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まえがき

―最後の神名(中巻)―


忘却の谷を越えた先には、獣たちの祈りと月の名残が待っていた。

名を記されぬ神々の残響を抱えて歩むセーレとフロウは、無記の民が暮らす渓谷に足を踏み入れ、獣の血と体に刻まれた祈りに触れる。

月神の幻影に導かれ、フロウは自身の中に眠る獣と向き合い、“還る”という祈りの意味を問い直す。

やがてふたりは、かつて仮面の神の都として栄えたアークへ辿り着く。

仮面都市の無名者たちが沈黙の祈りを捧げる中、記録と象徴の構造は揺らぎ、巫女キュービの葛藤が都市の余波を生み出す。

呼ばれぬ神と応える祈りの再構築――記すことと響き合うことの境界線で、セーレは記録者としての使命と名の解放に向き合う。

この巻は、獣の呪いと仮面の都市の狭間で祈りを再定義し、最後の旅に向けて決意を刻む静かな前奏である。

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