表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元サレ妻のヒロインは、ひとりで竜を倒したい~浮気者の攻略対象者には頼りません~  作者: 九重


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/48

ホッとしました

 縄が元々弱くって、動いている内に千切れることくらい、よくあることだと思う。

 さすがに、手も足も両方というわけにはいかないので、足だけで我慢した。

 猿轡もされたままで、馬車の荷台から幌ごと転げ落ちる。


 外は運良く土の道路だった。

 石畳などでは、強化した私の体の方が強いから、石が砕けてしまうのだ。


(そうなったら言い訳が大変なのよね)


 土の道路が大きく削れて穴が開いてしまっているけれど……軟弱な土なんだから、そういうことは珍しくないはずだ。


 顔を上げれば、周囲には煙が充満していた。

 おかげで視界が効かないが……たぶんここは王都外縁部だ。


(煙の切れ間に高い城壁が見えるもの。馬車の進行方向にあるということは、まだ王都内ね)


 私を誘拐した男たち以外の声が聞こえないところから推し量れば、人家のない場所……北の墓地か西のゴミ集積所だと思われる。

 どっちも、誘拐犯が向かうには最悪の結果しか見えない場所だった。


(これは、確定ね…………この誘拐犯たちは、私を殺すつもりだったんだわ)


 攫ってすぐに殺さなかったのは、血の跡がつくのがいやだとか、そんなろくでもない理由だろう。

 ともかく死なないでよかった。


(早く逃げださなきゃ!)


 私は一目散に賭けだそうとした。


 しかし――――突如強風が吹き荒れる。


(なっ! ……これは、風魔法?)


 どうやら誘拐犯の中に、風属性魔法の使い手がいるらしい。

 私は咄嗟に目をつぶる。

 次に開けたときには、周囲に立ちこめていた煙が跡形もなく消えていた。


「なっ!」

「おい! 獲物が逃げているぞ!」

「いったいどうして?」

「クソッ! この煙も、あいつの仕業か」


 ヤバい。見つかってしまった。

 慌てて逃げだす。


「捕まえろ!」

「絶対逃がすな!」


 周囲に大声が響いた。

 同時に向かい風が襲ってくる。風速十五メートルくらいかな?


(正直、身体強化した私にとってはそよ風みたいなものだけど、それがバレたらまずいわよね。……どうしよう? かまわず逃げるべき? それともふらつく真似くらいするべきかしら?)


 とはいえ、それで捕まってしまっては本末転倒だ。

 迷っている内にも、誘拐犯は迫ってくる。


(頭を強く殴ったら記憶喪失にならないかな? ああ、でも加減を間違えると死んじゃうかも……)


 騎士団幼年学校に入ったのだ。騎士の任務として敵を殺せと命令されれば、従う覚悟は持っている。

 ただそれと、自分の私事都合で殺人を犯すことは別だった。


 たとえ相手に殺意があったっとしても、私は簡単に人を殺したくない。


(自分が理不尽に殺されてしまったから、なおさら拒否感が強いのかもしれないけど)


 いやなモノはいやなのだ!


(ああ! でも、どうしたらいいの?)


 選べず立ちすくむ。


 その時――――。



「何をしている! さっさと逃げろ!」



 怒声が振ってきた。


 でも、その声は全然怖くない。


「エドヴィンさま!」


 私の元に駆けつけてくれたのは、エドヴィンだ。

 見ればマルクもいて、彼は誘拐犯たちに斬りかかっている。


「エイミー! 無事か!?」


「エドヴィンさま!」


 馬鹿みたいに名前しか呼べなかった。


「心配した!」


 腕の中にギュッと抱き締められて、心底ホッとする。力が抜けて倒れそうなくらい。


 これでもう大丈夫だと思った。




「――――おいっ! こっちに加勢しろ!」


 抱き締められていたのは、十秒くらいだと思うけど、マルクに怒鳴られる。

 まあ、それもそうかもしれない。誘拐犯は五人くらいいたのだもの。ひとりじゃ大変よね。


「すまない! すぐ行くから!」


 私をパッと離して、エドヴィンが駆けだした。

 それがなんだか残念に感じるなんて……よっぽど私は困っていたんだわ。


 気持ちを入れ替え、私も加勢しようと思ってそちらを見る。



「え?」



 思わず声が出た。

 敵が三人しかいなかったからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いいですかエイミー?よく聞いてください。悪人に人権はありません 理不尽に殺されたから安易に殺したくない、とは甘えですね。正当防衛で運悪く相手が死んでも自業自得なんですよ。ここは親が子を疎んで才能を潰す…
 なんで、エイミーの命を?
エドヴィンとみんなのお兄ちゃん(笑)マルク登場! さすが攻略対象者の上位互換兄ズ。ヒロインのピンチには颯爽と現れる!(ただ、そのヒロインが多方面に強すぎる。そして生きるのに必要な鈍感力も発揮中:笑)。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ