嫌いだし。
「わかった、 っておっとっと」
どうやら行き止まりになってしまったようだ。
「へっへっへ、 あの女の子達の居場所教えてもらうぜ」
不良は、 鉄パイプやら、 ナイフやらを手に持っている。
「くそ! やるしかないのか!」
和也が戦闘態勢をとる。
ふむ、 なかなかいい構えだ。 さすがスポーツ万能の異名は伊達じゃないな。
とりあえずいざという時は、 ちょちょいとやってやろう。
「がんばれ和也! 俺は応援しているぞ!」
「お前もやれよ!」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえ! お前らやっちまえ!」
さて、 どこまでがんばるかな? と思っていると、 突然変化が起きた。
俺と和也が立っている場所に、 字が書き詰められた魔方陣のような物が現れた。
「!」
その場にいる誰もが固まった。 無論俺も例外ではない。
「なんだこ」
なんだこれと、 言い終える前に、 俺の視界は黒く染まった。
やっと異世界に行けます! 長くなってすいません。
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