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第二十章   村に帰って

「で、 リーダーはこれからどうすんの?」

 洞窟から出た俺とリーダーは村に向かって歩いていた。

「むう、 村の人々には迷惑を掛けたのでな、 とりあえず謝ろうと思っている」

 ついさっきわかったことだが、 死の森へ魔物を討伐に行っていたのはリーダー一人らしく、そのほかのメンバーは、 雷撃男にそそのかされて村を襲っていたらしい。

「いい心がけだな、 さすがリーダー。 それよりもう走れるよな?」

 リーダーの撃たれた両太ももを見る。

「うむ、 大丈夫だ。 シンの回復魔法で、 何とか動くようになった」

「そりゃよかった」

 洞窟を出る際に、 どうするか考えた結果、 まさかおぶっていくという愚行を行うわけにもいかず、 無難に回復魔法を施すという結論に行き着いた。

「それよりも、 シンの魔法は凄いものだ。 是非教えて欲しいのだが」

 リーダーが、 肩に掛けている89式を指さして言った。

「ん~、 気が向いたら教えてやるよ」

 魔法じゃないけどな。

「それよりほら、 村が見えて来たぞ」

 正確な時刻はわからないが、 太陽らしき物が昇り始めているので、 元の世界で言う朝になるのだろう。

 そうこう考えている内に村の入り口までたどり着いた。

「まずはおばさんの所に行くか」

「・・・」

 リーダーからの返事はない。

「あんま気落ちするなよリーダー、 リーダーが百パーセント悪いってわけじゃ無いんだから」

 食堂に向かって歩きながら、 そんな会話をする。

「・・・そうか、 ところでそのリーダーって言うのは何なのだ?」

「あだ名だよ、 リーダーの。 そんなことより・・・行くぞ」

「・・・うむ」

 勢いよく食堂の扉を開け放つ。

「南無三!」

 ちなみにこの、 南無三に意味はない。

 けどこの言葉って響きがいいよね。

「いらっしゃい! え~と・・・」

 誰だい? と言いたかったのだろうが、 その言葉はリーダーによって掻き消された。

「本当に申し訳ない! 私の管理能力不足でこの村に迷惑を掛けてしまったのはこの私です!」

「ちょ、 ちょっと。 誰なんだい? この男は」

「まんまだよ、 こいつが盗賊団・・・いやこの村の元警備団長の、 え~とえ~と、 そう! リーダーだ!」

 そういえば名前聞いてなかったな。 まあいいか。

 リーダーはリーダーよ!

「詳しく説明してもらえないかねぇ」

「・・・わかりました」

 かくかくしかじか、 リーダーがことのあらましを説明し始めた。

 やがてリーダーの説明が終わるとおばさんは勢いよく立ち上がって言った。

「なるほどね、 大体の事はわかったよ」

「それじゃあ今後のことなんだけど・・・」

 どうしますか? と聞こうする俺をおばさんが制した。

「その前にしなくちゃいけないことがあるだろう?」

 おばさんはそう言うとリーダーの前に立った。

「あんたが全面的に悪いってことじゃないのはわかった。 でもあんたのせいでもないと言うわけでもない。 だったらけじめは付けないと」

 おばさんは、 リーダーを思いっきりの勢いで殴り飛ばした。

「ぐっ」

 テーブルやいすを巻き込んで派手に転がるリーダー。

「これで良し」

 おばさんがにこっと笑顔を見せる。

「で、 これからどうするんだい?」




「やべー、 ローラのこと忘れてた」

 結局あの後、 リーダーとおばさんは食堂で今後の村のことについて話をすることになったので、俺はおいとまさせてもらうことにした。

「まだ寝てればいいけど」

 やがて俺たちの泊まっていた宿が見えてきた。

 と、 ここで早起きだった家族のことを思い出す。

「親父と母さん元気でやってるかな~、 とくに親父。 無理矢理母さんの料理食べさせられたりしてないかな~」

 母さんの料理はすさまじいものがある。 親父でさえ昇天は間違い無しだ。

「そういえば和也は元気にしてるかな~」

 俺がこの世界に呼び出された時に和也も一緒にいたはずだ。

 となると和也もこの世界に来ている可能性が高い。

「あいつのことだから生きてれば、 勇者でもやってるんだろうな~」

 剣を持った和也・・・滅茶苦茶似合うな!

「そんでもって美人のお姫様に出会って、 いちゃついたりするんだろうな~」

 くそう! うらやましいぜ! まあ想像だけど。

「しかしこれが現実のことになろうとは誰が想像しただろう」

 聞いている人はいないが、 ナレーション口調で喋ってみる。

「まあこっちはこっちで楽しく過ごすとするか」

 俺は宿の扉を開けて、 ローラの眠る部屋へと向かった。

   


   ~和也サイド~

「はあああ!」 

 当たらないとわかりつつも、 木刀を横凪に振るう。

「動きが単調すぎです、 それではすぐにやられてしまいますよ!」

 俺の一撃をいとも容易く避けた女性は、 お返しとばかりに、 こちらの心臓めがけて木刀で突いてきた。

「危なっ!」

 その突きを紙一重で避ける。

 今の当たってたら、 怪我どころじゃ済まなかったぞ!

「戦闘中に喋るものではありません!」

「セリアさんこそ喋ってるじゃないですか!」

 しかし喋りつつも隙を見せることはない。 さすが王国一の騎士様だな。

 なぜ俺が朝っぱらから、 木刀で模擬戦をしているかというと、

『カズヤ様には一刻も早く強くなってもらわなければなりません』

 とかアリアが言い出すので、 一も二もなく戦闘訓練が開始されたのだった。

 しかも俺の訓練に当てられたのは、 王国一の強さを誇るというセリアさん。

「今度はこちらから行きます!」

 アリアさんが木刀を縦に振るう。

 さっきからこの攻撃を受けていてわかったのだが、 セリアさんの一撃は早いし重い。

「くっ」

 だからその攻撃を受け止めようとはせずに、 流すようにして木刀を振るう。

「いつまでも防御しているばかりでは、 私には勝てませんよ!」

 セリアさんが、 しびれをきらしたのか、 今まで以上に大きく振りかぶる。

「っ! 今だ!」

 この隙を見逃してやるつもりはない!

 渾身の力を込めて、 木刀を前に突き出す。

 が、 木刀は宙を切った。

「なっ」

「隙ありです」

 俺の頭に浮かんだのは、 罠という一文字。

 セリアさんは、 俺の持っていた木刀を下から切り上げた。

「あ」

「試合終了・・・ですね」

「・・・そうですね」

 俺が呟くのと同時に、 俺の手から離れた木刀が地に着いた。

 


「セリアさんは強すぎです!」

「その方が成長も早いでしょう?」

「そうです、 カズヤさんは確実に強くなっています」

 上から、 俺、 アリア、 セリアさんの順。

 訓練も一段落ついて、 今は休憩中だ。

「剣の訓練もいいですけど、 魔法の方はどうなんですか?」

 そう! なんと言っても魔法! 一度でもいいから使ってみたい!

「魔法の方は、 完全に才能がなければ使えませんと思いますが・・・聞きますか?」

「もちろん!」

「では、 まず基本的なことから説明させて頂きます。 現在確認されている魔法の属性は、 火、 水、 土、 雷、 風、 氷などがあります」

「他にも種類があるの?」

 どうもアリアの、 現在確認されている、 という言い方が気になる。

「魔法とは想像の力、 なので想像の仕様によっては新しい魔法が生まれるかも、 ということです」

「なるほど」

「他にも、 治療系魔法、 無属性魔法、 創造魔法、 それに失われた魔法なんて言うのもあります」

 まるっきりRPGの世界だね。

「まあ後の二つは、 最近では見ませんけどね」

「後ろの二つというと、 創造魔法と、 失われた魔法って言うやつですか?」

「そうです、 まずその二つの魔法を行うには大量の魔力が必要となります」

 これはたぶんクリアーしてるだろう。

 召還されたときに魔力が無限になるようになったらしいしな。

「他は?」

「創造魔法を使うには明確なイメージが必要となります。 誰もそのイメージができないのです」

「なるほどね」

「失われた魔法については、 何も言えることがありません。 ただ魔力を大量消費する、ということはわかっていますが」

 大体の事は理解できた。

「それじゃあ、 俺は火の魔法とかを覚えるとするか」

 立ち上がり、 そう宣言する。

「そうですね、 簡単なものから覚えていきましょう。 私が教えてさし上げます」

「お願いします!」

 最高の勇者になるため今日もがんばるぞ! 

冬期講習が始まってしまった・・・。

まあ作者は夜行性なので大丈夫でしょう。

それと更新遅れてすいませんでした。

感想などよろしくお願いします。

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