第三十八章 訓練
「AK-47だ。 新しいってわけじゃないが信頼はできる得物だな。 んで持ち方はこう」
口で言っても理解しにくいと思うので、 自ら持って実演。
弾を無尽蔵に創造する魔法のマガジンは抜いてあるので、 引き金を引いても問題は無い。
「むう、 よくわからんな」
そう言いながらリーダーが手にしているのソビエト連邦が開発した1947年式カラシニコフ自動小銃だ。
もちろん俺謹製。
みんなの前で創るのはさすがに問題ありと感じたので一度宿を取って、 そこで創ることにした。
持ち運びは台車を使って俺とリーダーで行った。
「これを使って数日間訓練すればあの犬ッコロでも簡単に殺せる」
「おお、 それはありがたい」
「ほら、 お前らも持ってみてみろ」
俺がそう促しても誰もこちらには寄ってこなかった。
なぜだ、 なぜ誰も寄ってこない。
「皆どうした?」
リーダーも不審がって尋ねたが、 みんな顔を合わせるだけだった。
そしてしばらく黙りを決め込んでいたが、 とうとう声が上がった。
しかも噂の女性兵士だ。
「それでは代表してみんなの意見を言わせもらいます」
む、 やっと出た意見だ。
慎重に扱わなければなるまい。
「どうぞ」
「それでは。 そんな物が何の役に立つというのですか? 見たところ刃も付いていないようですし、 鈍器のようにも見えません」
「・・・まあそうでしょうね」
たしかに初めて見たらすぐには信用できないよな。
そういえば昔銃が日本に伝わった時もこんな対応だったそうな。
だがな、 すぐに信用させてやる。
「確かにこれは指して使う物でも叩いて使う物ではありません。 ・・・無理矢理やればできなくもありませんが。 ともかくこれは、 遠距離から対象を破壊するための物です」
「??? 何を言っているのかよくわかりませんが」
「まあ、 今から見せますから」
ふっふっふ。 驚くなかれ。
「それじゃあいくぞ」
まず両手を合わせて一拍。
俺の動向に注目して静まりかえった広場にパチンと乾いた音が響く。
そして次の瞬間には、 前方二十メートルほどに土人形が創造された。
「なっ!」
驚く一同。
でも驚いて欲しかったのはここじゃないんだけど。
おそらく創造魔法が使えるということがばれたかもしれないが、 この際だ。
「どうして土人形が?」
「まさかこいつが?」
静かでいい雰囲気だったのに一気に騒がしくなってしまった。
黙らせるか。
「お前ら静かにしろ」
静かにそう促して、 AK-47の7.62x39弾を上空に向けて、 放つ。
三十発。 マガジン一本分だ(普通のなら)。
まあ、 みんなはただの音を響かせるだけの物と認識しているだろうが、 それでも十分だ。
そして一瞬で広場はまた静まり、 視線は俺に注がれた。
「い、 今何をし」
「黙れ」
言い終える前にもう十発。
今度は完全に静まりかえった。
「よし。 説明は途中途中挟んでする。 そしてそこのお前、 剣を抜け」
「わ、 私ですか」
そう言いながらも指名された兵士は渋々剣を抜く。
しかし失敗したな。 つい勢いで女性兵士を指名してしまった。
それもきつい口調で。
まあ・・・仕方無い、 訓練中だからな。
「それではその抜いた剣で、 あの土人形に攻撃を加えろ」
「わ、 わかりました」
女性は自前のグラディウス(推測)を携えて土人形に歩み寄ろうとするが、
「ちょっと待て。 そこから一歩も動かずだ」
「一歩も動かずですか? お言葉ですがそれは無理です」
女性が持つグラディウスの長さはほんの少し長めの80センチほどだが、 当然届くはずもない。
「まあそうだろうな。 俺から言わせれば半端な大きさの剣は役立たずだ。 刃物の長さは秘匿して持ち運べる長さの15センチが限界だ」
つまり俺の持ってるナイフがぴったりだな。
親父もそう思ったからこれを俺にくれたんだろう。
「結構な言い方ですが、 ではそのえーけーとか言うのならできるのですか?」
女性がグラディウスでAK-47を指しながら挑発的に言った。
やれやれ、 さっき説明したのにな。
「もちろんです。 これはそのための武器ですから」
言いながら、 構える。
そして宣言。
「カウント3。 3, 2,1, ファイヤー!」
もう四十部になってしまいました。
その割にはあまり話が進んでないような気がします。
もう少し一話掲載分を長くした方がいいでしょうか?
そして作中に出てくるAK-47ですがAKMとどっちにするか迷いました。
でもやっぱり有名所を選びました。
興味のある人は調べてみてください。