無機質な天井
それはまるで、暗い夜を駆ける流星のような、闇に走る白の一閃。
一瞬、全身を冷たい痺れが駆け抜けた。
「――ッ!? また!?」
その後は、いつもの実験後と同じだった。
得意げに高笑いを決め込む博士と、ガラス壁の外から真剣に僕を見つめる研究員たち。
懸念していた痛みなど感じることなく、そっと瞼を上げる僕。強く瞳を閉じていたからか、目の前がチカチカしてとても眩しい。
「やっぱり。……また、なんともない」
「んなんだとッ!? またか!?」
さっきまで得意気だった表情が少しずつ重力に負け、無残な顔に変わっていく。
ああいうのを、無様というのだろう。
「おい! ちゃんと装置は動いていたのか!? 最大だ! 出力を最大限まで上げろ!」
「へっ? いえ、これが限界値ですが……」
「馬鹿者!! 限界など有って無いようなものだッ!」
また始まった。
毎日毎日、これの繰り返しだ。いい加減、恐怖も薄れてしまう。
「……早くアストピアに帰りたい」
「ま、まだだ。まだ失敗ではない。さっさと再起動の準備を始めろ!」
無様な博士の怒号に、文句一つ言わず研究員が実験の準備を始めた。
結局、この日も結果は同じだった。
重い頭を空にしながら、忙しく駆け回る研究員たちを呆然と眺める。
すると、今ではもう懐かしさすら感じる、騎士学校での訓練の光景を思い出した。
確かあの日も、よく晴れた初夏のことだった。
刺さるような日差しと、肌に張り付いたシャツ。
今までに憶えが無いくらい気温が高かったのを鮮明に覚えている。
あの日の僕は、こんな未来が待っているなんて想像もしていなかった。
まさか、自分が別の世界に拉致され、白く冷たい部屋の天井から吊るされることになるなんて。




