閑話 昼飯騒動
シンジとローラの試合後のお話です。
本編とはあまり関係ないと思います。
短いですけれどもどうぞ。
「飯はどうする?」
「私は何でもいいですよ」
さっきからこの押し問答だった。
予選が終わってすぐに会場を出て昼飯を食おう、 という話になったのだがローラは自分の意見を言おうとしない。
「だって何でも食えるんだぜ」
ローブのポケットから一枚の紙を取り出す。
何でもこれがあれば、 どんなに食事を取ってもタダになるらしい。
もちろん大会期間限定。
「じゃああそこの屋台で済ませちゃうぞ?」
大通りの端にある屋台を指さす。
「シンジさんがそこでいいなら、 いいですよ♪」
ローラが屈強無く微笑む。
「・・・じゃあ行くか」
屋台に向けて歩き出す。
「いらっしゃい」
「・・・・・・いらっしゃいました」
「注文は?」
「おすすめふたつで」
「支払いは?」
「これで」
「はいどうぞ」
「はいありがとう」
「ありがとうございました」
「ユアーウェルカム」
品物を受け取り屋台からでて思った。
なんと無機質な会話だっただろう。
それはたぶん今俺が持っているコレのせいだ。
まずホットドッグのようなパン、 これはいい、 これはいいんだ!
でも挟まっている具材、 コレがおかしいんだ。
パンにでっかいミミズが挟まってやがる。 しかもまだ生きてる模様。
屋台ののれんをくぐったときに目に入ったのが、 でかいミミズだ。
さすがに固まったよ。 そんでおすすめがコレだ。
でもアレか? 食ってみると案外いけるってやつか? いや異世界に限ってそれはない。
「あれ? ミミズサンド買ったんですか?」
「NO!」
それを聞けば最後、 俺はコレが食べられなくなる。
あ、 ちなみにこの世界も元の世界も、 物の名前はほぼ同じだってことがわかった。 まあ同じような進化をしててもおかしくないしな。
科学か魔法、 それだけの違い。
「・・・俺はいいからさ、 食べるか?」
「二つもですか? シンジさんに悪いです」
「いや、 言い方を間違えた。 食べてくださいお願いしますマジ無理なんです」
頭を下げて懇願。
一応食べ物らしいから捨てるわけにもあるまい。
「そこまで言うなら・・・食べますよ」
「マジすか!」
ミミズサンドをズイッと差し出す。
「それじゃあ、 頂きます」
ローラがミミズサンドを口にくわえる。
ムギャ
「ん? 何か聞こえたような?」
「何も聞こえませんよ?」
再び口へ。
ムギャァ
「それだぁ!!!」
ローラの持っている食べかけのミミズサンドにM92Fの銃口を向ける。
「うわ~、 マジ半端ねぇ生きてるよムギャだってよ俺もうホットドッグ食えねぇよ」
「新鮮でいいじゃないですか」
何事も無く一つ目のミミズサンドを食べ終える。
「では」
そのまま二本目へ。
ムギャ、 ヌギャ、 ムニャガァ。
「うぎゃぁぁぁぁ!」
「ごちそうさまでした、 じゃあシンジさんの昼食でも買いに行きますか?」
「・・・いやいい」
そして何も食べぬまま本戦を待つのだった。
PVが十万を超えた記念です。
自分で言うのもなんですが、 けっこうおもしろいと思います。
シンジの口調が早まるところがありますが仕様です。
次回はたぶん本編です。
・・・こういう話書くの、 おもしろいなぁ。