表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元サレ妻のヒロインは、ひとりで竜を倒したい~浮気者の攻略対象者には頼りません~  作者: 九重


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/48

王妃の悪意



「…………失敗した?」


 思わず出た低い声に、影がピクリと萎縮する。


「申し訳ございません。想定以上にエドヴィン殿下の動きが速く――――」

「痕跡は残していないのでしょうね?」

「もちろんです。魔法使い以外の三名はその場で始末し、魔法使い自身も別の場で自殺を装い殺しました」

「きちんとたしかめたの?」

「三名の死は見届けませんでしたが、あの傷では助かりようがないかと。魔法使いは、生体反応が消えるのをこの目で確認しました」


 握りしめていた扇から、少し力を緩める。

 それだけで、影はホッと息を吐いた。


(感情を表しすぎではないかしら? ()()も処分した方がいいかもしれないわ)


 ただ、今の私には完全に信頼出来る手駒が少ない。表向き私に従っている()()だって、いつ牙をむいても不思議ではないのだから。


(それもこれも忌々しいエドヴィンのせいだわ。王位継承権を捨てたとはいえ、()()が生きている限り、私の可愛いオリヴェルを次期王と認めぬ者がいる)


 そして、その不安要素があるゆえに、私に従わぬ者も一定数いるのだった。


(やはり子どものうちに、なんとしてでも殺しておくべきだったわ)


 国王の警戒が思いのほか強く、これ以上手をだせばこちらも無傷でいられないからと自重したのだけど……中途半端はダメね。つくづく反省したわ。



 エドヴィンが収納魔法の取得方法を発見し、存在感を強くしたのはつい先日のことだった。

 ただでさえ優秀な第一王子の快挙に、王宮は沸き立った。

 中でも国王は大喜び。いつもはエドヴィンが何をしようとも無関心なのに、わざわざ呼びだして一緒に食事を摂ったくらい。


(おかげで私は、お気に入りのティーセットを怒りにまかせ叩き割ってしまったのよね。まあ、すぐにもっと高価な物を購入したけれど)


 問題は、オリヴェルよ。

 兄の活躍に、誰より危機感を抱かなければいけないはずのあの子は、よりによってエドヴィンのいる騎士団に収納魔法を習いに行くと言いだした。

 しかも短期入学をしてまで。


 いったいどうしたのかと問い詰めれば、「母上、私は真実の愛を見つけたのです!」なんて、頭の痛い言葉が返してくる始末。


 オリヴェルは、騎士団幼年学校の女学生に恋してしまったのだ。


(真実の愛だなんて、愚か極まりないわ。いやなところが父親に似たのね)


 側室に熱を上げ私より先に孕ませた陛下を思いだし、気分が悪くなる。


 調べてみれば、オリヴェルを誑かしたのはリシャーク男爵の娘だとわかった。下位貴族の割には成功している裕福な家だ。

 とはいえ、男爵は男爵。オリヴェルの相手としては問題外だわ。


 ()()()()以外にないわよね。


 おまけに、調査を進めていくうちに、エドヴィンまでその娘を気にかけていることがわかった。

 おかげでためらう理由が、一気になくなったわ。


(お気に入りの娘を喪って、悲嘆に暮れればいいのよ)


 そうして娘の()()()()()()のに、やり損なうなんて。


 私は、小さなため息をつく。



「っ! 次はっ! 次は、必ず仕留めてご覧にいれます!」


 影が焦った声を上げた。


()?」

「はい!」

「次って?」


 影は、ゴクリと息を呑む。一瞬考え、パッと顔を上げた。


「魔獣討伐の遠征です! 遠征には、ターゲットの娘もエドヴィン殿下も参加します。そこで必ず娘の息の根を止めてみせます!」


 私は、少し考える。



 ――――そうね。いい考えかもしれないわ。


「遠征に危険はつきものよね」

「はい!」

「魔獣が暴走するかもしれないし……あら、そういえば、そんな()があったのじゃないかしら? 魔獣をわざと興奮させて、人と闘わせて見世物にするような?」


 あまりに残虐だからと禁止された見世物だったけど。……残念だわ、一度くらい見てみたかった。きっと面白かったでしょうに。


「あれは――――。あ、いえ。薬は手に入ります!」


「まあ、私は、そんな薬があったわねと言っただけで、その薬を使えだなんて、ひと言も言っていないわよ? 薬で魔獣が暴走したら、娘どころか可愛い私の義息まで死んでしまうかもしれないもの」


 そう言いながら、私はパッと扇を開く。陰でクスリと嗤った。


「は! お言葉しかと承りました」


 影がその場で頭を下げる。


「…………二度めはないわよ?」


「はっ!」


 クスクスクスと、私は笑い続けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
王様…こんなん王妃にするなんて(;・∀・)王様が見る目無いのか、それとも王様との結婚を決めた周りが見る目無いのか(;・∀・)
わぁ(╹▽╹)人材をどんどん始末するって王妃として無能ですね!ざまぁが楽しみ!
遠征に勝手についてきた馬鹿王子が暴走魔獣に巻き込まれたりしないかな 依頼主『ターゲットは見えるか?右の男──』 狙撃手(パシュッ) 依頼主『──が私の息子だ。何としても守れ』 狙撃手『 』 王妃とし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ